Tarika Blue - Tarika Blue (1977)
Tarika Blue『Tarika Blue』(1977年、Chiaroscuro Records)
Tarika Blueのセルフタイトル作は、1970年代後半のニューヨークで生まれたジャズ・ファンク/フュージョンの記録として知られる1枚だ。中心にいるのはキーボード奏者フィリップ・クレンデニンで、そこに日本人ギタリストの川崎燎を含む多国籍な編成が加わる。Chiaroscuro Recordsに残したアルバムは1976年の『The Blue Path』と本作の2作で、本盤はグループにとって2作目にして最後のスタジオ・アルバムとなる。
録音はニューヨークのDowntown Sound Studio。プロデュースはレーベル創設者ハンク・オニールとバンド自身、エンジニアはフレッド・ミラー。演奏面では、フェンダー・ローズとARPオデッセイ、ピアノを操るクレンデニンを軸に、川崎燎とジェームス・メイソンのギターが並び、バリー・コールマンのベース、ケヴィン・アトキンスのドラムス、マーヴィン・ブラックマンのサックス/フルート、ブラディ・スペラーのパーカッション、さらにドロレス・スミスとアイリーン・ダッチャーのボーカルが入る構成。編成だけ見ても、当時のニューヨーク・ジャズ・ファンクの現場感がはっきり出ている。
作品の位置づけ
このアルバムは、Tarika Blueの活動の中ではひとつの到達点であり、同時に終着点でもある。大きなヒットを記録した作品ではないが、後年の再評価によって存在感が増した。特に広く知られるきっかけになったのは、2000年のエリカ・バドゥ『Mama's Gun』収録曲「Didn't Cha Know」で「Dreamflower」がサンプリングされた件だ。プロデュースはJ・ディラで、バドゥがデトロイトでディラのレコード棚から本作を選んだことが制作の流れにつながったとされる。のちにこのサンプルは無許可使用として扱われ、法廷外で和解したというエピソードも残る。
その後、本作はレア・グルーヴの文脈で語られる機会が増え、2010年代後半にはAthens of the NorthやDynamite Cutsから再発も行われた。オリジナル盤と比べると、再発盤は発掘・再評価の流れの中で流通が広がった点が大きい。
収録曲と演奏の特徴
曲の大半はクレンデニン作。レコードの中では、ローズとARPの絡みを土台に、ギターが前へ出たり引いたりしながら進む作りが目立つ。リリースノートにもある通り、「You'll Be With Me」では川崎燎が先にソロを取り、「Jimi」ではジェームス・メイソンが先にソロを取る構成になっている。こうした役割分担が、同じバンド内でも曲ごとに空気を変える。
なかでも「Dreamflower」は、本作を代表する1曲として扱われることが多い。後年のサンプリングで知られるようになったが、元の録音でも、ローズの輪郭とボーカルの入り方、ギターの細かな運びが曲の中心を作っている。「Truth Is the Key」も含めて、音数を詰め込みすぎず、各パートの隙間を残した演奏が印象に残る。派手な見せ場で押すタイプではなく、フレーズの受け渡しや音色の重なりで聴かせる内容だ。
同時代の文脈
1970年代後半のニューヨークでは、ジャズ、ファンク、ソウル、フュージョンの境界がかなり近かった。Tarika Blueもその中心にあるグループで、川崎燎の参加は、当時のジャズ・ロック/フュージョンの国際的な広がりを示す要素として見ておける。Chiaroscuro Recordsという、もともとジャズ色の強いレーベルにこうした音楽が残されたことも、この時代の幅をそのまま伝えている。
Tarika Blueの名が後年まで残ったのは、発売当時の評価だけではなく、のちのヒップホップやネオ・ソウル周辺での再発見があったからだ。特に「Dreamflower」の扱いは、本作が単なる埋もれたジャズ・ファンク盤ではなく、別の時代のリスナーに接続し直された記録としても重要だろう。
まとめ
『Tarika Blue』は、1977年のニューヨークらしいジャズ・ファンク/フュージョンの質感を持ちながら、川崎燎を含む多国籍な編成、クレンデニンの鍵盤、ギターの受け渡し、そして「Dreamflower」の存在で記憶されるアルバムだ。オリジナル盤は当時の空気をそのまま閉じ込めた1枚として、再発盤はその価値が後年に掘り起こされた証拠として、それぞれの意味を持っている。
トラックリスト
- A1 Love It 3:54
- A2 Truth Is The Key 6:50
- A3 Dreamflower 4:13
- A4 Things Spring 6:21
- B1 You'll Be With Me 7:08
- B2 My Love Is So Free 5:36
- B3 Charlie 3:42
- B4 Jimi 4:27
動画プレイリスト
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) A1 Love It
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) A2 Truth Is The Key
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) A3 Dreamflower
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) A4 Things Spring
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) B1 You'll Be With Me
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) B2 My Love Is So Free
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) B3 Charlie
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Tarika Blue – 1977 Tarika Blue (Fusion - USA) B4 Jimi