Peter Baumann - Repeat Repeat (1981)
Peter Baumann『Repeat Repeat』
『Repeat Repeat』は、元Tangerine DreamのPeter Baumannが、ニューヨーク移住後の1981年に発表した作品です。長尺の電子インスト中心だったそれまでの流れから、短い曲形式と歌入りへ大きく舵を切ったアルバムとして語られています。VirginのOVED番台で出たUK盤で、Virginのミッドプライス・シリーズに含まれる1枚です。
制作背景・エピソード
本人は、シンセを長年続けた結果として「スネアの音が新鮮に聞こえた」と語っており、短いソング・フォームへの関心が制作の動機にあったことがうかがえます。制作では、Baumann自身が作曲、演奏、プロデュース、エンジニアまで担当し、Robert Palmerが共同プロデュースを務めました。紹介記事では、Palmerが打楽器面で知見を与え、Baumannは電子音の可能性を広げたとされています。
当時の取材では、自宅スタジオ「Cronex Media」にコンピュータと16台のミニモーグを組み込んだ独自システムで作業していたことも明かされています。ただし、そのシステムは全体の約40%程度にしか使っていなかったとも伝えられています。こうした制作環境も含めて、従来のバンド活動とは別の形で組み立てられた作品だったことが見えてきます。
時代の文脈
本作は、Baumannのキャリアの中では『Trans-Harmonic Nights』まで続いていた電子インスト路線からの転換点に置かれています。AllMusicはこのアルバムを、Baumannの作品の中でも「最もクラブ志向の強い」ものとして位置づけています。1982年の米『Cash Box』では「Daytime Logic (Baby Won’t You Marry Me)」がダンス・クラブで注目されていると紹介され、ニューヨーク移住の影響や、短い曲とリズム重視への変化が本人の言葉で説明されていました。
レビューでは、Progrographyが「mechanical blips and beeps and beats」と表現し、Baumannのロボット的な歌唱にも触れています。AllMusicはジャンルをニューエイジ/プログレッシブ・エレクトロニックとしつつ、内容面ではクラブ志向を示しています。Tangerine Dream期の大作とは違う方向に進んだ1枚、という整理がしやすい作品です。
後世への影響
確認できた範囲では、この作品の明確なカバーやサンプリングの記録は見つかっていません。一方で、後年の再発盤や回顧的な紹介を通じて、「ニューウェイヴ寄りの転向作」として取り上げられています。theartsdeskの再発紹介でも、Peter BaumannのVirgin期アルバムを振り返る文脈で扱われていました。
商業的には大きなヒット作としては扱われておらず、主要チャートで目立つ実績も確認できません。ただ、米『Cash Box』で「Daytime Logic (Baby Won’t You Marry Me)」がクラブで注目されたことは記録されていて、アルバム全体よりも、個別曲の反応を通して存在が伝わった作品でもあります。
まとめ
『Repeat Repeat』は、Tangerine Dreamを離れたBaumannが、ニューヨークでの活動の中で短い曲、歌、リズムに比重を移した作品です。Robert Palmerとの共同プロデュース、自宅スタジオでの制作、クラブでの反応、そして後年の再評価まで、1981年という時期のBaumannを知るうえで重要な1枚になっています。
トラックリスト
- A1 Repeat Repeat 3:43
- A2 Home Sweet Home 3:44
- A3 Deccadance 3:11
- A4 Realtimes 3:25
- A5 M.A.N. Series Two 3:37
- B1 Brain Damage 2:45
- B2 Kinky Dinky 3:14
- B3 Daytime Logic 2:51
- B4 Playland Pleasure 3:27
- B5 What Is Your Use 3:30