Smashing Pumpkins - Siamese Dream (1993)
The Smashing Pumpkins 1993

Smashing Pumpkins - Siamese Dream (1993)

Rock Alternative Rock

Smashing Pumpkins『Siamese Dream』

Smashing Pumpkinsの2作目となる『Siamese Dream』は、1993年にUSのCaroline Recordsから出たオリジナル盤。前作『Gish』の成功を受け、次の一手として大きな注目を集めた作品である。だがバンドの内情は崩れかけていた。ドラムのジミー・チェンバレンはヘロイン依存に陥り、James IhaとD’Arcy Wretzkyは恋人関係を解消したばかりだった。コーガン自身も鬱とライターズ・ブロックに苦しみ、神経衰弱を経てセラピーに通い始めている。のちには、録音中に自殺を計画していたとまで明かした。

制作背景と録音の経緯

録音は1992年12月から1993年3月にかけて、アトランタ北西郊外マリエッタのTriclops Sound Studiosで行われた。シカゴの友人や誘惑から離れること、さらにジミー・チェンバレンを薬物の入手先から遠ざけることが、場所を選んだ理由だったという。プロデューサーは前作に続いてButch Vig。コーガンとVigは長時間の作業を続け、45秒の部分に2日かけることもあったとされる。

制作の中心はBilly Corganで、彼は「速いから」という理由でギターとベースの多くを自分で担当した。これがJames IhaやD’Arcy Wretzkyとの軋轢につながり、Vigによれば2人のパートがコーガンに差し替えられる場面もあったという。ギターの重ね録りも徹底しており、「Soma」には最大40本のギターが重ねられたとされる。Vigは1曲に100本のギター・パートを入れたこともあると語っている。

チェンバレンが数日間姿を消した後には、コーガンが「Cherub Rock」を手から血が出るまで叩かせたというエピソードも残る。その後、チェンバレンはリハビリ施設に入っている。録音は予定より約4か月延び、予算も25万ドル超過。さらにAlan Moulderのミックスも、予定の2週間を大きく超えて36日かかった。

曲の背景も具体的だ。「Today」は、コーガンが鬱と自殺願望の中で過ごした1日を歌った曲で、本人は8か月ほど「完全に自殺を考える状態」が続いたと振り返っている。そのうえで、「今日は人生最高の日だ」と歌う曲を書くのは可笑しかったとRolling Stoneに語り、この曲と「Disarm」を書くのは「はらわたを引き裂くような」作業だったとも述べた。イントロのリフは、ある日「突然、一音一音そのまま頭の中で聞こえた」ものだという。「Cherub Rock」はインディ・ロックのコミュニティやメディアとの関係を題材にしており、アルバムの中で最後のほうに書かれた曲である。ドラムのイントロは、コーガンによればRushの「By-Tor and the Snow Dog」から取ったものだという。「Spaceboy」は異母弟Jesseに捧げられ、「Mayonaise」はコーガンとIhaの共作。「Soma」ではR.E.M.のMike Millsがピアノを弾いている。

時代の文脈

『Gish』の予想外の成功のあと、Smashing PumpkinsはNirvana『Nevermind』のヒットとも重なり、「次のNirvana」として見られた。コーガン自身は、次のアルバムで期待に応えなければならないという強い圧力を感じていたという。そうした空気の中で作られた本作は、Virginからのリリースで、当初のシングル選びでもやり取りがあった。Virginの幹部は「Today」を1枚目のシングルにしたがったが、コーガンは「Cherub Rock」を推し、その意向が通っている。

結果として「Cherub Rock」の反応は控えめだった一方、「Today」がラジオとMTVで流れ、人気を押し上げた。「Today」のビデオは、仕事を辞めた日に残りのアイスを配ったアイスクリーム売りの記憶をもとにしており、Stéphane Sednaouiが監督し、MTVでヘヴィ・ローテーションされた。発売当時の批評では、Rolling Stoneが『Gish』の力強く多面的な発展と評し、Entertainment Weeklyは『Nevermind』と比べて好意的に扱った。NMEは8/10、一方でNew York TimesのSimon Reynoldsは否定的だった。

後世への影響

本作はアメリカで7×プラチナ、世界で600万枚以上を売り上げた。後年の評価も高く、AllMusicのGreg Pratoは史上最高のオルタナティヴ・ロック・アルバムのひとつとし、Greg Kotはコーガンの世代のかなりの部分にとってのサウンドトラックになったと書いている。Alternative Pressの90年代アルバム・ランキングでは4位、Pitchforkでは18位、Spinでは23位。Rolling Stoneの「史上最高のアルバム500」にも2003年、2012年、2020年版のいずれでも入っている。

「Today」はBlenderで「世代を定義する曲」のひとつとされ、Deerhunterなどがカバーしている。日本ではDragon Ashがそのギター・パートをサンプリングしている。2023年には30周年を記念して「Mayonaise」がシングル化された。さらに「Cherub Rock」のソロは、わずかに速度を変えた2台のテープを同時に回して録られており、Q誌の「最も偉大なギター・トラック100」で67位に入っている。

2人の少女が妖精の羽を付けたジャケット写真は、多くの人が結合双生児だと思い込んだが、実際には面識のない子役モデルのAli LaengerとLysandra Roberts。レーベルとのやり取りを経て、コーガンが土壇場でデザインを引き受け、ブックレットも自分で組んだ。ただし本人は仕上がりに満足していなかった。盤のバリエーションも複数あり、紫〜マルーン、ピーチ〜ピンク〜薄赤、オレンジ、ブラックの各ヴァイナルが存在している。

Billboard 200では10位、全英4位、カナダとニュージーランドで3位。シングルは「Cherub Rock」「Today」「Disarm」「Rocket」の順に切られ、第36回グラミー賞では、最優秀オルタナティヴ・ミュージック・パフォーマンスと、「Cherub Rock」で最優秀ハード・ロック・パフォーマンスにノミネートされている。

トラックリスト

  1. A1 Cherub Rock
  2. A2 Quiet
  3. A3 Today
  4. A4 Hummer
  5. B1 Rocket
  6. B2 Disarm
  7. B3 Soma
  8. C1 Geek U.S.A.
  9. C2 Mayonaise
  10. C3 Spaceboy
  11. D1 Silverfuck
  12. D2 Sweet Sweet
  13. D3 Luna

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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