Haken - Fauna (2023)
Haken 2023

Haken - Fauna (2023)

Rock Progressive Metal

Haken『Fauna』(2023)レビュー

イギリスのプログレッシブ・メタル・バンド、Hakenが2023年に発表した7作目のスタジオ・アルバムが『Fauna』だ。前作『Virus』までで強めてきた重厚な側面を引き継ぎながら、今回はバンド本来のプログ・ロック的な流れや、曲ごとの展開の多さが前面に出た作品として受け止められている。ヨーロッパ盤のブラック・ヴィニール仕様で、ゲートフォールド・ジャケットとLPブックレットを備えたリリース。

Hakenは2007年にロンドンで結成されたバンドで、当初から複雑なリズム、長尺の構成、演奏技術の高さで注目されてきた。2010年の『Aquarius』、2011年の『Visions』で土台を作り、2013年の『The Mountain』で国際的な評価を広げた流れがまず大きい。その後は『Affinity』(2016)、『Vector』(2018)、『Virus』(2020)でより重い方向へ寄りつつ、コンセプト性の強いアルバムを続けてきた。そうした経緯のあとに置かれた『Fauna』は、単なる延長線ではなく、バンドの過去作を整理し直したような位置づけに見える。

「動物」を軸にしたコンセプト

『Fauna』の特徴は、自然界や動物のイメージを手がかりに、曲ごとに異なる視点を置いている点にある。アルバム全体の設計が見えやすく、Hakenらしい複雑さがあっても、どの曲が何を担っているかは追いやすい。プログ・メタルでは構成の技巧が先に立つことも多いが、この作品はその骨組みを保ちながら、楽曲ごとの表情をはっきり分けているのが印象的だ。

レビューでは、前作『Virus』の重さを引き継ぎつつ、遊びのあるフレーズや開けたメロディも増えた、という受け止めが目立った。実際、曲の切り替わりやリズムの変化が多い一方で、ただ難解に寄せるのではなく、リフと歌のまとまりが残っている。Hakenの持ち味である変拍子や細かなアンサンブルが、今回はコンセプトの明快さと結びついている。

Pete Jones復帰の影響

制作面で大きな話題だったのが、キーボードのPete Jonesの復帰だ。彼はバンドの初期メンバーで、2022年に再加入している。『Fauna』ではこの編成の変化がそのまま音の流れに反映され、キーボードの役割が以前よりも自由に動いている印象がある。バンド側のコメントでも、制約を減らして曲作りを進めたことが示されており、その空気がアルバム全体の動きやすさにつながっている。

Hakenは、Dream Theater以降のプログ・メタルの文脈にありながら、ジャズ、ポップ、電子音、70年代プログレの要素を曲の中で切り替えてきたバンドとして語られることが多い。『Fauna』でもその幅は保たれていて、重いリフだけで押し切るのではなく、旋律や間の取り方で展開を作る場面が多い。ジャンルの看板はあくまでプログ・メタルだが、実際にはプログ・ロック寄りの組み立てが強く出た場面もあり、そこが本作の輪郭を決めている。

バンドの中での位置づけ

『Fauna』は、Hakenのキャリアの中で、初期の複雑さと近年の重さをつなぐ作品として見やすい。『Affinity』以降の精密さ、『Vector』『Virus』の硬質さを残しつつ、2010年代前半にあった開放感も戻している。結果として、これまでの作品群の中でも、過去の要素をまとめ直した印象が強い。

英国のチャートでは、Official Albums Chartで39位、Rock & Metal Albums Chartで2位、Scottish Albums Chartで15位、Official Albums Sales Chartで17位、Physical Albums Chartで19位、Vinyl Albums Chartで29位を記録した。プログ・メタルの作品としては、幅広い部門に入っている点が目を引く。作品としての完成度だけでなく、バンドの知名度や支持層の広がりも見える数字だ。

聴きどころ

『Fauna』を通して聴くと、細かいリズム処理や転調の多さが先に来る場面がある一方で、メロディの置き方がわりと明快な曲もある。そのため、複雑さだけが残るタイプのアルバムではない。曲の密度は高いが、各パートの役割が見えやすく、演奏の精度と構成の切り替えが同じ場所で機能している。

Hakenの作品の中でも、『Fauna』は技巧の誇示より、曲全体の流れとコンセプトのまとまりを優先した盤として残る。プログ・メタルの現在形を示す一枚として、同時代の作品群の中でも存在感が強い。

トラックリスト

  1. A1 Taurus
  2. A2 Nightingale
  3. B1 The Alphabet Of Me
  4. B2 Sempiternal Beings
  5. C1 Beneath The White Rainbow
  6. C2 Island In The Clouds
  7. C3 Lovebite
  8. D1 Elephants Never Forget
  9. D2 Eyes Of Ebony

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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