Don Henley - Building The Perfect Beast (1984)
Don Henley 1984

Don Henley - Building The Perfect Beast (1984)

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Don Henley『Building The Perfect Beast』

イーグルスの中心人物として知られるドン・ヘンリーが、ソロで1984年に発表した2作目が『Building The Perfect Beast』だ。前作『I Can’t Stand Still』から間を置かずに出した作品だが、内容はかなり練り込まれていて、ソロ・アーティストとしての輪郭がはっきり見える一枚になっている。80年代半ばのアメリカン・ロックの中でも、打ち込みやシンセの質感を取り込みながら、歌の芯をしっかり残したアルバムとして記憶されている。

この日本盤はGeffen Recordsの1984年リリースで、型番は28AP 2976。帯と4ページのインサートが付属し、日本語ライナーと英語・日本語歌詞が収められている。ポリ製の内袋付きで、当時の国内盤らしい丁寧な仕様。バックカバー、背表紙、インサート、帯には28AP 2976、レーベル面には28AP 2976 (GF) と記載されている。

作品の位置づけ

『Building The Perfect Beast』は、ドン・ヘンリーのソロ活動を代表する作品として扱われることが多い。商業的にも成功し、Billboard 200で最高13位、RIAAでは3×プラチナを獲得した。シングルも強く、収録曲から4曲がBillboard Hot 100のTop 40入りを果たしている。中でも「The Boys of Summer」は、彼の代表曲として広く知られている。

この曲は、ギターの印象的なフレーズと、過ぎ去った季節や記憶を追う歌詞が結びついた一曲で、80年代のロック・ラジオを象徴する存在になった。ミュージックビデオも含めて露出が大きく、ドン・ヘンリーをイーグルスの元メンバーという枠から押し広げた楽曲でもある。ほかにも「All She Wants to Do Is Dance」など、アルバム全体の中でシングル候補になりうる曲が並ぶ。

制作と参加ミュージシャン

制作面では、ドン・ヘンリー、ダニー・コーチマー、グレッグ・ラダニーを軸に組み立てられている。さらにマイク・キャンベル、ベンモント・テンチ、スタン・リンチら、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ周辺のミュージシャンが参加し、音の骨格にロック・バンドとしての推進力が加わっている。そこにリンドジー・バッキンガム、ベリンダ・カーライル、パティ・スミスらも加わり、ゲストの色合いが曲ごとの表情を広げている。

とくに「The Boys of Summer」は、マイク・キャンベルが元のアイデアを持ち込み、そこからヘンリー向けにコード進行が調整されたというエピソードが知られている。トム・ペティ側では使われなかった素材が、別の形で大きな成果につながった例としても興味深い。

音の印象

実際に聴くと、派手さよりも整理された作りが先に立つ。ドラム、シンセ、ギター、コーラスの配置が明快で、各曲の輪郭が崩れない。ロックの勢いを保ちながらも、音数の多さをそのまま押し出すのではなく、必要な部分だけを前に出していく構成だ。ボーカルは低めのトーンで、語るように進む場面が多いが、そのぶん感情の起伏が細かく伝わる。

前半には私的な感情を抱えた曲が並び、後半に進むにつれて社会や都市の空気へ視線が広がっていく流れがある。曲ごとの役割がはっきりしていて、アルバム単位で聴いたときにまとまりが出る。派手な一発勝負ではなく、曲順を含めて設計された印象が強い。

同時代の文脈

1984年という時期を考えると、アメリカン・ロックはMTV以後の見せ方と、ラジオ向けの整ったサウンドの両方が求められていた。『Building The Perfect Beast』は、その流れの中でロックの骨格を保ちながら、80年代的なプロダクションをしっかり取り入れた作品として位置づけられる。イーグルスの延長線上にある大人のロックという面もあるが、単に懐古的ではなく、当時のポップ・ロックの更新にきちんと反応している。

ローリング・ストーンのクルト・ローダーは、この作品を恋愛と政治をめぐる、細部まで作り込まれた曲集として捉えていた。そうした見方の通り、個人的な感情と社会的な視点が同居しているのがこのアルバムの特徴だ。AllMusicでも、ヘンリーのソロ作の中で成熟した統一感のある作品として扱われている。

日本盤の魅力

この日本盤は、帯付きで歌詞対訳と日本語ライナーが付く点が大きい。1980年代の輸入盤では拾いきれない情報が国内盤にまとまっていて、当時の聴き手がアルバムの背景を追いやすい仕様になっている。レーベル面の表記や内袋の仕様も含めて、オリジナル期の日本盤らしいまとまりがある。

『Building The Perfect Beast』は、ドン・ヘンリーのソロ活動を語るうえで外せない一枚であり、80年代アメリカン・ロックの中でも、洗練された作りとヒット性が両立した作品として残っている。代表曲「The Boys of Summer」を中心に、アルバム全体でも完成度の高い流れが続く構成。イーグルス以後のヘンリーの立ち位置を、かなり明確に示した作品だ。

トラックリスト

  1. A1 The Boys Of Summer 4:45
  2. A2 You Can't Make Love 3:34
  3. A3 Man With A Mission 2:43
  4. A4 You're Not Drinking Enough 4:40
  5. A5 Not Enough Love In The World 3:54
  6. B1 Building The Perfect Beast 4:59
  7. B2 All She Wants To Do Is Dance 4:28
  8. B3 Sunset Grill 6:23
  9. B4 Drivin' With Your Eyes Closed 3:41
  10. B5 Land Of The Living 3:24

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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