Vinyl Record Reviews
Caldera(カルデラ)は、1976年にアメリカ・ロサンゼルスで結成された多国籍ラテン・ジャズ・フュージョン/ジャズ・ファンク・グループ。コスタリカ出身の超絶技巧ギタリストであるホルヘ・シュルンツ(Jorge Strunz)と、アルゼンチン出身のピアニスト/作曲家エドゥアルド・デル・バリオ(Eduardo del Barrio)のふたりを中心に結成された。
バンド名はスペイン語で「大釜」を意味し、その名の通りフラメンコやアフロ・キューバン、南米フォルクローレといったラテンの情熱と、高度なジャズ理論、洗練された70年代ファンク・グルーヴを煮え立たせるように融合させた唯一無二のサウンドで高い評価を獲得した。
名門キャピトル・レコード(Capitol Records)と契約を結んだカルデラは、1976年から1979年までのわずか4年間に4枚の優れたスタジオ・アルバムを遺した。
1976年のセルフタイトルのデビュー作『Caldera』で鮮烈な印象を与えたのち、最高傑作として名高い『Sky Islands』(1977年)、よりプログレッシブな展開を見せた『Time and Chance』(1978年)、そしてラスト作『Dreamer』(1979年)と、短期間に濃密な音楽的進化を遂げた。
グループの評価を決定づけたのが、1977年発表のセカンド・アルバム『Sky Islands』である。本作にはアース・ウインド&ファイアー(Earth, Wind & Fire)のキーボーディストであるラリー・ダン(Larry Dunn)が共同プロデューサーとして参加。EW&F直系の洗練されたソウル/ファンクのグルーヴと、チャールズ・ステップニーを彷彿とさせる壮大なストリングス・アレンジがバンドの音楽性を一気に拡張した。
さらに本作の表題曲「Sky Islands」や「Ancient Source」には、当時まだ無名だった若きダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)がリード・ヴォーカルとしてフィーチャーされ、天空を舞うようなエモーショナルな名演を残している。
カルデラのサウンドを支えたのは、西海岸屈指の一流ミュージシャンたちによる鉄壁のアンサンブルだった。カルロス・ヴェガ(Carlos Vega)のタイトなドラミング、ウェザー・リポートでも知られるアレックス・アクーニャ(Alex Acuña)のパーカッション、そしてスティーヴ・タヴァローニ(Steve Tavaglione)の情感豊かなサックス&フルートが、複雑な変拍子と高速のユニゾンを鮮やかに彩った。
バンド解散後、ホルヘ・シュルンツはイラン出身のギタリストと組んで名門ワールド・アコースティック・デュオ「ストランツ&ファラー(Strunz & Farah)」を結成して大成功を収めた。一方のエドゥアルド・デル・バリオはアース・ウインド&ファイアーの傑作「After the Love Has Gone」のストリングス編曲やスタン・ゲッツとの共作を手がけ、グラミー賞を受賞するなど、各メンバーが後世の音楽界に多大な影響を与えた。