Vinyl Record Reviews
The Budos Band(ザ・ブードス・バンド)は、2005年にアメリカ・ニューヨーク州スタテンアイランドで結成されたインストゥルメンタル・ファンク/アフロ・ソウル/サイケデリック・ロック・バンドだ。ブルックリンのThe Five Spotで行われていたアンティバラス(Antibalas)のマーティン・ペルナ主催のジャム・セッションをきっかけに誕生した。
現代ヴィンテージ・ソウル/ファンクを牽引する名門レーベルDaptone Recordsを代表する看板バンドのひとつとして知られ、ボーカルを排し、分厚いホーンセクション、歪んだギター、オルガン、重量級のリズム隊による強靭なインストゥルメンタル・サウンドで世界的な支持を集めている。
メンバーは時期によって流動的な側面を持ちつつも、Daptone周辺の凄腕ミュージシャンが集結している。
ギタリストのThomas Brenneckは、Sharon Jones & The Dap-KingsやMenahan Street Bandでも中核を担い、現代ソウル屈指のプロデューサーとしても名高い。トランペットのDave Guyもザ・ルーツ(The Roots)など多方面で活躍する名手である。
初期のThe Budos Bandは、1960〜70年代のアフロ・ソウルやディープ・ファンクを土台にしたサウンドで注目された。2005年の『The Budos Band』、2007年の『II』、2010年の『III』とナンバリング・アルバムを連続して発表し、バンドとしての個性を確立していく。
この時期は、フェラ・クティ直系のアフロビートやムラトゥ・アスタトゥケに代表されるエチオ・ジャズ、ラテン・ソウルの要素が濃厚に溶け合った、灼熱かつどこか哀愁を帯びたグルーヴが持ち味だった。
2014年の第4作『Burnt Offering』において、バンドは大きな音楽的進化を遂げた。従来のナンバリング形式を排し、メンバーが愛好するブラック・サバスをはじめとするクラシック・ヘヴィ・メタル、ストーナー・ロック、サイケデリック・ロックの要素を前面に押し出したのだ。
ファズの効いた凶暴なギターリフと禍々しく重厚なホーンセクションが激突するそのサウンドは、独自の「ヘヴィ・アフロ・ファンク」として絶賛を浴びた。その後の『V』(2019年)や『Long in the Tooth』(2020年)でもこのヘヴィで暗黒感あふれるグルーヴを深化させている。
The Budos Bandは、Sharon Jones & The Dap-KingsやCharles Bradley、Menahan Street Bandらと共に、Daptone Recordsの黄金期を築き上げた最重要バンドのひとつだ。
単なるレトロ志向のファンク・リバイバルにとどまらず、アフロビートの催眠的な反復美とハード・ロック/メタルの攻撃性を融合させた彼らのサウンドは、ファンクやジャズのリスナーのみならずロック・ファンやヒップホップ・ヘッズをも巻き込み、唯一無二の地位を確立している。