The Cramps - Psychedelic Jungle (1981)
The Cramps『Psychedelic Jungle』
The Crampsの2作目のスタジオ・アルバム『Psychedelic Jungle』は、1981年にUSのI.R.S. Recordsから出た作品。前作『Songs the Lord Taught Us』のあと、Bryan Gregoryがバンドを離れ、ロサンゼルスへ拠点を移したバンドにKid Congo Powersが加わった時期の記録になっている。録音は1981年1月、ハリウッドのA&M Studiosで行われ、エンジニアはPaul McKenna。前作と違い、プロデュースはバンド自身が担当した。
制作背景と録音時のエピソード
Kid Congo Powersは、加入にオーディションはなく「No, you're in the band」と言われたと語っている。本人は当時、十分に熟練したギタリストではなかったと振り返り、Poison IvyからロカビリーやR&Bのスケールを教わったという。Bryan Gregoryの「oozy fuzz bassy sound」を引き継ぎたいと思っていたところ、バンドから初めてファズ・ペダルを渡されたとも話している。
A&M Studiosでの録音はKidにとって初めてのレコーディングで、「Don't Eat Stuff Off the Sidewalk」では、エンジニアの「Karen Carpenterのクラッシュ・シンバルは完璧だ」という一言で、カーペンターズのKaren Carpenterのシンバルを借りて使った。Kidはこの曲にそれを使うのは皮肉な選択だったと語っている。「Beautiful Gardens」はリフとビートだけを決めた即興で、Lux Interiorが流れに任せて歌った曲。「The Crusher」はKid Congo Powersが10代のころにラジオ番組『Dr. Demento』でよく聴いていた曲をバンドに持ち込んだもの。「Caveman」では、Kidが原始人のような音を出したという。「Don't Eat Stuff Off the Sidewalk」は、Discogsのマスター・ノートではThe Venturesの「The Fourth Dimension」を下敷きにした曲とされている。
全14曲のうち半分はLux InteriorとPoison Ivyのオリジナルで、「Voodoo Idol」「Caveman」「Don't Eat Stuff Off the Sidewalk」「Can't Find My Mind」「The Natives Are Restless」「Under the Wires」「Beautiful Gardens」がそれに当たる。残りは1950〜60年代のロックンロール、ロカビリー、ガレージ・ロックのカバーで、「Green Fuz」「Goo Goo Muck」「Rockin' Bones」「Primitive」「The Crusher」「Jungle Hop」「Green Door」が並ぶ。
ジャケットは表がDonna Santisi、裏がAnton Corbijnの撮影。初回盤は虹色の円形ラベルと明るいオレンジ色のインナー・スリーブで出され、初期コピーには印刷されたカタログコード入りのマーチャンダイズ・インサートも付いた。B1の「Don't Eat Stuff Off the Sidewalk」は、ラベル表記では「Don't Stuff Off The Sidewalk」となっている。
時代の文脈
本作は1981年3月27日に発売された。The Crampsにとって2作目のアルバムであり、I.R.S.はMiles Copelandが運営するレーベルとしてA&Mの敷地内にあった。録音時には、バンドとMiles Copelandのあいだで印税と創作上の権利をめぐる対立が起こり、その訴訟のために次の作品が1983年まで出せなかった。
音の面では、前作で大きな特徴だったBryan Gregoryのノイズ、歪み、フィードバックの役割が変わり、Kid Congo Powersがそのまま同じスタイルをなぞらなかった点を、ブログPost-Punk Monkは前作との違いとして挙げ、ベース不在のまま2本のギターが同じ音域を占めている点も指摘している。同ブログはギターを「clean and thin」と評しつつも「by no means an awful album」とし、「Beautiful Gardens」をバンドがはっきりサイケデリックの領域に踏み込んだ唯一の瞬間としている。なお、英SoundsのEdwin Pounceyは本作に5つ星を付けた一方、AllMusicのNed Raggettは5つ星中4つ、Robert ChristgauはB、Smash HitsのDavid Hepworthは8/10としている。
後世への動き
収録曲の「Goo Goo Muck」は、1986年の映画『悪魔のいけにえ2』で使用された。さらに2022年にはNetflixのドラマ『ウェンズデー』のダンス・シーンで使われ、SNSで広く流通した。Billboardは、米国でのオンデマンド・ストリーミングが約2,500回から13万4,000回以上に増えたと伝えている。The GuardianのJanelle Zaraは、このダンスの流行が「Z世代のためにゴシック・サブカルチャーを一人で蘇らせたかもしれない」と書いている。Kid Congo Powersも、発売から40年以上たって本作が再び注目されたことに触れている。
トラックリスト
- A1 Green Fuz 2:07
- A2 Goo Goo Muck 3:02
- A3 Rockin' Bones 2:48
- A4 Voodoo Idol 3:38
- A5 Primitive 3:30
- A6 Caveman 3:50
- A7 The Crusher 1:45
- B1 Don't Eat Stuff Off The Sidewalk 2:03
- B2 Can't Find My Mind 3:00
- B3 Jungle Hop 2:03
- B4 The Natives Are Restless 2:59
- B5 Under The Wires 2:43
- B6 Beautiful Gardens 3:57
- B7 Green Door 3:36
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Crampsは、アメリカのパンク・バンドだ。1970年代にサクラメントで結成され、のちにオハイオ州アクロン、さらにニューヨークへ拠点を移している。...
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