Vinyl Record Reviews
Evelyn King(イヴリン・“シャンペン”・キング)は、1960年7月1日生まれのアメリカのR&B/ソウル/ディスコ・シンガー、プロデューサーだ。ニューヨークのブロンクスで生まれ、ペンシルベニア州フィラデルフィアで育った。ジャンルはFunk / Soul、スタイルとしてはSoul、Contemporary R&Bに位置づけられている。
活動初期は、名前の「Evelyn King」が大人びていると見られ、「Champagne」というニックネームが加えられた。最初のあだ名は「Bubbles」だったという。父親はハーレムのアポロ・シアターでバック・シンガーを務めていた。
10代の頃、フィラデルフィア・インターナショナル・レコードの拠点で清掃の仕事をしていた際、歌っているところをプロデューサーのTheodore Lifeに見つけられた。そこから指導を受けるようになり、RCA Recordsと契約して活動を始めている。
この経緯は、スタジオの現場からキャリアが始まったアーティストとしてよく知られている。家庭環境にも音楽があり、現場で声を拾われてデビューにつながった流れだ。
1977年のデビュー・アルバム『Smooth Talk』に収録された「Shame」は、彼女の代表曲として知られている。全米Hot 100で9位、R&Bチャートで7位を記録し、ゴールド認定も受けた。ディスコの定番曲として扱われ、2004年にはダンス・ミュージックの殿堂入りを果たしている。のちにZhanéやKim Wildeがカバーした。
続く「I Don't Know If It's Right」もポップ・チャートで23位を記録している。1980年代に入ると、ポスト・ディスコやブギー寄りのサウンドで存在感を強めた。
そのほかにも「Betcha She Don't Love You」「Don't Hide Our Love」「Flirt」などの楽曲がある。1980年代半ばから後半にかけては、R&Bチャートのトップ20に複数の曲を送り込んでいる。
アルバム制作では、Warren Schatz、René & Angela、Kashif、Leon Sylvers、André Cymone、Theodore Life、Morrie Brownなどが関わっている。『Get Loose』ではMorrie Brownがプロデュースし、Kashifも制作に加わった。
楽曲の流れを見ると、ディスコからポスト・ディスコ、ブギー、R&Bへと移る80年代のダンス・ミュージックの変化の中で活動している。特に「Shame」と「Love Come Down」は、ダンス・フロア向けの強いビートとR&Bの歌唱を両立した曲として扱われることが多い。
1982年にはMichael Wycoffとのデュエット曲「Can We Be Friends」を発表している。また、The Brothers、Vicki Sue Robinson、Revelation (2)、New York Community Choirとともに、Warren Schatzが手がけた「Hair Musical」のディスコ化にも参加した。
長いブランクのあと、2008年にカムバック・アルバム『Open Book』を発表し、そこから「The Dance」がヒットした。2015年にはMartha Wash、Linda Cliffordとともに「First Ladies of Disco」を結成し、「Show Some Love」をリリースしている。2018年12月にはこのグループを離れている。
2023年には全米R&B音楽協会からリビング・レジェンド賞を受けている。
Evelyn Kingは、1970年代後半のディスコ期から1980年代のR&B/ダンス・ミュージックまでをつなぐ存在として見られている。特に「Shame」はディスコの代表曲として扱われ、後年のカバーや殿堂入りの事実からも、長く参照されてきた楽曲だと分かる。
「Love Come Down」や「I'm in Love」のように、R&Bチャートとダンスチャートの両方で結果を残した曲も多く、クラブ向けの音楽とR&B歌手としての活動が並走していたことがうかがえる。2015年以降のFirst Ladies of Discoでの活動も含めて、ディスコとR&Bの文脈で語られる機会が多いアーティストだ。