X-Ray Spex - Germfree Adolescents (1978)
X-Ray Spex 1978

X-Ray Spex - Germfree Adolescents (1978)

Rock Punk

X-Ray Spex『Germfree Adolescents』

X-Ray Spexのデビュー・アルバム『Germfree Adolescents』は、1978年にUKで出た作品。1977年のシングル「Oh Bondage Up Yours!」で注目を集めたあと、EMIからリリースされた。ヴォーカルのPoly StyreneことMarianne Joan Elliott-Saidが全曲を書いている。

制作背景・エピソード

録音は1978年、ロンドンのポーランド・ストリートにあるEssex Studiosで行われた。プロデュースはマネージャーでカメラマンでもあったFalcon Stuartとバンド自身。Stuartはジャケットのコンセプトも手がけており、試験管に入ったメンバーの写真が使われている。完成したジャケットについては、Polyが自分の写真が細く見えるように修整されていたことに激怒したと伝えられている。

曲のテーマは消費社会や人工物への批判が中心で、Polyという芸名自体が使い捨て社会への皮肉だった。A.V. Clubによれば、「Art-I-Ficial」は消費文化が女性の身体や外見をどう形作るかへの批判、表題曲「Germ Free Adolescents」は衛生用品で大人の女性になることの危険を遠ざけようとする少女を描いたラヴ・バラード、「The Day The World Turned Dayglo」は自然まで人工物になった世界を描く曲。「Identity」は、ブロムリー・コンティンジェントの一員が楽屋で手首を切ったのを目にしたことから生まれ、パンクの画一性と自己破壊を問う曲だという。

サックスのアレンジは、初代サックス奏者Lora Logicが在籍中に作り上げていたが、彼女は脱退した(公式には学業のためとされたが、本人はPolyより目立ちすぎたため追い出されたと語っている)。後任のRudi Thomsonが演奏し、「Identity」と「The Day The World Turned Dayglo」ではTed Buntingもサックスを吹いている。メンバーとしては、ギターのJak Airport、ベースのPaul Dean、ドラムのB.P. Hurdingが参加。A.V. Clubは、グラム・ロック出身のJak Airportのパワーコード、ダブの影響を受けたPaul Deanのベース、そしてサックスがバンドの音を形作っていたと述べている。

時代の文脈

このアルバムは、1978年11月10日発売。12曲中5曲がすでにシングルのA面・B面として出ていたことは、当時の批評でも指摘された。たとえば「The Day The World Turned Dayglo」「Identity」「Germ Free Adolescents」はシングルとしても出ている。Polyはスコットランド系とソマリ系のルーツを持ち、歯列矯正器具を付け、中性的に見えるよう狙ったちぐはぐなネオンカラーの服でステージに立った。

Polyは1976年、19歳の誕生日に、ほとんど客のいないヘイスティングス桟橋のホールでSex Pistolsを観たことをきっかけに「一緒にやる若いパンクスを求む」という広告を出してバンドを結成した。学校を15歳で辞め、その前にはレゲエ調のシングル「Silly Billy」を出したり、キングス・ロードで廃材から作ったアクセサリーを売る店を営んだりしていたという経歴も残っている。1978年のNMEでは、プラスチックについて「人は実は好きではないけれど、それに耐えるために、ある種の倒錯した愛着を抱くようになる」と語っている。彼女は1978年に幻覚を伴う症状で病院に運ばれており、1979年に心身の不調からバンドを離れ、オリジナル編成は解散した。

批評面では、NMEのCharles Shaar Murrayが以前のSpexの音源にあった騒々しさを避けつつ、バンドの強みを保っていると評価した。Record MirrorのTim Lottは「洗練されたヘッドバンガーのための音楽」「調子の合ったアナーキー」と書いた。A.V. Clubは「Warrior In Woolworths」と表題曲を、パンクの単調さを破るバラードとして挙げている。一方、Melody MakerのJon Savageは既発曲の多さを批判し、「Plastic Bag」だけは積極的に不快な曲だとした。Robert Christgauは、Polyの「陽気で教訓的な童謡」と「音程の怪しい、サックス1本のホーン・セクション」を称賛し、後に英国パンクの最も強力なアルバムのひとつと呼んでいる。

後世への影響

Poly Styreneの歌い方は、Bikini KillのKathleen HannaやSleater-KinneyのCorin Tuckerに影響を与えたとA.V. Clubは書いている。Billboardは彼女を「現代のフェミニスト・パンクの原型」、The Guardianは「ロック界の元祖ライオット・ガール」と呼んだ。2011年に53歳で亡くなったあと、X-Ray Spexは特に有色人種の女性にとって重要なバンドとして改めて評価された。

NOFXはこのアルバムのカバーをライブで披露し、FKA Twigsはマーキュリー賞候補時のインタビューで本作をいちばん好きなアルバムに挙げた。2021年には娘のCeleste Bellが手がけたドキュメンタリー『Poly Styrene: I Am a Cliché』も公開されている。

チャートでは全英アルバム・チャート30位。シングルの「The Day The World Turned Dayglo」は23位、「Identity」は24位、「Germ Free Adolescents」は18位を記録した。NMEの1978年年間ベストでは9位、のちにPitchforkが10点満点を付け、Rolling Stoneの「史上最高のアルバム500」(2020年版)でも354位に入っている。

トラックリスト

  1. Contents 1
  2. A1 Art-I-Ficial 3:21
  3. A2 Obsessed With You 2:26
  4. A3 Warrior In Woolworths 3:04
  5. A4 Let's Submerge 3:23
  6. A5 I Can't Do Anything 2:55
  7. A6 Identity 2:22
  8. Contents 2
  9. B1 Genetic Engineering 2:45
  10. B2 I Live Off You 2:06
  11. B3 I Am A Poseur 2:29
  12. B4 Germ Free Adolescence 3:09
  13. B5 Plastic Bag 4:56
  14. B6 The Day The World Turned Dayglo 2:50

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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