Journey - Escape (1981)
Journey 1981

Journey - Escape (1981)

Rock Pop Rock

Journey『Escape』

Journeyの通算8作目(『Dream, After Dream』サウンドトラックを含むスタジオ作)となる『Escape』は、1981年7月に発表されたモンスター・アルバム。バンドにとって最大の転機となった作品であり、前作『Departure』(1980年)後に長年の過酷なツアー生活から疲弊した創設メンバーのグレッグ・ローリー(元サンタナ)が円満脱退。ローリー自らの推薦により、英国のロック・バンドThe Babysで活動していたジョナサン・ケインがキーボーディスト兼リズム・ギタリストとして加入した。これにより、スティーヴ・ペリー(ボーカル)、ニール・ショーン(ギター)、ジョナサン・ケインという黄金のソングライティング・トリオが誕生した。

制作背景と名曲誕生の逸話

録音はカリフォルニア州バークレーのFantasy Studiosで行われ、バンドのライヴPAエンジニアだったケヴィン・エルソンと、クイーンのエンジニアとして名を馳せたマイク・ストーンが共同プロデュースを担当。スティーヴ・ペリーの艶やかで力強いハイトーン・ボーカルとニール・ショーンの情感溢れるギターを軸に、ジョナサン・ケインが持ち込んだピアノ主導のポップ・センスが見事に融合した。

オープニングを飾る世紀のアンセム「Don't Stop Believin'」は、若き日のケインがロサンゼルスで音楽活動に行き詰まり、シカゴの実家の父レナードに弱音を吐いた際、返ってきた励ましの言葉「Don't stop believin', Jon(信じるのをやめるな、諦めたら終わりだ)」が原点となっている。ケインが書き留めていたノートから生まれたこの曲は、サビ(コーラス)がラスト3分20秒を過ぎるまで一度も登場しないという、ポップスとしては極めて異例の構成を持つ。有名な冒頭の歌詞「South Detroit」について、ペリーは後に「地理的にデトロイトの南に街はない(対岸はカナダのウィンザー)が、言葉の響きとリズムを最優先して採用した」と語っている。

屈指のパワー・バラード「Open Arms」にも劇的な背景がある。ケインがThe Babys在籍時に書いたメロディだったが、当時のボーカルであるジョン・ウェイトから「感傷的すぎる」と拒絶されてお蔵入りしていた。ジャーニー加入後にケインが弾いたピアノを聴いたスティーヴ・ペリーが一目惚れし、2人で完成させた。ニール・ショーンは当初「ハード・ロック・バンドにしては甘すぎる」と難色を示したものの、ライヴでの観客の熱狂的な涙と反応を見て全面支持へと転じた。

さらに「Who's Crying Now」は、スティーヴ・ペリーがカリフォルニアのハイウェイ99号線をドライブ中に閃いたメロディから誕生。歪みを極力抑えたニール・ショーンの研ぎ澄まされたアウトロ・ギター・ソロはロック史上の名演と称賛されている。「Mother, Father」ではニール・ショーンの実父マシュー・ショーンがクラシカルなコード進行の作曲に協力した。

象徴的なジャケットは、スタンリー・マウスとアルトン・ケリーがデザインを手がけたもので、殻(惑星)を破って未知の宇宙へと飛び立つスカラベ(フンコロガシ)型の宇宙船が描かれ、アルバムのタイトル『Escape(脱出)』を鮮烈に視覚化している(盤面には「E5C4P3」の文字遊びも施された)。

時代の文脈とチャート実績

1981年はハード・ロックがアリーナ・ロックへと巨大化し、MTVの開局(1981年8月)とともに視覚と劇的なフックが音楽シーンを席巻し始めた歴史的な転換期だった。Journeyは本作でハード・ロックのエッジと誰もが口ずさめるピアノ主導のメロディを完璧に調和させ、米Billboard 200でバンド史上初にして唯一となる全米1位を獲得した。

シングルでも「Who's Crying Now」が全米4位、「Don't Stop Believin'」が全米9位、「Open Arms」が全米2位(6週連続)とトップ10ヒットを連発。「Still They Ride」も全米19位を記録し、アルバムから4曲が全米トップ20入りを果たした。アルバムは全米レコード協会(RIAA)より10×プラチナ(1,000万枚突破)の「ダイヤモンド・ディスク」に認定されている。

後世への影響

「Don't Stop Believin'」は、映画『モンスター』や人気ドラマ『glee/グリー』、そしてテレビ史上に残るドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』最終回の伝説的なラストシーンで使用されたことで世代を超えて浸透。デジタル配信時代に爆発的なロングセラーを記録し、2024年には全米レコード協会(RIAA)より18×プラチナ(1,800万ユニット)に認定され、「全米音楽史上最も売れたシングル」の栄冠に輝いた。また「Open Arms」はマライア・キャリーをはじめ無数のアーティストにカヴァーされ、80年代型パワー・バラードの普遍的スタンダードとして世界中で愛され続けている。

トラックリスト

  1. A1 Don't Stop Believin' 4:10
  2. A2 Stone In Love 4:25
  3. A3 Who's Crying Now 5:01
  4. A4 Keep On Runnin' 3:39
  5. A5 Still They Ride 3:48
  6. B1 Escape 5:15
  7. B2 Lay It Down 4:13
  8. B3 Dead Or Alive 3:20
  9. B4 Mother, Father 5:28
  10. B5 Open Arms 3:21

動画プレイリスト

公開: 2026年11月

このアーティストについて

Journey

Journey

Journeyは、1973年にサンフランシスコで結成されたアメリカのロック・バンド。元メンバーには、SantanaやFrumious Bandersnatchの流れをくむミュージ...

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