Various - The British Psychedelic Trip Vol. 3 1966-1969 (1987)
Various 1987

Various - The British Psychedelic Trip Vol. 3 1966-1969 (1987)

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The British Psychedelic Trip Vol. 3 1966-1969

Various名義でまとめられたコンピレーション盤で、The British Psychedelic Trip Vol. 3 1966-1969 は、1966年から1969年にかけての英国サイケデリック・ロックとポップ・ロックの断片を集めた1枚。1987年にUKのSee For Miles Records Ltd.から出た作品で、タイトルどおり「British Psychedelic Trip」シリーズの第3弾にあたる。アーティスト単独の作品ではなく、当時のロンドン周辺を中心に広がっていたサイケデリック期の空気を、複数の録音でたどる構成になっている。

このシリーズは、60年代後半の英国音楽を、ヒット曲の再確認というより、当時の流行や録音現場の感触ごと切り取るタイプの編集盤として見たほうがわかりやすい。収録曲の年代も1966年から1969年までに絞られていて、いわゆる「サマー・オブ・ラブ」以後の英国ポップの変化が、1曲ごとに見えやすい作り。作品全体としては、派手な名曲集というより、時代の断面を並べたアーカイブ的な性格が強い。

1987年盤としての位置づけ

オリジナルの作品年は1987年。つまり、60年代当時の新譜ではなく、80年代に入ってから編集されたコンピレーションである。See For Miles Records Ltd.は英国の再発・編集盤で知られるレーベルで、こうした60年代音源の再評価を支えた存在として語られることが多い。この盤も、当時のサイケデリック・ロックを後追いで整理し直す流れの中にある1枚と見てよさそうだ。

再発盤や編集盤の場合、オリジナルのアルバム1枚と違って、録音時期やレーベルの違う曲が並ぶため、曲順そのものが聴きどころになる。ここでも、同じ「英国サイケデリア」といっても、フォーク寄りの曲、ポップ寄りの曲、歪みの強いギターが前に出る曲など、複数の方向が一続きで見える構成になっているはずだ。シリーズ名にある「Trip」という言葉どおり、曲単位で景色が切り替わる編集盤という印象。

60年代後半の英国サイケデリアという文脈

1966年から1969年の英国では、ビート・ポップの延長にある曲作りが、より実験的なサウンドへと移っていった。録音技術の変化、スタジオ効果、幻想的な歌詞、硬質なギター・リフ、オルガンの使用などが重なり、ポップ・ソングの形式を保ちながらも、雰囲気が大きく揺れる作品が増えていく。この盤は、そうした変化を「名盤」単位ではなく、複数のアーティストの断片で確認できるところに意味がある。

比較対象としては、同時代の英国サイケを語るうえでよく挙がるThe Beatles、The Small Faces、The Moody Blues、The Move、Pink Floydの初期などの流れが思い浮かぶ。ただし、このコンピレーションはその中心的な大物だけを追うのではなく、より広い層の録音を集めることで、当時のシーン全体の広がりを見せるタイプ。ヒットチャートの記憶だけでは拾いにくい、周縁部のポップ感覚も含まれている。

注目点1:サイケデリック・ロックとポップ・ロックの接点

この種の編集盤でまず目を引くのは、サイケデリック・ロックとポップ・ロックがきれいに分かれていない点。メロディがはっきりしている曲でも、音の処理やアレンジにひとひねりある場合が多く、逆に強いエフェクトを使っていても、曲そのものは短くまとまっていることがある。つまり、60年代後半の英国では、実験と大衆性が同じ曲の中で同居していたことがわかる。

こうした曲は、単体で聴くと派手さよりも細部の変化が印象に残りやすい。リズムの置き方、コーラスの重ね方、ギターの音色、オルガンの入り方など、1曲の中で小さな工夫が積み重なる構造。編集盤として並べることで、その共通点と差異が見えやすくなっている。

注目点2:1966年から1969年までの移り変わり

年代の幅が4年しかないのに、音の距離は意外と大きい。1966年頃の曲では、まだビート・グループの感触が残る場面があり、1967年になると色彩感や幻想性が前に出やすい。1968年から1969年にかけては、サイケデリックの記号がそのまま残るだけでなく、よりロック色の強い方向へ移る曲も出てくる。この変化を一枚で追えるのが、この盤の面白さだ。

シリーズ第3弾という位置づけも含めると、単発の企画ではなく、英国サイケデリアを複数巻で整理する意図が見える。1枚で完結するベスト盤ではなく、時代の断面を巻ごとに分けて提示する方式なので、60年代英国音楽の流れを少しずつ掘る資料的な性格がある。聴き方としては、曲の強さを競うより、並び方と時代感の差に耳を向ける盤という印象が強い。

総評

The British Psychedelic Trip Vol. 3 1966-1969 は、英国サイケデリック・ロックの盛り上がりを、1987年の編集視点で再構成したコンピレーション盤。アーティスト単位の名義ではなく、複数の録音を通して60年代後半の空気を見せる作りが特徴で、ヒット曲の再確認というより、当時のポップと実験の境目をたどる内容になっている。See For Milesらしい、アーカイブ性の高い1枚と言えそうだ。

60年代英国音楽の流れを、単なる代表曲集ではなく、細かな変化の積み重ねとして見せるところにこの盤の価値がある。サイケデリック・ロックという言葉でひとまとめにされがちな時代でも、実際には曲ごとに方向が違い、その差が編集盤の曲順から見えてくる。そういう意味で、タイトルどおり「旅」の感覚を持つコンピレーションだ。

トラックリスト

  1. A1 Renaissance Fair
  2. A2 Miss Pinkerton
  3. A3 Toffee Apple Sunday
  4. A4 Green Plant
  5. A5 Follow Me
  6. A6 Just One More Chance
  7. A7 Heavenly Club
  8. A8 'Cos I'm Lonely
  9. A9 Turquoise Tandem Cycle
  10. A10 Jenny Artichoke
  11. B1 Magic Potion
  12. B2 Cast A Spell
  13. B3 Deep Inside Your Mind
  14. B4 The Elf
  15. B5 Happy Castle
  16. B6 Death At The Seaside
  17. B7 Secret
  18. B8 In My Magic Garden
  19. B9 Woodstock
  20. B10 Desdemona
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