Goat - Goat (2024)
GOAT『Goat』2024年作について
スウェーデンの覆面サイケデリック・バンド、GOATによるセルフタイトル作『Goat』は、2024年にRocket Recordingsから登場したアルバムだ。バンド名と同じ題を掲げた作品で、匿名性の強いグループの輪郭をそのままアルバム単位に持ち込んだ形になっている。アフロビート、ハードロック、ジャズ、そして各地の民俗音楽の要素を横断してきたGOATらしい作りで、今回もその基本線を保ちながら、よりリズムの推進力とギターの前面化が目立つ内容になっている。
作品の立ち位置
GOATは、マスクを着けた7人編成で活動し、名前も本名ではなく別名義を使うことで知られている。こうした設定自体が話題になりやすいが、実際の音楽は見た目の物語性だけでなく、演奏の密度で支えられている。2人の歌、2本のギター、エレクトリック・ベース、ドラム、コンガという編成はシンプルに見えて、実際には層が厚い。リズム隊の反復と、ギターの鋭いフレーズ、コーラスの掛け合いが噛み合うことで、長尺でも流れが崩れにくい。
2024年作の本作は、これまでのGOAT像を引き継ぎつつ、ブレイクビーツ的な切り口や、ファンク寄りの推進感、前に出たギターソロなど、近年のバンドに見られる拡張を受けたアルバムとして受け止められている。従来の“ワールド・ミュージック×サイケ”の枠に収まりきらない動きがあり、同時代のサイケデリック・ロックの中でも、単なる復古ではない位置にある。
収録内容と録音
収録曲は全曲が連番で表記されており、アルバム全体をひと続きの流れとして聴かせる構成。録音は基本的にParkeringshuset Studioで行われ、「The All Is One」のみÄngårdsbergenの屋外録音となっている。屋外録音の曲が1曲だけ置かれている点は、この作品の中でも少し異なる質感を担う要素になっている。
全体を通して、GOATの曲はリフの反復で押し切るだけではなく、曲ごとにビートの置き方や音の重ね方を変えてくる。派手な展開を連続させるタイプではないが、打楽器の動きやギターの処理が細かく、聴き進めるほど輪郭が見えてくる作りだ。英語圏のレビューでも、追跡劇を思わせるファンク感や、ヒップホップ由来のブレイクビーツ的な感触に触れられていた。
盤の仕様
今回のUK盤は、Rocket Recordingsのカタログ番号LAUNCH363Sで、インディーズショップ限定のイエロー&ブラックの“Special Swirl”ヴァイナル仕様。プリント入りインナー・スリーブ、ステッカー付きシュリンク、ダウンロードカードが付属する。スパインと裏ジャケットにはLAUNCH363の表記があり、ハイプステッカーには「Ltd Edition」「Special Swirl Vinyl」と記載されている。ラッカーではなくレーザー刻印のランアウトという点も、現行プレスらしい仕様だ。
裏ジャケットには(C)+(P) ROCKET RECORDINGS、MADE IN THE UK 2024の表記。オリジナル年と盤の年が同じなので、再発盤ではなく当時のリリースとして扱える。
GOATというバンドの文脈
GOATは、2010年代以降のサイケデリック・ロックの中でも、単に60〜70年代の再現に寄らず、アフロビートやハードロック、ジャズの感触を混ぜ込んで独自の流れを作ってきた。比較対象としては、同じく反復とトランス感を重視する現代サイケの流れが思い浮かぶが、GOATはそこに儀式的な演出と打楽器の厚みを強く持ち込む点が特徴的だ。ステージ上のダンスや仮面のイメージも含めて、音だけでなく場の空気を作るバンドでもある。
2024年の『Goat』は、その長年の作法を崩さずに、現行のロックやビート感覚を取り込みながら更新した1枚として整理しやすい。代表曲という意味では、アルバム全体が一つのまとまりとして機能しており、単独のヒット曲を前面に押し出すタイプではないが、バンドの現在地を示す作品としては分かりやすい。匿名性の強い集団が、演奏の説得力だけで作品を引っ張る、その姿勢がそのまま残ったアルバムだ。
トラックリスト
- A1 One More Death
- A2 Goatbrain
- A3 Fool’s Journey
- A4 Dollar Bill
- B5 Zombie
- B6 Frisco Beaver
- B7 The All Is One
- B8 Ouroboros