Judy Collins - Wildflowers (1967)
Judy Collins 1967

Judy Collins - Wildflowers (1967)

Rock Pop Folk Rock Vocal

Judy Collins『Wildflowers』

ジュディ・コリンズ(Judy Collins)の1967年作『Wildflowers』は、エレクトラ・レコード(Elektra)からリリースされた通算6作目のアルバム。プロデューサーのマーク・エイブラムソン(Mark Abramson)と、名音楽学者・指揮者のジョシュア・リフキン(Joshua Rifkin)がタッグを組み、従来のフォーク・ミュージックの枠を大きく刷新した記念碑的名盤である。なお本US盤(EKS-74012)は、ランアウトの(MR)刻印が示すモナーク・レコード(Monarch Record Mfg. Co.)のプレス盤である。

制作背景・エピソード

本作の最大の功績のひとつは、当時まだ無名だったカナダのソングライター、ジョニ・ミッチェルの楽曲「Both Sides Now」(邦題『青春の光と影』)と「Michael From Mountains」をいち早く世界へ紹介した点にある。さらに、前作『In My Life』で取り上げて親交を深めていた盟友レナード・コーエンの「Sisters of Mercy」「Hey, That's No Way to Say Goodbye」、そしてコーエンが彼女のために書き下ろした「Priests」も収録された。

また、コーエンから「なぜ自分で曲を書かないんだ?」と背中を押されたことを契機に、コリンズは自身初となるオリジナル自作曲「Since You Asked」「Sky Fell」「Albatross」を書き下ろして収録。優れた解釈者からシンガーソングライターへと自立していく決定的な転換点となった。さらに、ジャック・ブレルのシャンソン「La Chanson Des Vieux Amants」や、14世紀イタリアの作曲家フランチェスコ・ランディーニのバラードまでを取り上げるなど、知性と好奇心に満ちた選曲が光る。

ジョシュア・リフキンによるバロック室内楽風の格調高いオーケストレーションと、コリンズの澄み渡るクリスタル・ボイスの融合も大きな聴きどころ。「Both Sides Now」での軽快なチェンバロの躍動、自作曲での内省的で詩的なメロディ、中世声楽を思わせるランディーニ作品の凛とした歌唱など、気品ある室内楽とフォークが美しく調和している。

時代の文脈

1967年はサイケデリック・ロックやサマー・オブ・ラブの熱狂が音楽界を席巻していたが、本作は素朴なアコースティック・ギター弾き語りから一歩進み、弦楽器、木管楽器、チェンバロを配した「チェンバー・フォーク」という洗練されたスタイルを確立した。この優雅で格調高いサウンドスケープは、1970年代初頭に花開くシンガーソングライター・ムーブメントの直接的な先駆けとなった。

アルバムは米ビルボード200で最高5位まで上昇し、85週にわたってチャートインするロングセラーを記録(コリンズのスタジオ作としてキャリア最高位。RIAAゴールド認定)。シングルカットされた「Both Sides Now」も全米Hot 100で最高8位(イージーリスニング3位)、全英14位の大ヒットとなった。

後世への影響

「Both Sides Now」は1969年の第11回グラミー賞において「最優秀フォーク・パフォーマンス賞」を受賞。ジョニ・ミッチェルやレナード・コーエンの類まれな才能をポピュラー音楽のメインストリームへ決定的に認知させた歴史的マイルストーンとして、現在も高く評価されている。

トラックリスト

  1. A1 Michael From Mountains 3:10
  2. A2 Since You Asked 2:34
  3. A3 Sisters Of Mercy 2:31
  4. A4 Priests 4:55
  5. A5 A Ballata Of Francesco Landini - Lasso! Di Donna 4:34
  6. B1 Both Sides Now 3:14
  7. B2 La Chanson Des Vieux Amants (The Song Of Old Lovers) 4:40
  8. B3 Sky Fell 1:47
  9. B4 Albatross 4:51
  10. B5 Hey, That's No Way To Say Goodbye 3:28

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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