Leprous - Aphelion (2021)
Leprous 2021

Leprous - Aphelion (2021)

Rock Prog Rock

Leprous『Aphelion』について

ノルウェーのプログレッシブ・メタル・バンド、Leprousが2021年に発表した7作目のアルバムが『Aphelion』だ。バンドは2001年にノッテダルで結成され、Einar Solbergの歌とキーボード、Tor Oddmund Suhrkeのギターを軸に、長く編成を変えながら作品を重ねてきた。初期はプログレッシブ・メタル寄りの硬質な輪郭を持っていたが、2017年の『Malina』でクリーン・ボーカル中心の方向へ寄り、2019年の『Pitfalls』では電子音やシンフォニックな要素も前面に出している。その流れの先に置かれたのが、この『Aphelion』になる。

本作は、前作『Pitfalls』のツアーがパンデミックで中止になったことをきっかけに制作が始まった。もともとはEP規模の構想だったが、曲作りが進むにつれてフルアルバムへと発展したという経緯がある。Einar Solbergは、新作を出す予定がなかったところにコロナ禍が来たこと、そして熟考や完璧主義を強く持ち込まず、直感的で衝動的な作品になったことを語っている。タイトルの「Aphelion」は、天体が太陽から最も遠ざかる地点を指す語で、光から最も離れた場所という意味合いを持つ。制作段階では「Adapt」という仮題が使われていた。

サウンドと制作

録音はスウェーデンのGhostward Studiosとノルウェーの2つのスタジオで行われた。プロデュースはDavid Castillo、ミックスはPlaceboなどでも知られるAdam Nobleが担当している。編成面では、Leprousらしい緻密なアンサンブルに加えて、チェロのRaphael Weinroth-Browneやヴァイオリンのゲストも参加しており、弦の音色が楽曲の輪郭をはっきりさせている。バンドの持ち味であるリズムの切り替えや細かなダイナミクスに、こうした編成が重なることで、音数の多さよりも流れの変化が印象に残る作りになっている。

実際に聴くと、Leprousの作品の中でも、構成の詰め込みよりも曲ごとの推進力が前に出ている。大きな展開を何度も重ねるより、フレーズの反復や余白の使い方で緊張感を保つ場面が目立つ。Einar Solbergの歌は高域の伸びだけでなく、抑えた声の置き方でも曲を引っ張っていて、バンド全体の密度を上げすぎない役割を担っている。前作までの流れを踏まえつつも、完璧に整え切るより、その瞬間の勢いを残したような手触りがある。

アルバムの位置づけ

『Aphelion』は、Leprousがプログレッシブ・メタルの文脈にいながら、ロック寄りの構成や電子的な質感も取り込んできた流れの一つの到達点として見やすい作品だ。初期の『Tall Poppy Syndrome』や『Bilateral』のような複雑さをそのまま引き継ぐのではなく、『Coal』『The Congregation』で強まった緊張感、『Malina』以降のメロディ重視の書き方、『Pitfalls』の内省的な空気が、より整理された形で入っている。バンドの変化を追ってきた人には、ここで何を削り、何を残したかが見えやすい。

同時代のプログレッシブ・メタルの中では、技術の誇示よりも曲の流れや声の表情を前に出すタイプとして受け取られてきたバンドで、Ihsahn周辺のノルウェーの実験的なメタル/プログレの系譜とも近い場所にいる。Leprousはその中で、激しさだけに寄らず、歌と構成で引っ張る方向を強めてきた。本作もその延長線上にあり、派手な引用や露骨なジャンル混交より、バンド自身の書法がはっきり出た一枚になっている。

収録曲と反響

アルバムにはボーナストラックとして「A Prophecy To Trust」と「Acquired Taste (Live 2001)」が収録されている。通常曲の流れを補う位置づけで、作品の外側にある素材まで含めて聴ける構成だ。なお『Aphelion』は2021年8月27日発売で、UKロック/メタル・チャート7位、スイス10位、フィンランド11位を記録している。バンドの評価が欧州圏で安定していることを示す数字でもある。

ジャケットと仕様はゲートフォールド・スリーブ、ブラック・ヴァイナル。Inside Out Musicからの欧州盤として出ており、Leprousの2021年時点の音像をそのまま切り取った内容になっている。『Aphelion』は、パンデミック下の制作事情と、Leprousが積み上げてきた作曲の方向性が重なった作品として、バンドの現在地をそのまま示すアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Running Low 6:30
  2. A2 Out Of Here 4:15
  3. A3 Silhouette 3:44
  4. B1 All The Moments 6:52
  5. B2 Have You Ever? 4:41
  6. B3 The Silent Revelation 5:45
  7. B4 The Shadow Side 4:28
  8. C1 On Hold 7:47
  9. C2 Castaway Angels 4:53
  10. C3 Nighttime Disguise 7:04
  11. D1 A Prophecy To Trust 2:59
  12. D2 Acquired Taste (Live 2021) 9:09
  13. CD-1 Running Low
  14. CD-2 Out Of Here
  15. CD-3 Silhouette
  16. CD-4 All The Moments
  17. CD-5 Have You Ever?
  18. CD-6 The Silent Revelation
  19. CD-7 The Shadow Side
  20. CD-8 On Hold
  21. CD-9 Castaway Angels
  22. CD-10 Nighttime Disguise
  23. CD-11 A Prophecy To Trust
  24. CD-12 Acquired Taste (Live 2021)

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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