Mahavishnu Orchestra - Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔 (1973)
Mahavishnu Orchestra 1973

Mahavishnu Orchestra - Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔 (1973)

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Mahavishnu Orchestra『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』について

Mahavishnu Orchestraは、1970年代前半のジャズ・ロック/フュージョンを語るうえで外せないグループだ。中心にいるのはジョン・マクラフリンで、エレクトリック・ギターを軸にしながら、ジャズの即興性とロックの推進力を強く結びつけたバンドとして知られている。この『Between Nothingness & Eternity』は1973年の作品で、同年に日本でもCBS/Sonyからリリースされた盤。邦題は『虚無からの飛翔』で、当時の日本盤らしく、作品の持つ緊張感をそのまま別名で受け止めたような印象がある。

このアルバムは、スタジオ作品というよりライヴ記録としての性格が強い。1973年8月、Central Parkでの演奏を収めたもので、Mahavishnu Orchestraの持つ演奏力が前面に出る内容だ。オリジナル期のメンバーはマクラフリン、ジェリー・グッドマン、ヤン・ハマー、リック・レアード、ビリー・コブハム。全員が高い技術を持ちながら、単なる技巧披露で終わらず、曲の構造そのものを押し広げていくところにこのバンドの特徴がある。

1971年の結成から間もない時期に、すでにMahavishnu Orchestraは強い存在感を持っていたが、この1973年盤はその勢いがかなり濃く出た時期の記録といえる。スタジオ盤『The Inner Mounting Flame』『Birds of Fire』で固めた語法を、ライヴの場でさらに切迫した形にした内容で、バンドの初期像を確認するにはわかりやすい一枚だ。

収録内容の聴きどころ

この作品でまず目を引くのは、演奏の密度だ。Mahavishnu Orchestraは、ジャズのソロ回しの感覚を持ちながら、リズムの切れ目を細かく刻み、ロック寄りの強いビートでまとめていく。ビリー・コブハムのドラムは推進力の中心にあり、リック・レアードのベースはその上で輪郭を支える。そこへマクラフリンのギターとハマーの鍵盤、グッドマンのヴァイオリンが絡み、短いフレーズの応酬だけでもかなり情報量が多い。

ライヴ盤らしく、各曲のつながりやテンションの上がり方がはっきりしているのもポイントだ。スタジオ盤では整えられていた部分が、ここでは演奏の熱量として前に出る。特に、テーマ提示から即興へ移る場面での切り替えが早く、しかも雑にならない。演奏者同士が互いの反応を見ながら進めている感じがあり、曲の展開そのものがライブならではのものになっている。

「The Noonward Race」周辺の推進力

Mahavishnu Orchestraを代表する楽曲群の中でも、「The Noonward Race」はバンドの性格が見えやすい曲だ。速いテンポ、細かいユニゾン、切り込むようなギターとヴァイオリンの絡みが、バンドの基本線をそのまま示している。ライヴで聴くと、スタジオ版以上にリズムの圧が前に出て、各パートが同時に走っているような感覚が強い。

この曲では、単に速いだけではなく、フレーズの置き方がかなり整理されているのもわかる。コブハムのドラミングは複雑だが、拍の芯を見失わせない。そこにマクラフリンが鋭い音を重ね、ハマーが和声の厚みを足すことで、音数の多さに対して見通しが保たれている。Mahavishnu Orchestraの初期代表曲として扱われる理由も、こうした構成の明快さにあるはずだ。

「You Know, You Know」の広がり

もうひとつ注目したいのが「You Know, You Know」だ。こちらは激しい推進力だけで押し切るのではなく、メロディの流れが比較的はっきりしていて、Mahavishnu Orchestraの中では耳に入りやすい部類に入る。とはいえ、単純に聴きやすいだけではなく、途中でテンションの置き方が変わり、静と動の差がはっきり出る。

この曲をライヴで聴くと、テーマの輪郭がくっきりしているぶん、演奏の細部が見えやすい。ヴァイオリンとギターが同じ方向へ進む場面では、旋律の線が太くなり、逆に間を取る場面では一気に空気が変わる。Mahavishnu Orchestraが単なる高速演奏の集団ではなく、曲の中で強弱を組み立てるバンドだったことが伝わる一曲だ。

同時代の文脈で見ると

1970年代前半のフュージョンは、ジャズ側からもロック側からもいろいろな形で発展していたが、Mahavishnu Orchestraはその中でもかなり攻めた側にいる。マイルス・デイヴィスのエレクトリック化以降の流れや、トニー・ウィリアムスのLifetimeとも近い時代感がある一方で、このバンドはより構築的で、かつ爆発力のある演奏で印象を残している。ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロックという見方が並ぶのも自然だろう。

この1973年盤は、そうした初期Mahavishnu Orchestraの到達点のひとつとして見られる作品だ。のちにメンバーは大きく入れ替わるが、ここにあるのはオリジナル編成ならではの緊密さと、ライヴならではの切迫感。その組み合わせが、このアルバムの核になっている。

日本盤としての位置づけ

日本盤はCBS/Sonyからのリリースで、1973年当時の国内流通盤として出たものになる。Mahavishnu Orchestraのような演奏密度の高い作品は、当時の日本のリスナーにとっても、かなり強い印象を残したはずだ。邦題『虚無からの飛翔』も含めて、作品の持つ緊張感を日本市場向けに受け止めた一枚として見ることができる。

Mahavishnu Orchestraの初期をまとめて追うなら、スタジオ盤と並んでこのライヴ盤は重要な位置にある。録音の場が変わることで、バンドの持つ演奏の輪郭がさらに見えやすくなる作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Trilogy (The Sunlit Path / La Mere De La Mer / Tomorrow's Story Not The Same) 12:01
  2. A2 Sister Andrea 8:22
  3. B Dream 21:24

動画

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