Madhouse - 8 (1987)
Madhouse 1987

Madhouse - 8 (1987)

Electronic Jazz Fusion Jazz-Funk Future Jazz

Madhouse『8』

1987年1月21日に出たMadhouseのデビュー・アルバム。その実態は、The Revolution解散直後のPrinceが、サックス/フルート奏者Eric Leedsと組んで極秘裏に進めたインストゥルメンタルのジャズ・ファンク・プロジェクトであり、世間には覆面バンドとして発表された。全8曲が「One」から「Eight」まで数字のみで題され、Princeがドラム、ベース、キーボード、ギターをマルチ録音し、そこにLeedsのサックスとフルートが重なる濃密なデュオ編成で作られている。

制作背景と録音の経緯

録音は1986年9月28日から10月1日にかけて、ミネソタ州チャンハッセンのガルピン・ブルバードにあったPrinceの自宅スタジオで行われた。ライナーノーツ上では「ペンシルベニア州ピッツバーグのMadhouse Studiosで録音」とされ、参加メンバーにもAustra Chanel(Princeの変名)、John Lewis、Bill Lewisといった架空の人物がクレジットされるなど、Princeの関与を徹底して伏せた演出が施されていた。マスタリングは名匠Bernie Grundmanが手がけている。

アルバムのジャケットは、1940〜50年代風のレトロなピンナップ調に身を包んだモデルのManeca Lightnerとテリア犬を配したビジュアル。音楽面だけでなくアートワークにおいても、従来のPrince作品とは一線を画す匿名的な世界観が構築されている。

時代の文脈

1987年は二枚組大作『Sign “O” the Times』が発表された年であり、Princeの創作意欲がピークに達していた時期にあたる。The Revolutionの解体、Camille名義の試作、お蔵入りとなった『Crystal Ball』など様々な構想が交錯する中で、マイルス・デイヴィスとの交流などを通じてジャズへの関心を深めていたPrinceが、自身のポップスターとしてのイメージから離れて純粋なファンク・グルーヴを探求したのが本作だった。

1987年の『Sign “O” the Times』ヨーロッパツアーでは、Madhouseがオープニングアクトを務め、演奏後に着替えてPrinceのバックバンドとしてステージに再登場するという演出も行われた。

サウンドと後世への影響

サウンド面では、Princeの鋭利なドラムマシーン(LinnDrum)と生ドラム、うねるシンセベース、ミニマルなギターカッティングによる強靭なファンク・ビートに、Eric Leedsのハードバップ直系の情熱的なサックスとフルートが絡み合う。ポップスの枠組みを超えた硬派なジャズ・フュージョン/ジャズ・ファンクとして、Prince関連作の中でも屈指の完成度を誇る。

シングルカットされた「Six」は米Billboard Hot Black Singlesチャートで最高5位を記録し、アルバム自体もBillboard 200で107位、Top Black Albumsで25位を記録した。90年代以降はアシッドジャズやヒップホップの文脈で再評価が進み、The Pharcydeが1992年の名盤『Bizarre Ride II the Pharcyde』収録の「Return of the B-Boy」で「Two」を大々的にサンプリングしたほか、The Rootsによるサンプリングなど、ヒップホップ世代にも強い影響を与え続けている。

トラックリスト

  1. A1 One 7:16
  2. A2 Two 5:31
  3. A3 Three 3:16
  4. A4 Four 2:24
  5. A5 Five 1:15
  6. B1 Six 4:28
  7. B2 Seven 4:09
  8. B3 Eight 10:05

動画プレイリスト

公開: 2026年11月
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