Raf - Raf (1984)
Raf『Raf』(1984) —— イタリアから出た英語詞デビュー作
Rafの『Raf』は、イタリアのシンガー/ソングライター、Raffaele Riefoliが1984年に発表したデビュー・アルバムである。のちに代表曲「Self Control」の印象が強く残る作品だが、この時点ではすでに英語詞を軸にしたポップ/ダンス志向のサウンドで、80年代前半のヨーロッパ産シンセ・ポップの流れの中に置ける内容になっている。イタリア盤はCarrereからのリリースで、内袋とポスターが付属していたことも確認できる。
作品の位置づけ
Rafにとってこのアルバムは、単なる初作というより、後の活動の出発点として重要な一枚である。彼はその後も作曲家、歌手として長く活動するが、1984年の時点ではまず英語を使った国際的なポップ・アクトとして前面に出てきた形だ。イタリア国内ではアルバムがチャート上位に入り、収録曲「Self Control」はシングルとして大きな成功を収めた。年間シングル・チャートで1位を記録したこともあり、このデビュー作が当時かなり強い存在感を持っていたことが分かる。
「Self Control」とアルバムの核
この作品を語るうえで外せないのが「Self Control」である。Raf本人のオリジナル版は、のちにLaura Braniganのカヴァーで世界的に広く知られることになるが、もともとはRaf自身の作家性を示す重要な楽曲だった。アルバム全体を通しても、この曲の持つ硬質なリズム感、シンセの輪郭、英語詞の直線的な響きが基調になっている。80年代前半らしい打ち込みとメロディの組み合わせで、当時のヨーロッパのポップ・シーンらしい作りだと感じる。
実際に聴くと、単にヒット曲を中心にした作品というより、アルバム全体が同じ時代の空気を共有していることが分かる。ドラムマシンの乾いた質感、ベースラインの押し出し、シンセの装飾が前に出すぎず、歌を支える形で配置されている。歌メロは耳に残りやすいが、過度に甘くはならず、クラブ寄りの感触もある。こうした点は、同時代のイタロ・ポップや英国のシンセ・ポップと比較しても、かなり素直に当時の国際標準へ接続している印象を受ける。
80年代ヨーロッパ・ポップの文脈
1984年という年は、ヨーロッパ各地でシンセを用いたポップが広く浸透していた時期である。Rafのこのデビュー作も、その流れの中で理解しやすい。イタリア出身でありながら、英語詞で勝負している点には、国内市場にとどまらない視野が見える。フランス系レーベルCarrereからの発売という事実も、その国際性を裏づける要素だろう。
また、後年の回顧では、Rafはイタリア語の作家性と洗練されたソウル/シンセ系サウンドをつなぐ存在として語られることが多い。このアルバムは、その後のキャリア全体を見たときの原点にあたる。のちにイタリア語圏での活動へ比重が移っていくが、1984年の『Raf』には、まず国境をまたぐポップ・アクトとして立ち上がろうとする意志がはっきり出ている。
盤の仕様について
このイタリア盤には、プリントされた内袋と27×54cmのフォト・ポスターが付属している。80年代のLPらしい付加物で、当時の発売形態をそのまま伝える要素だ。ジャケットや付属物を含めて見ると、シングル・ヒットの勢いをそのままアルバムに接続しようとした時代の空気が感じられる。レーベル表記はCarrereで、イタリア製造のCBS盤として流通していたことも確認できる。
まとめ
Raf『Raf』は、「Self Control」のヒットだけで片づけるには惜しい、1984年のイタリア産英語詞シンセ・ポップの代表的な出発点である。作品全体は、当時のヨーロッパのポップ・サウンドを背景にしながら、Raf自身のソングライターとしての輪郭をはっきり示している。のちにこの曲が各国で別解釈を生み、彼の名が広く知られるようになる流れを考えると、このデビュー作はキャリアの中でもかなり重要な位置を占める一枚といえる。
トラックリスト
- A1 Change Your Mind 5:25
- A2 Why In The World 3:51
- A3 She's A Criminal 4:56
- A4 Imagination Lover 4:14
- A5 Frontiers 2:34
- B1 Black And Blue 6:40
- B2 I Don't Want To Lose You 4:46
- B3 Self Control 4:05
- B4 Madeleine O. 4:46