Vinyl Record Reviews
Barbara & Ernieは、女性シンガー/ピアニストのBarbara Masseyと、ギタリストのErnie Calabriaによるアメリカの男女デュオだ。フォーク・ロック、ソウル、ジャズ、サイケデリックを奇跡的な調和で融合させた唯一無二のサウンドで知られている。
Barbara Masseyは、ジミ・ヘンドリックス、クインシー・ジョーンズ、キャット・スティーヴンス、ハービー・ハンコックなどの録音に参加した実力派セッション・シンガーとして知られている。ソウルやジャズ、ロックの最前線で歌ってきた経験を持ち、その卓越した歌唱力と表現力がデュオの大きな魅力となっている。
Ernie Calabriaは、ハリー・ベラフォンテ、ニーナ・シモン、ミリアム・マケバらのステージや録音を支えた名ギタリストだ。フォーク、ソウル、ジャズに精通した確かな演奏技術が、デュオの重層的な音作りの骨格を成している。
Barbara & Ernieが残したスタジオ・アルバムは、1971年の『Prelude To...』のみだ。アトランティック傘下のCotillion Recordsからリリースされ、プロデュースはロバータ・フラックらを手掛けた名匠Joel Dornが担当した。
制作には、Keith Jarrett、Richard Tee、Chuck Rainey、Grady Tate、Ralph MacDonald、Joe Beck、Eumir Deodatoといった豪華なミュージシャンが参加している。当時のニューヨークにおける一流のジャズ/ソウル人脈が集結して作られた傑作だ。
『Prelude To...』では、繊細なアコースティック・ギターやエレクトリック・シタールの響きに、Barbara Masseyの澄み渡るソウルフルな歌声が重なる。そこへオーケストレーションとゴスペル合唱が加わり、フォーク・ロック、ソウル、ジャズ、サイケデリアが神秘的に溶け合った音響空間を構築している。
収録曲の中では、ジェファーソン・エアプレインの「Somebody to Love」を大胆に再解釈したカヴァーがよく知られている。原曲のサイケ・ロックの熱量を残しつつ、アコースティックとソウルの洗練された響きに昇華した名演だ。
発売当時は大きな商業的成功にはつながらず、活動期間も長くは続かなかった。しかし、1990年代以降のレア・グルーヴ、フリー・ソウル、アシッド・フォークの再評価の流れの中で、時代を超えた「奇跡の名盤」として発掘された。
現在ではカルト・クラシックとして世界中のコレクターから熱烈な支持を受け続けている。アコースティックの温かみとスピリチュアルな高揚感を兼ね備えたその音楽性は、今なお色あせない輝きを放っている。