Talking Heads - Talking Heads: 77 (1977)
Talking Heads 1977

Talking Heads - Talking Heads: 77 (1977)

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Talking Heads『Talking Heads: 77』レビュー

Talking Headsのデビュー・アルバム『Talking Heads: 77』は、1977年にUSのSireからリリースされた作品で、ニューヨークのCBGB周辺から出てきたバンドの初期像をそのまま刻んだ一枚だ。後の大きな成功や洗練されたアレンジに先立って、ここにはデヴィッド・バーンの神経質な歌い回し、タイトなリズム、そして必要以上に音を足さない演奏がある。いわゆるパンクの時代に出てきた作品ではあるが、単純な速さや荒さだけで押すアルバムではなく、60年代ポップやソウル、フォークロックの要素を独自の距離感で組み替えた内容になっている。

バンドの出発点としての位置づけ

Talking Headsは1975年にニューヨークで結成された4人組で、デヴィッド・バーン、クリス・フランツ、ティナ・ウェイマス、ジェリー・ハリソンという編成で始まった。『Talking Heads: 77』はその最初のスタジオ・アルバムであり、バンドの基本形がすでに明確に出ている。のちの作品で見られるファンク寄りの展開やアフリカ音楽への接近に比べると、この時点ではもっと乾いた感触が強い。だが、演奏の間合いやリズムの置き方には、後年のトーキング・ヘッズにつながる特徴がすでにある。

このアルバムは、CBGBで鍛えた楽曲をスタジオで整えた流れが見えやすい一枚でもある。録音はニューヨークのSundragon Studiosで行われ、共同プロデュースはトニー・ボンジョヴィとランス・クイン。録音現場の緊張感が、そのまま音の輪郭に残っている印象だ。演奏は派手ではないが、各パートの噛み合いがはっきりしていて、余白の使い方がよくわかる。

代表曲「Psycho Killer」

収録曲の中で最も知られているのは「Psycho Killer」だろう。デヴィッド・バーンの話し方に近い歌唱と、淡々と進むベース、鋭いギターの組み合わせが曲の核になっている。後年、バンドの代表曲として扱われるのも納得できる完成度で、歌詞の内容だけでなく、音の組み立てそのものが不穏さを支えている。ライブで磨かれた曲がスタジオに入っても勢いを失っていない点も、このアルバムを象徴している。

ほかの曲も、単純に「変わっている」というより、短いフレーズや反復をどう配置するかに重きがある。聴き進めると、ロックの基本形を踏み外しているというより、必要な要素だけを残して再配置していることが見えてくる。そこが同時代のパンク・バンドと並べたときの違いでもある。性急さだけではなく、構成の明確さがある。

当時のニューヨーク・シーンとの関係

1977年という年は、ニューヨークのパンク/ニューウェーブが外へ広がり始めた時期でもある。Talking HeadsはRamonesやDead Boysのような直線的なパンクとは少し距離があり、よりアート寄りの感覚を持っていた。ブライアン・イーノ以降の実験性が注目される前段階として、このデビュー作にはすでに「ロックの型をそのまま使わない」姿勢が出ている。結果として、のちのポストパンクやオルタナティブの文脈で語られることも多い作品になった。

発売当時の評価も含めて見ると、『Talking Heads: 77』は大きなヒットで押し切ったアルバムではない。むしろ、商業的な勢いよりも、都市の空気や演奏の緊張感が先に記憶されるタイプの作品だ。Sireレーベルが当時、ニューヨークの新しいバンドを積極的に拾っていた流れの中でも、このアルバムは重要な位置を占めている。

US初回盤の情報

今回のUS盤はSireのSR 6036。Sundragon Studios録音、Masterdiskでのマスタリング、Capitol Records Pressing Plant, Los Angelesでのプレスという記録が残っている。ジャケットのスパイン表記は「Talking Heads 77」、レーベル表記は「Talking Heads '77」となっており、初期盤らしい細かな表記の違いも確認できる。内袋には歌詞、クレジット、写真が収められていて、当時のアルバムとしては資料性も高い。

『Talking Heads: 77』は、後の大作へ向かう前の出発点でありながら、すでにバンドの個性がかなりはっきりしているアルバムだ。パンクの年に出た作品としては、単純な勢いよりも構成と間合いが目立つ。トーキング・ヘッズというバンドが、ロックを少しずつずらしながら前に進むタイプだったことを、この1枚はよく示している。

トラックリスト

  1. A1 Uh-Oh, Love Comes To Town 2:48
  2. A2 New Feeling 3:09
  3. A3 Tentative Decisions 3:04
  4. A4 Happy Day 3:55
  5. A5 Who Is It? 1:41
  6. A6 No Compassion 4:47
  7. B1 The Book I Read 4:06
  8. B2 Don't Worry About The Government 3:00
  9. B3 First Week/Last Week...Carefree 3:19
  10. B4 Psycho Killer 4:19
  11. B5 Pulled Up 4:29

動画プレイリスト

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