Hako Yamasaki - 飛・び・ま・す (1975)
Hako Yamasaki『飛・び・ま・す』について
山崎ハコの『飛・び・ま・す』は、1975年に発表されたデビュー作で、1970年代の日本のフォーク・ブームの空気を強く映した1枚だ。アコースティック主体の編成を軸にしながら、フォークの語り口とロックの感触が同居する作品として知られている。盤は1976年のAard-Vark盤で、オリジナル発表から少し後のリリースにあたる。
作品の位置づけ
山崎ハコは、1970年代から長く活動を続けてきた日本のシンガーソングライターで、この作品はその出発点にあたる。後年の重心のある表現を思うと、ここではすでに歌の中に強い芯が通っている印象がある。デビュー作ながら、単なる新人の紹介盤というより、作家としての輪郭をはっきり示したアルバムという位置づけ。
当時の日本のフォーク周辺では、内省的な詞世界や、ギターを中心にしたシンプルな編成が多く見られたが、この作品もその文脈の中にある。加えて、のちに日本の女性シンガーソングライターの系譜で語られるような、個人の感情をそのまま前面に出す書き方がすでに見える。
収録曲とタイトル曲
収録曲は「望郷」「さすらい」「かざぐるま」「橋向こうの家」「サヨナラの鐘」「竹とんぼ」「影が見えない」「気分を変えて」「飛びます」「子守唄」の全10曲。タイトルの「飛びます」は、英題では “I’m Going To Fly” とされている。
中でもタイトル曲は、このアルバムを象徴する1曲として扱われることが多い。収録曲の並びを見ても、旅、別れ、郷愁、揺れ動く気分といった題材が続き、作品全体の芯を作っている。曲名だけでも、生活感のある言葉と素朴なイメージが並ぶのがわかる。
盤としての特徴
1976年のAard-Vark盤は、Canyon系のレーベルで流通した日本盤。Aard-VarkはYamaha Music Foundationの権利が関わる音源を中心に扱っていたサブレーベルとして知られている。盤としては、1975年のオリジナル作品を後追いで入手したいときの1枚という見方になる。
オリジナルと再発の細かな違いは盤によって異なるが、この時期の国内盤では、ジャケット表記やレーベル面のクレジット、プレスの時期が異なることがある。作品そのものの内容は同じでも、当時の流通のあり方が見えるのが面白いところ。
同時代とのつながり
1970年代半ばの日本では、フォークからシンガーソングライター系の表現へと重心が移っていく流れがあった。山崎ハコもその中で語られることが多く、同時代の女性シンガーソングライターたちと並べて語られる場面がある。歌詞の視点や、声の出し方に個性が出るタイプの作品として受け止められてきた。
『飛・び・ま・す』は、その後の長い活動を見渡すと、最初期の重要な基点。山崎ハコの名前を知るうえで、まず押さえられる1枚という印象が強い。
まとめ
『飛・び・ま・す』は、1975年の山崎ハコのデビュー作として、日本のフォーク/シンガーソングライター史の中で早い段階から輪郭のはっきりした作品だ。1976年のAard-Vark盤は、その初期作を国内盤で確認できる1枚としても意味がある。タイトル曲を中心に、郷愁や旅、別れをめぐる歌が並ぶ構成。静かな曲調の中に、すでにこの人ならではの重みがある作品。
トラックリスト
- A1 望郷 4:11
- A2 さすらい 6:01
- A3 かざぐるま 4:12
- A4 橋向こうの家 4:14
- A5 サヨナラの鐘 5:28
- B1 竹とんぼ 4:25
- B2 影が見えない 6:09
- B3 気分を変えて 3:40
- B4 飛びます 6:28
- B5 子守唄 3:55
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