Vinyl Record Reviews
The Ronettesは、アメリカ・ニューヨークで1961年に結成されたガール・グループだ。エステル・ベネット、ヴェロニカ(ロニー)・ベネット、そしていとこのネドラ・タリーの3人を中心に活動した。結成当初はDarling Sisters、その後Ronnie and the Relativesと名乗り、のちにThe Ronettesとして定着した。
メンバーには、ヴェロニカ・ベネット、ネドラ・タリー、エステル・ベネットのほか、Kim Lewis、Chip Fieldsの名前も挙がる。グループは1967年に解散している。
地元ニューヨークのナイトクラブ、ペパーミント・ラウンジでの出来事が転機になった。1961年、ジョーイ・ディー&ザ・スターライターズのショーの際に、支配人が彼女たちを出演予定のダンサーと勘違いしてステージに上げたというエピソードが残っている。その後、マイアミのペパーミント・ラウンジでの公演を経て、ラジオDJのマーレイ・ザ・Kの目に留まり、ブルックリン・フォックスでのショーにも出演するようになった。
初期はColpix Recordsで録音していたが、大きな成功にはつながらなかった。1963年初め、エステル・ベネットがプロデューサーのフィル・スペクターに直接電話してオーディションを申し込み、同年3月にスペクターのPhilles Recordsと契約している。
最もよく知られているのは、1963年のシングル「Be My Baby」だ。Billboard Hot 100で2位を記録し、後年にはグラミーの殿堂入りも果たしている。この曲は、ビーチ・ボーイズのサウンドに影響を与えた作品としても知られる。
そのほかにも「Baby, I Love You」「Walking in the Rain」などを残している。「Walking in the Rain」は1965年にグラミー賞にノミネートされた。Hot 100には9曲を送り込み、そのうち6曲がトップ40入りしている。
1963年のクリスマス・アルバムに収録された「Sleigh Ride」は、2021年にトップ10入りしている。トップ10ヒットの間隔が58年以上開いた記録として、Billboard史上最長とされている。
The Ronettesは、フィル・スペクターの“ウォール・オブ・サウンド”と強く結びついたグループとして語られる。分厚い音像の中で、ヴォーカルを前に出す作りが特徴で、Rock & Roll、Soul、Vocalの要素がはっきり出ている。
ジャンル表記としてはRock、Pop、Funk / Soulが挙がるが、実際の印象としては、当時のポップ・ソングにソウル寄りの歌い回しと、勢いのあるロックンロール的な推進力が重なっている。コーラスのまとまりと、リード・ヴォーカルの存在感が目立つグループだ。
The Ronettesは、同時代以降の多くのアーティストに影響を与えている。Brian Wilsonは「Be My Baby」から強い影響を受け、その流れがThe Beach Boysのサウンドにもつながったとされる。後の世代ではエイミー・ワインハウスやビリー・ジョエルの名前も挙がっている。
1964年の英国ツアーではローリング・ストーンズが前座を務め、1966年にはビートルズの全米ツアーに同行した唯一のガール・グループになった。活動の場面でも、当時の重要なロック/ポップ・アクトと接点を持っていたことがわかる。
2007年にはロックの殿堂入りを果たしている。代表曲や録音の評価だけでなく、60年代ポップの中での存在感が改めて確認された形だ。
ロニーは1968年にフィル・スペクターと結婚し、1974年まで夫婦関係にあった。その後はRonnie Spectorの名で知られるようになる。1988年には未払いの印税をめぐってスペクターを提訴し、2000年に260万ドル以上を勝ち取っている。
The Ronettesは、短い活動期間の中で、シングル、アルバム、そしてステージでの存在感を残したグループだ。録音面では「Be My Baby」を中心に、60年代ポップの中で重要な位置を持つ名前として今も参照されている。