The Beach Boys - Pet Sounds (1966)
The Beach Boys 1966

The Beach Boys - Pet Sounds (1966)

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The Beach Boys『Pet Sounds』(1966) レコード紹介

The Beach Boysの『Pet Sounds』は、1966年にアメリカで発表された11作目のスタジオ・アルバムで、同グループの作品の中でも特に重要な位置を占める一枚だ。サーフ・ミュージックのイメージで語られがちなバンドが、この作品ではかなり内省的で、私的な感情を前面に出した音楽へと踏み込んでいる。表面的な華やかさよりも、曲の構成、和声、音色の組み合わせに耳が向くアルバムで、The Beach Boysの別の顔がはっきり見える内容になっている。

作品の背景と制作

制作のきっかけとしてよく語られるのが、ブライアン・ウィルソンがビートルズの『Rubber Soul』に強い刺激を受けたという話だ。そこから本作の制作に着手し、作詞には広告業界出身のトニー・アッシャーを迎えた。これにより、従来の海や車を題材にした楽曲中心の世界から、愛、孤独、自己像、成長といったテーマへと焦点が移っている。

演奏面では、ハル・ブレイン、キャロル・ケイらロサンゼルスのセッション・ミュージシャン集団「レッキング・クルー」が起用された。1966年1月から4月にかけて、ハリウッドの複数スタジオで制作が進められたという。バンドのコーラスとスタジオ・ミュージシャンの演奏が緻密に組み合わさり、ビーチ・ボーイズの作品でありながら、通常のロック・バンドの録音とは少し違う密度を持った仕上がりになっている。

サウンドの特徴

このアルバムを聴くと、まず音の配置の細かさが目につく。自転車のベル、犬笛、コカ・コーラの缶、犬の鳴き声、電気テルミンなど、当時のポップ・アルバムとしてはかなり変化球の音素材が使われている。そうした音が単なる効果音で終わらず、曲の一部として組み込まれているところに、ブライアン・ウィルソンの制作意図が見える。

実際に聴くと、まずボーカルの重なりが目立つ。高音域のコーラスが前に出る場面でも、単に明るいだけではなく、少し影のある響きが残る。続いて、ベースやドラムの輪郭が意外なほどはっきりしていて、メロディの流れを支えている。楽器の音数は多いのに、混み合った印象になりすぎず、各曲の短い尺の中に情報量が詰め込まれている感じがある。

代表曲とアルバム内の流れ

収録曲の中では「Wouldn’t It Be Nice」「God Only Knows」「Sloop John B」「Caroline, No」あたりが代表曲として知られている。特に「God Only Knows」は、ポップソングとしての端正さと、感情の切実さが同居した曲で、アルバム全体の中心にあるような存在だ。「Wouldn’t It Be Nice」は冒頭から印象を残す構成で、若さと期待がそのまま音になったような勢いがある。

一方で、「I Just Wasn’t Made for These Times」や「That’s Not Me」のような曲では、成功や幸福の外側にある感覚が静かに置かれている。『Pet Sounds』が単なる名曲集ではなく、ひとつのまとまった作品として読まれる理由は、この感情の並び方にある。曲ごとの個性が強いのに、全体では同じ方向を向いている。

当時の評価とその後の影響

発売当初、アメリカではビルボードLPチャート10位止まりで、商業的には大きな爆発にはならなかった。一方、イギリスでは批評家から高く評価され、最高2位を記録し、半年にわたってトップ10圏内にとどまった。英国での受け止められ方が先に熱を帯びた作品としても知られている。

このアルバムは、後のポップ・ロックやサイケデリック・ロックの文脈でも頻繁に参照される。ポール・マッカートニーが高く評価していたことはよく知られていて、ビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』にも少なからず影響を与えたとされる。制作面での緻密さ、アルバム全体を通した構成感、スタジオを作曲の延長として扱う発想は、その後の多くの作品に接続していく。

この1966年US盤について

今回のUS盤はCapitol Recordsのオリジナル期にあたるもので、レーベル表記はDT 2458。LAプレスのバリエーションとして扱われる盤で、ラベルの書体、裏ジャケットのRIAAロゴ付近にある「6」の印字、ランアウトの情報で見分けられる。初出当時の空気をそのまま持つ一枚として、後年の再発盤とは別の物として整理されることが多い。

『Pet Sounds』は、The Beach Boysのキャリアの中でも転換点にある作品だ。サーフ・バンドとしてのイメージから離れ、ブライアン・ウィルソンの作家性が前面に出たアルバムであり、同時代のポップスを押し広げた記録でもある。音の作り込み、感情の置き方、曲順の流れまで含めて、1966年のロック・アルバムの中でもかなり独特な位置に立っている。

トラックリスト

  1. A1 Wouldn't It Be Nice 2:22
  2. A2 You Still Believe In Me 2:33
  3. A3 That's Not Me 2:27
  4. A4 Don't Talk (Put Your Head On My Shoulder) 2:52
  5. A5 I'm Waiting For The Day 3:01
  6. A6 Let's Go Away For Awhile 2:18
  7. A7 Sloop John B 2:57
  8. B1 God Only Knows 2:46
  9. B2 I Know There's An Answer 3:10
  10. B3 Here Today 2:38
  11. B4 I Just Wasn't Made For These Times 3:21
  12. B5 Pet Sounds 2:20
  13. B6 Caroline, No 2:16

動画プレイリスト

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