Gong - Angel's Egg (Radio Gnome Invisible Part 2) (1973)
Gong『Angel's Egg (Radio Gnome Invisible Part 2)』について
Gongの『Angel's Egg』は、1973年に発表された4作目のスタジオ・アルバムで、Virgin移籍後の2作目にあたる作品だ。Daevid Allenを中心に、Steve Hillage、Miquette Giraudy、Mike Howlett、Pierre Moerlenらが参加し、Gong独自の神話世界を軸にした「Radio Gnome Invisible」三部作の第2作として位置づけられている。前作『Flying Teapot』で立ち上がった物語がここでさらに進み、次作『You』へとつながっていく流れになっている。
録音は1973年8月、フランスのPavillon du HayでManor Mobileを使って行われた。ミックスはイングランドのオックスフォードシャーにあるThe Manorでまとめられている。制作クレジットは「Gong under the direction of Giorgio Gomelsky」。Gongの作品群の中でも、コンセプト、演奏、構成のまとまりが強い時期の記録として見られている。
三部作の中での位置
「Radio Gnome Invisible」三部作は、Gongの世界観を理解するうえで中心になる流れだ。Zero the Hero、Pot Head Pixies、Seleneといった固有の名前が並ぶが、単なる奇抜さで終わらず、楽曲の展開そのものが物語の進行と結びついている。『Angel's Egg』はその第2章で、前作よりも音の輪郭がはっきりしており、ジャズロック寄りの演奏感も前面に出る。
演奏面では、Steve Hillageのギター、Mike Howlettのベース、Pierre Moerlenのドラムが軸になっている。Didier Malherbeのサックスやフルートも重要で、スペース・ロック的な浮遊感と、アンサンブルの細かい動きが同居している。GongはCanterbury周辺とも結びつけて語られることが多いが、この時期の音には、ソフト・マシーンやハットフィールド・アンド・ザ・ノースに近い流れを感じる場面もある。一方で、語りやユーモアの扱いはGong独自のものだ。
収録曲と聴きどころ
このアルバムでは、曲の切れ目よりも全体の流れが印象に残る。短い導入、語り、インストゥルメンタル、リズムの切り替えが連なって進む作りで、1曲ごとの個性が強い。中でも「Other Side of the Sky」「Sold to the Highest Buddha」「Flute Salad」「Oily Way」あたりは、Gongらしい要素がよく出る場面だ。軽いフレーズの反復、突然の展開、音の隙間の使い方がはっきりしている。
終盤に置かれた「Oily Way」から「Outer Temple」「Inner Temple」へ進む流れも特徴的で、曲名そのものが物語の章立てのように見える。アルバム全体を通して、演奏の密度は高いのに、押しつけがましさは少ない。実際に聴くと、音数の多さよりも、各楽器が少しずつずれて動く感じが残る。そこがこの作品の面白さだ。
オリジナル盤と1978年日本盤
この日本盤は1978年リリースで、VirginのVIP-6924。オリジナルの1973年盤と比べると、時期の違いがまず大きい。オリジナル盤にはブックレットが付属し、神話の解説、歌詞、用語集、登場人物やメンバーの紹介まで収録されていた。また、見開きジャケット、青いインナースリーブ、当時のVirginの黒白ラベルが使われていた。後年のプレスではこれらが簡略化されることがある。
1978年の日本盤は、Virginのレーベル・デザイン史の中では比較的新しい時期のプレスにあたる。Virginは1970年代後半にかけてラベル意匠が何度か変わっており、日本盤でもその時代の仕様が反映される。オリジナル初版の資料性と比べると、再発盤は音源を手元で聴くための実用的な存在になる。
作品の背景と評価
『Angel's Egg』は、Gongが単なる実験色の強いグループではなく、構成力を持ったバンドとして見られる局面の作品だ。1970年代前半のプログレやサイケデリック・ロックの中でも、英国的なロックの枠に収まりきらない立ち位置にある。Pink Floydの長尺曲や、Henry Cowのような前衛性とも異なり、Gongは物語性、即興感、ユーモアを同時に抱えている。
後年のGongはメンバー変動が非常に多いが、この時期の録音は、バンドの核が比較的はっきり見える。Daevid Allenの独特の語り口と発想、Steve Hillageのギター、Pierre Moerlenの推進力が揃った記録として、Gongの代表作の一つに数えられるのも自然だ。音の面では、混沌よりも整理された印象が強く、神話世界を音楽として成立させるバランス感覚がよく出ている。
まとめ
『Angel's Egg (Radio Gnome Invisible Part 2)』は、Gongの神話的な世界観と、演奏の精度がきちんと噛み合ったアルバムだ。1973年のオリジナル発表時点で三部作の中核を担い、1978年の日本盤でもその内容を確かめられる。スペース・ロック、プログレ、サイケデリック・ロックの要素が混ざりながら、どこか軽やかに進む構成。Gongというバンドの個性が、もっとも分かりやすい形で残された一枚だ。
トラックリスト
- A1 Other Side Of The Sky 7:40
- A2 Sold To The Highest Buddha 4:25
- A3 Castle In The Clouds 1:09
- A4 Prostitute Poem 4:52
- A5 Givin My Luv To You 0:43
- A6 Selene 3:38
- B1A Flute Salad 2:09
- B1B Oily Way 3:37
- B2 Outer Temple 1:09
- B3 Inner Temple 2:34
- B4 Percolations 0:46
- B5 Love Is How Y Make It 3:27
- B6 I Never Glid Before 5:36
- B7 Eat That Phone Book Coda 3:12
動画プレイリスト
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Other Side Of The Sky (Remastered 2018)
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Sold To The Highest Buddha (Remastered 2018)
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Castle In The Clouds (Remastered 2018)
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Prostitute Poem (Remastered 2018)
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Givin' My Luv To You (Remastered 2018)
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Selene (Remastered 2018)
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Flute Salad (Remastered 2018)
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Oily Way (Remastered 2018)
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Outer Temple (Remastered 2018)
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Inner Temple (Remastered 2018)
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Percolations (Remastered 2018)
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Love Is How Y Make It (Remastered 2018)
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I Never Glid Before (Remastered 2018)
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Eat That Phone Book Coda (Remastered 2018)