Etta James - Tell Mama (1968)
Etta James 1968

Etta James - Tell Mama (1968)

Pop Blues Funk / Soul Soul Vocal Rhythm & Blues

Etta James『Tell Mama』(1968)について

Etta Jamesの『Tell Mama』は、1968年にCadetから発表されたアルバムで、彼女のキャリアの中でも重要な位置を占める1枚である。タイトル曲「Tell Mama」を軸に、「I’d Rather Go Blind」も強く印象に残る作品として知られ、ブルースの感触を残しながら、当時のソウル・ミュージックの流れにしっかり接続している。Etta Jamesという歌い手の持つ声の重さ、言葉の置き方、感情の出し方が、ここではかなり明確に前面へ出ている。

マッスル・ショールズ録音の意味

本作は1967年8月と11月に、アラバマ州マッスル・ショールズのFAME Studiosで録音された。プロデュースはRick Hall。Chess側が、低迷していたEtta Jamesの流れを立て直すため、当時勢いを増していたマッスル・ショールズ・サウンドに託した作品として位置づけられる。南部のリズム・アンド・ブルース、ソウル、ゴスペル由来の熱量が集まる場所で録音されたことで、このアルバムにはシカゴ系のChess作品とは少し違う、土の匂いのある推進力が入っている。

実際に聴くと、伴奏が前へ出すぎず、歌を支える役割に徹しているのが分かる。そこにEtta Jamesの声が乗ることで、楽曲が持つ輪郭がはっきりする。大きく張り上げるだけでなく、語るように押し込む部分があり、その緩急が曲の説得力につながっている。録音時期の近い南部ソウル作品と比べても、彼女の声の芯の強さがよく分かる内容である。

「Tell Mama」と「I’d Rather Go Blind」

アルバムの核はやはりタイトル曲「Tell Mama」である。もともとはClarence Carterの未発表曲「Tell Daddy」をもとにしたとされ、男性向けの内容を反転させた形で広まった。Etta Jamesの歌唱は、力みすぎず、しかし引かない。そのバランスがこの曲の持つ直截さとよく合っている。Billboard Hot 100で23位、R&Bチャートで10位を記録し、1968年のグラミー賞では女性R&Bボーカル部門にノミネートされた。商業面でも評価面でも、この時期の代表曲として扱われる理由が見えやすい。

もう一つの重要曲が「I’d Rather Go Blind」である。こちらはEtta Jamesの代表曲として非常によく知られており、後年まで多くの歌手に取り上げられた。曲そのものは派手な展開を持つわけではないが、声の揺れ方やフレーズの置き方に耳が行く。失恋を歌う曲として語られることが多いが、このアルバムの中では、感情を過剰に演出せずに伝える場面として機能している。

作品としての位置づけ

『Tell Mama』は、Etta Jamesにとって復活作として語られることが多い。1960年代前半から中盤にかけての彼女は、Chessでシングルやアルバムを重ねながらも、時期によっては流れが安定しない局面があった。その中で本作は、彼女がソウル歌手として再び強い存在感を示した一枚と見ることができる。ブルース、R&B、ソウルが自然に交差する作りで、単なる流行追随ではなく、Etta Jamesの声質と表現が中心にある点が大きい。

同時代の文脈で見ると、Aretha Franklinのような大きな存在感を持つ女性ソウル歌手が台頭していた時期でもあり、Etta Jamesはその流れの中で、よりブルース寄りの重さと、シカゴ系レーベルならではの記録性を保っていた印象がある。Southern soulの骨格を借りながらも、彼女固有の湿度と硬さが残っているところが、この作品の聴きどころになっている。

Cadet盤について

オリジナル盤はUS盤のCadet、品番はLPS 802。ラベル表記はLPS-802で、ジャケット表記はLPS 802となっている。CadetはChess系のレーベルで、当時のシカゴ・ソウル/R&Bの文脈を支えた重要なレーベルだった。オリジナル盤として1968年に出た本作は、その時代の空気をそのまま持っている。

なお、後年の再発ではオリジナル・アートワークが使われる例もあるが、本作については1968年当時の初出盤として押さえておくのが自然である。録音、制作、チャート実績、そしてEtta Jamesの歌唱が一体になったアルバムで、彼女の代表作群の中でも外せないタイトルのひとつである。

トラックリスト

  1. A1 Tell Mama 2:20
  2. A2 I'd Rather Go Blind 2:33
  3. A3 Watch Dog 2:06
  4. A4 The Love Of My Man 2:37
  5. A5 I'm Gonna Take What He's Got 2:32
  6. A6 The Same Rope 2:30
  7. B1 Security 2:27
  8. B2 Steal Away 2:19
  9. B3 My Mother-In-Law 2:20
  10. B4 Don't Lose Your Good Thing 2:26
  11. B5 It Hurts Me So Much 2:34
  12. B6 Just A Little Bit 2:11

動画プレイリスト

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