Vinyl Record Reviews
Tarika Blueは、1970年代後半のニューヨークで活動したジャズ・ファンク/ソウル系の集団だ。ジャンルとしてはジャズ、ファンク/ソウル、スタイルとしてはフュージョン、ジャズ・ファンクに位置づけられている。多国籍なメンバー構成も特徴で、キーボード奏者フィリップ・クレンデニンを中心に結成された。
Tarika Blueは、1970年代初頭から多くのジャズ・ロック作品に参加していた日本人ギタリスト、川崎燎とフィリップ・クレンデニンが組んで立ち上げたグループだ。ニューヨークを拠点にしながら、メンバーにはさまざまなルーツを持つ演奏者が集まっていた。
のちにジェームス・メイソン、フスト・アルマリオ、アイリーン・ダッチャー、ドロレス・スミスも加わっている。
Tarika Blueが残したアルバムは、ハンク・オニールが創設したジャズ・レーベルChiaroscuro Recordsに吹き込んだ2枚だ。どちらもニューヨークのDowntown Sound Studioで録音されている。
1作目の『The Blue Path』は、モーダルな構成と空間を意識したエレクトリック・サウンドが特徴に挙げられる。ジャズ・ファンクの枠組みの中で、ローズやギター、サックスのやり取りが前に出るタイプの作品だ。
2作目の『Tarika Blue』は、同時に最後のアルバムでもある。ローズとARPオデッセイの絡みを軸に、クレンデニンの和声的なアレンジが入る。川崎燎とジェームス・メイソンが分け合うギター・ソロも聴きどころとして挙げられている。
Tarika Blueの音は、ジャズの演奏感とファンクのリズムを土台にしている。そこにエレクトリック・ピアノ、シンセサイザー、ギター、サックス、パーカッションが重なっていく作りだ。特にフィリップ・クレンデニンの鍵盤と川崎燎のギターが、バンドの中心にある。
編成を見ると、ベース、ドラムス、パーカッションがリズムを支え、ローズやARPが音の層を作り、管楽器がフレーズを差し込む形になっている。フュージョン寄りのジャズ・ファンクとして整理しやすいグループだ。
発表当時は大きく注目されたわけではないが、2000年にエリカ・バドゥが『Mama's Gun』収録の「Didn't Cha Know」で「Dreamflower」をサンプリングしたことで、Tarika Blueの名前が広く知られるようになった。この曲のプロデュースはJ・ディラで、バドゥがデトロイトのディラ宅でレコード棚から本作を選んだことがきっかけとされる。
そのサンプルは無許可で使われていたため、バドゥとモータウンは法廷外で和解している。その後、Tarika Blueはレア・グルーヴの文脈で再評価が進み、2010年代後半にはAthens of the NorthやDynamite Cutsから再発された。
Tarika Blueは、作品数こそ多くないが、録音された2枚を通して当時のニューヨークのジャズ・ファンク/フュージョンの空気をそのまま残しているグループだ。レア・グルーヴの文脈で掘り返されるようになった背景も含めて、今ではチェックしておきたい名前のひとつになっている。