Tako - Tako (1978)
Tako『Tako』について
ユーゴスラビアのプログレッシブ・ロック・バンド、Takoが1978年に発表したデビュー作が、この『Tako』である。オリジナルはユーゴスラビアのLPとして初出し、その後1992年にドイツのKalemegdan Diskから再発された盤が流通した。バンド名をそのまま掲げた作品だけに、まずはグループの基本形を示す一枚という位置づけが分かりやすい。
Takoは70年代後半のユーゴスラビア・プログレを代表するバンドのひとつとして語られることが多い。メンバーはDušan Ćućuz、Đorđe Ilijin、Miroslav Dukić、Slobodan Felekatovićらで、時期によってSava BojićやMilan Lolićも在籍していた。編成を見るだけでも、ベース、キーボード、フルート、ギター、ドラムスを軸にした、当時のプログレらしい多彩な音作りが想像しやすい。
作品の輪郭
本作は、シンフォニック・ロックを土台にジャズの要素を織り込んだ内容として受け止められてきた。オルガンやシンセ、フルート、ハープ、ハーモニカといった楽器が曲の中で役割を分け合い、単に派手なソロを並べるのではなく、曲全体の展開を細かくつないでいく構成が目立つ。録音は短期間で行われたと伝えられており、そのぶん演奏のまとまりと勢いが前に出た作品として聴かれている。
収録曲の中では「Druga Strana Mene」が代表曲として知られている。16分を超える長尺曲で、Takoの持つ大きな構成力が表れやすい一曲だ。静かなパートから厚みのあるアンサンブルへ進み、キーボードとギターが前へ出たり引いたりしながら、組曲的に展開していく。こうした長尺曲の扱いは、同時代のユーゴスラビア・プログレの中でも印象的で、演奏の密度を重視するバンドの姿勢がはっきり出ている。
1970年代ユーゴスラビア・ロックの文脈
Takoは、当時のユーゴスラビア・ロックの中でも、実験性と聴きやすさの両方を持つ存在として見られてきた。BOOM Festivalへの出演や、Bijelo Dugmeの前座で注目を集めたという経緯もあり、ライブ・シーンでの評価を土台に作品へつながっていった流れがうかがえる。主要レーベルからは商業性の面で慎重に見られていたとも伝えられるが、結果として残ったこのデビュー作は、当時のシーンの中でも個性の強い記録になっている。
比較の対象としては、同じく東欧圏のシンフォニック・ロックや、ジャズ・ロック寄りの展開を持つグループが思い浮かぶ。とはいえTakoの場合は、演奏の技巧を前面に出しつつも、曲の流れを崩しすぎないまとまりがあり、単なる技巧派というよりは、構成で聴かせるタイプのバンドという印象が残る。70年代のプログレにある長尺志向と、ジャズ由来のアンサンブル感が、素直に同居している作品だ。
1992年ドイツ盤について
今回の盤は1992年にドイツでリリースされたKalemegdan Disk盤で、レーベルの性格どおり東欧ロックの再紹介という役割も担っている。オリジナルの1978年LPがユーゴスラビアで出た作品を、90年代にあらためて西側で流通させた形で、再発盤としての意味合いが強い。B3にはボーナストラックが収録されており、オリジナル盤とは内容が少し異なる点もこの盤の特徴になっている。
この再発によって、Takoの初期作は当時のローカルな文脈だけでなく、東欧プログレの一例として広く参照されるようになった。バンドの後続作『U vreći za spavanje』と並べて聴くと、デビュー作の段階で既に、厚い鍵盤、動きの多いリズム、長めの展開を軸にした方向性が固まっていたことが分かる。
まとめ
『Tako』は、70年代後半のユーゴスラビア・プログレを知るうえで外せない一枚であり、Takoというバンドの輪郭を最初に示した作品でもある。シンフォニックな組み立て、ジャズ寄りの運び、長尺曲の構成力、そのあたりが一枚の中でまとまっている。1992年のドイツ再発盤は、そうした内容を改めて掘り起こす役割を果たした盤と言える。
トラックリスト
- A1 Wake Up 4:48
- A2 Synthesis 4:55
- A3 Merging Of Sunlight Into The Memory Of Sand 6:35
- A4 Lena 4:43
- B1 Miniature 2:55
- B2 Second Side Of Me 16:26
- B3 Journey To The South 3:42