The Righteous Brothers - You've Lost That Lovin' Feelin' (1965)
The Righteous Brothers 1965

The Righteous Brothers - You've Lost That Lovin' Feelin' (1965)

Pop Funk / Soul

The Righteous Brothers / You've Lost That Lovin' Feelin'(1965)

The Righteous Brothers は、Bill Medley と Bobby Hatfield のデュオを軸にした米国ロック/ソウル・ヴォーカル・グループで、1960年代のポップス史の中でも強い存在感を残した組み合わせだ。本作 You've Lost That Lovin' Feelin' は、彼らの名を決定づけた代表曲をタイトルに掲げた1965年作で、Philles Records からのリリース。Phil Spector の制作仕事の中でも重要な位置を占める一枚であり、同時代のブリティッシュ・インヴェイジョンやアメリカン・ポップの流れの中で、ソウル寄りの重心を持った作品として聴ける。

タイトル曲の存在感

このアルバムを語るうえで、やはり表題曲「You've Lost That Lovin' Feelin'」は外せない。1964年9月26日にハリウッドの Gold Star Studios で録音され、Barry Mann、Cynthia Weil、Phil Spector の共作。Spector の「ウォール・オブ・サウンド」を代表する一曲として知られ、アコースティック・ギター4本、ピアノ3台、ベース3本にホーンとドラムを重ねた大編成のトラックが先に作られた。Bill Medley の低音に合わせ、キーをFからC#へ下げている点も特徴的で、声の重みを中心に据えた設計がはっきりしている。

ボーカル録音は2日間で39テイクに及んだとされ、完成形の密度はその制作過程をそのまま反映している。冒頭の入り方からすでに空間が埋まっていて、音の層が次々に重なり、サビに向かうたびに圧が増していく。実際に聴くと、メロディの美しさ以上に、音の押し出しとボーカルの配置が印象に残る。Bill Medley の低い声と Bobby Hatfield の高域がぶつかり合うというより、役割分担のまま並走している感触が強い。

ヒット曲としての広がり

この曲は1964年11月にシングル発売され、1965年2月6日付の Billboard Hot 100 で1位を獲得した。さらに BMI は1999年に「20世紀で最もラジオとテレビで流れた曲」と発表しており、Righteous Brothers の代表作という枠を超えて、60年代ポップの基準点の一つとして扱われている。英国では Cilla Black の競作が先に注目を集めたこともあり、米英双方で話題になった経緯もある。

なお、ラジオ向けのプロモーション盤では再生時間が3:05と表記されていたというエピソードも残る。実際の演奏時間はそれより長く、当時の放送フォーマットに合わせるための工夫があったことがうかがえる。長尺を短く見せるための表記だったわけだが、それでも曲の重さや展開は損なわれていない。

アルバムとしての性格

本作はタイトル曲を中心に据えつつ、アルバム全体ではソウルとスタンダードの両方に目配りした選曲になっている。Ray Charles の「What'd I Say」、ガーシュウィン/Kern & Hammerstein 系の「Old Man River」、Bill Medley 単独クレジットの「Soul City」など、曲の出自は幅広い。Righteous Brothers の強みは、曲のジャンルを統一することよりも、同じ声の組み合わせで異なる素材をまとめる点にある。

Bill Medley と Bobby Hatfield の組み合わせは、The Paramours から発展したデュオとして1963年に形になった。以後の彼らを決定づけたのが「You've Lost That Lovin' Feelin'」と「Unchained Melody」で、このアルバムはその入口にある作品でもある。後年のベスト盤で聴く印象よりも、ここでは当時の制作現場の熱量がそのまま残っていて、Phil Spector のプロデュースがいかに強い輪郭を持っていたかがわかりやすい。

Philles Records 盤として

リリースは米国の Philles Records、カタログは PHLP-4007。ジャケット前面に「PHLP-4007」、レーベル面には「ST-90692」が記載されているクラブ盤仕様で、プレスの刻印はスタンパーによるもの。Philles は1961年にロサンゼルスで設立され、Spector が後に株式を買い取って単独所有者となったレーベルで、1967年まで活動した。Righteous Brothers のような強いヴォーカル・グループを、Spector 流の大きな音像で包み込む場として機能していた。

1965年という年に置くと、本作はアメリカのポップスがビートルズ以後の変化に揺れる中で、なお強いソウル感覚とオーケストラ的な厚みを前面に出した一枚として見えてくる。シングルの圧倒的な知名度に隠れがちだが、アルバム全体でも当時の制作スタイルとデュオの歌唱力がきちんと形になっている。Righteous Brothers の入口としても、Phil Spector 仕事の代表例としても、位置づけははっきりしている作品だ。

トラックリスト

  1. A1 You've Lost That Lovin' Feelin' 3:30
  2. A2 Ko Ko Mo 2:00
  3. A3 Old Man River 2:45
  4. A4 Look At Me 3:00
  5. A5 What'd I Say 4:00
  6. B1 The Angels Listened In 2:25
  7. B2 Sick And Tired 2:58
  8. B3 Summertime 2:58
  9. B4 Over And Over 1:53
  10. B5 Soul City 2:15
  11. B6 There's A Woman 2:00

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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