Madhouse

Vinyl Record Reviews

Madhouse

Madhouseとは

Madhouse(マッドハウス)は、1987年に鬼才プリンス(Prince)がサックス/フルート奏者のエリック・リーズ(Eric Leeds)とともに立ち上げた覆面インストゥルメンタル・ジャズ・ファンク/フュージョン・プロジェクト。世界的ポップ・スターとしての名声や商業的制約を完全に遮断し、純粋な音楽的探求とジャズ・ファンクの実験を行うために結成された。

覆面プロジェクトとしての始動と『8』

プリンスは自らの名前をクレジットから徹底して隠し、アルバム・ジャケットには妖艶な女性モデル(オーストラ・シャネル)を起用。架空のバンド・メンバー(キーボードのAustra Chanel、リズム隊のJohn & Bill Lewisなど)を仕立て上げてペイズリー・パーク・レコーズからリリースした。

1987年1月に発表されたファースト・アルバム『8』は、曲名がシンプルに「One」から「Eight」まで番号のみで並ぶコンセプチュアルな作品。実態はスタジオでプリンス自身がドラムス、ベース、キーボード、ギターなどほぼ全ての楽器をマルチ録音し、そこにエリック・リーズが縦横無尽なサックスとフルートを重ねてわずか数日で制作された。アルバムからシングル・カットされた「Six」は米R&Bチャートでトップ40入りを果たすなど、インスト作品としては異例のヒットを記録した。

深化するバンド・アンサンブルと『16』

同年11月には、前作のナンバリングを引き継ぐセカンド・アルバム『16』をリリース。「Nine」から「Sixteen」までの8曲が収められ、レヴィ・シーサー・ジュニアやシーラ・Eらが一部参加したことで、より強固なバンド・アンサンブルによるジャズ・フュージョンへと進化した。アルバムに掲げられたサブタイトル「New Directions In Garage Music」は、敬愛するマイルス・デイヴィスの諸作に対するオマージュである。

マイルス・デイヴィスとの邂逅と歴史的意義

Madhouseの尖鋭的なサウンドに最も深く魅了されたのが、ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィス(Miles Davis)だった。マイルスはこの先鋭的なジャズ・ファンクを激賞し、1987年大晦日にペイズリー・パークで行われたプリンスとマイルスの伝説的ジャム・セッションへと結びついた。さらにプリンスが幻の第3作『24』のために録音したマテリアル(「Penetration」など)はマイルスへと手渡され、マイルスは晩年のライヴでそれらをレパートリーとして演奏した。

歴史的名盤『Sign "O" the Times』の爆発的創造力と軌を一にして制作されたMadhouseの2作品は、プリンスの卓越したファンク・グルーヴとエリック・リーズのジャズ・スピリットが見事に融合した、1980年代フュージョン/フューチャー・ジャズの隠れた金字塔である。

ジャンル・スタイル

Electronic Jazz Fusion Future Jazz Jazz-Funk
Share

こちらもおすすめ

toast