Journey - Journey (1975)
Journey『Journey』(1975) レビュー
Journeyのデビュー作『Journey』は、1975年4月にColumbiaから出たUS盤のアルバムである。のちにSteve Perry加入後のAOR路線で大きく知られるバンドだが、この初期作はかなり性格が異なる。サンフランシスコで1973年に結成されたJourneyが、まだ自分たちの核を探っている時期の記録で、演奏の中心は長めのインストゥルメンタル、即興的な展開、フュージョン寄りのバンド・アンサンブルに置かれている。
バンドの出発点がそのまま出ている作品
結成の背景には、Santana周辺の人脈がある。Neal SchonとGregg RolieというSantana出身の2人を軸に、Ross Valoryらが加わって動き始めた流れは、この1枚にもはっきり残る。実際、収録曲の進み方は、初期Santanaのようなジャム感を持ちながら、よりメロディの整理が進む前夜の姿に近い。ロックを土台にしつつ、ブルース、ジャズロック、プログレ的な構成が混ざる内容で、後年のJourneyしか知らないと少し意外に感じるはずだ。
プロデュースはRoy Halee。Simon & Garfunkel作品でも知られる人物で、録音はサンフランシスコのCBSスタジオで行われた。レーベルはColumbia、カタログ番号はPC 33388。ColumbiaのPC番号は、1973年以降の価格帯を示す時期のものとして知られていて、この盤もその流れの中にある。USオリジナルの1975年盤という点に、この時代の空気がそのまま乗っている。
収録曲の印象
このアルバムでまず目立つのは、歌よりも演奏の比重が大きいことだ。インストゥルメンタル中心の曲では、Neal Schonのギターが前に出て、Gregg Rolieのキーボードがその間を埋める。Aynsley Dunbarのドラムは、後年のハードロック的な直進性よりも、細かいリズムの揺れを作る役割が強い。ベースのRoss Valoryも含め、各パートがぶつかるというより、少しずつ位相をずらしながら流れていく感じがある。
「Kohoutek」は、当時話題になった彗星の名を取った曲で、タイトルからしてこの時期のバンドの視線が外側に向いていることが分かる。続く「Topaz」も含め、曲の中で雰囲気が切り替わる場面が多く、まとまった歌モノというより、バンドがひとつの流れを追っていく構成になっている。シングルとして切られた曲もあったが、アルバム、シングルともに商業的な成功にはつながらなかった。
この時点でのJourneyの位置づけ
Journeyのキャリアを追うと、このデビュー作はかなり早い段階の立ち位置にある。一般に広く知られるのは1978年以降のより歌心の強い時期だが、ここではまだその方向に完全には振れていない。むしろ、同時代のプログレッシブ・ロックやジャズロックの文脈に近い。演奏の密度、曲の伸び方、インスト中心の組み立ては、当時のフュージョンやサンフランシスコ周辺のジャム・ロックともつながる。
後年のJourneyと比べると、Steve Perry加入後のような分かりやすいサビや、ラジオ向けの構成はまだ前面に出ていない。そのぶん、バンドの出自や当時の演奏志向が見えやすい1枚で、Journeyが最初から今のイメージだったわけではないことがはっきり分かる。
USオリジナル盤の仕様
この1975年US盤は、印刷されたインナー・スリーブ付き。ラベル右側のスピンドルホール付近の「1」と一部の表記が印字されていない誤植版も存在する。さらに、A面のランアウトには“SXT”のエッチングがあり、メタルワークはCustomatrix由来の刻印で確認できる。こうした細部は、初期プレスならではの情報として面白い。
見た目の上では、のちの再発盤よりも当時のCBS/Columbiaらしい実用的な作りで、音の印象も1970年代中盤のUSロック盤らしい。華やかなヒット作というより、バンドの出発点を記録した資料性の強いアルバムである。
まとめ
『Journey』は、後の大成功を知っている耳で聴くと、かなり意外性のあるデビュー作だ。初期Santanaの流れを汲む演奏主体の内容で、プログレ、ジャズロック、ロックが混ざる1975年らしい空気がある。Journeyというバンドが、最初からAORの代表格だったわけではなく、まずは演奏で自分たちの形を探していた、その過程が残る1枚である。
トラックリスト
- A1 Of A Lifetime 6:49
- A2 In The Morning Day 4:24
- A3 Kohoutek 6:47
- B1 To Play Some Music 3:16
- B2 Topaz 6:10
- B3 In My Lonely Feeling/Conversations 4:59
- B4 Mystery Mountain 4:26