Wisse Scheper , Topaz - Topaz (1972)
Wisse Scheper / Topaz『Topaz』(1972)
オランダのCBSから1972年に出た、Wisse ScheperとTopaz名義のアルバム『Topaz』。中心にいるのはWisse Scheperで、Topazはそのバックを担うバンドとして扱われている。ポップ・ロックを軸にしながら、当時のオランダ産作品らしく、単純な歌モノで終わらない作りが目を引く1枚だ。
この作品が注目を集めた背景には、先行曲「Hello A」の存在が大きい。業界紙では、オランダでチャート上位に入り、ドイツでも短期間で1万5000枚を売り上げたと伝えられている。アルバム全体もその流れの中で受け止められ、Wisse Scheperの歌と楽曲を中心に、Chris Hinzeのプロデュースによる整理された音像が組み合わさっている。
作品の輪郭
制作面では、Scheperが主旋律と曲の芯を担い、Hinzeのジャズ寄りの感覚が入り込むことで、一般的な同時代のシンガーソングライター作品とは少し違う手触りが出ている。室内楽風のアレンジや、音の置き方に工夫のある場面があり、ポップスとしての分かりやすさと、少し複雑な構成の両方が見える。
歌詞や題材は、愛や憎しみといった感情を軸にしたものとして紹介されている。曲ごとの表情を大きく変えながら進むタイプで、ひとつのムードに固定されるより、言葉と編曲の組み合わせで場面を切り替えていく作り。ロック寄りの推進力を持つ部分と、メロディを丁寧に聴かせる部分が共存している。
当時の文脈
1972年のオランダでは、ポップスとロックのあいだを行き来する作品がいくつも出ていた。その中で『Topaz』は、英国や米国の大規模なロック作品とは少し違う、ローカルな制作環境から出てきたアルバムとして見ると分かりやすい。派手なハードロック路線でもなく、純粋なフォーク寄りでもない。メロディを前面に出しながら、編曲で少しひねりを入れる点が特徴的だ。
同時代の感覚で並べるなら、ポップの整った輪郭と、プログレッシブ・ロック周辺にある構成意識の両方を薄く含んだ作品として受け取れる。とはいえ、難解さを前に出すタイプではなく、あくまで歌を中心に据えた作り。ラジオやテレビでの反応が良かったという当時の記述とも合っている。
ヒット曲「Hello A」
このアルバムを語るうえで外せないのが「Hello A」。先行曲として広く知られ、オランダで7位から翌週2位まで上昇したとされる。こうした反応がアルバム全体の認知につながり、Topazという名前を一気に押し上げた。曲単体の勢いと、アルバム全体の統一感が結びついた例として見やすい。
後年は、オランダ産のオブスキュアな70年代ポップ/フォークロックとして扱われることも多い。流通量は多くなく、中古市場でも目立ちすぎる存在ではないが、当時の資料を見ると、単なるローカル盤ではなく、一定の広がりを持って受け止められていたことが分かる。
まとめ
『Topaz』は、Wisse Scheperの歌と曲作りを中心に、Chris Hinzeのプロデュースが加わった1972年のオランダ産アルバム。ポップな聴きやすさの中に、編曲の工夫や室内楽的な響きが差し込まれ、先行曲「Hello A」のヒットによって作品全体が注目を集めた。オランダのCBSから出た初出盤として、その時代のローカル・ポップの温度と、少しだけ実験的な匂いが同居している1枚だ。
トラックリスト
- A1 Rainbow 2:35
- A2 Goldilocks 3:52
- A3 Willian's Smile 2:50
- A4 Our Love Will Be Strong (Now) 4:10
- A5 During The Day 4:34
- B1 Woman 3:45
- B2 Don't You Cheat On Me, Debbie (Please) 3:26
- B3 Walking In The Park 2:58
- B4 Silver Johnny 3:45
- B5 Who Are You 3:21