The Ronettes - ...Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronica (1964)
The Ronettes 1964

The Ronettes - ...Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronica (1964)

Rock Pop Funk / Soul Rock & Roll Soul Vocal

The Ronettes『...Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronica』

The Ronettesが1964年にPhilles Recordsから発表した唯一のスタジオ・アルバムが、...Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronicaである。グループの名前を強く印象づけるタイトルどおり、ここにはロニー・ベネットの声を中心に据えたフィル・スペクター流のサウンドがまとまっている。収録曲は1963〜64年のシングル群を軸にした構成で、ロネッツというグループが短い活動期間の中でどのように像を結んだかを、そのまま示す内容になっている。

制作背景と録音の経緯

このアルバムの土台は、ハリウッドのGold Star Studiosで録音されたシングル群にある。プロデュースはフィル・スペクター、編曲はJack Nitzsche、エンジニアはLarry Levine。演奏は、のちに「レッキング・クルー」と呼ばれるセッション・ミュージシャンたちが担い、Leon RussellやLarry Knechtelのピアノ、Carol Kayeのベース、Hal Blaineのドラムなど、当時の西海岸ポップの中核を支えた面々が参加している。

グループは姉妹のVeronica(ロニー)とEstelle Bennett、いとこのNedra Talleyによる3人組。もともとはColpixと契約していたが、1963年初めにスペクターのオーディションを受け、「Why Do Fools Fall in Love」を歌ったところ、スペクターが強く反応したという逸話が残る。その後、1963年3月にPhillesへ移籍している。グループとスペクターの結びつきはここから急速に強まり、のちにロネッツは彼の「ウォール・オブ・サウンド」と最も深く結びついた存在として語られるようになった。

代表曲「Be My Baby」は、1963年7月29日にGold Starで録音された。冒頭の有名なドラムは、Hal Blaine自身が「2拍目にもスネアを叩くはずが、スティックを落としてしまった」と語っており、その偶然がそのまま残されたとされる。バック・コーラスにはソニー・ボノとシェールも加わっていて、シェールは、フィルから「ノイズが欲しいだけだから、行ってこい」と言われたと回想している。実際に歌っているロネッツのメンバーはロニーだけで、完成したバック・トラックに彼女のヴォーカルを後から重ねている。

アルバムの最後に置かれた「Chapel of Love」も、制作史の面白い一曲だ。Jeff Barry、Ellie Greenwich、スペクターの共作で、最初は1963年4月にDarlene Loveが録音したが、スペクターは出来に納得せずお蔵入りにした。その間にThe Dixie Cups版がRed Birdから出て全米1位を記録し、ロネッツ版はそのヒットのあとでこのアルバムに収められている。さらにA面最後の「What'd I Say」はRay Charlesの1959年のヒットのカバー。

時代の文脈の中で

スペクターはスタジオに多人数の演奏者を集め、音を何重にも重ねる手法で知られたが、ロネッツはその方法論に最も密接に結びついたガール・グループだった。

キャリアの流れで見ると、このアルバムは、グループが最も注目を集めていた時期の記録でもある。ロネッツは1964年にイギリスをツアーし、ローリング・ストーンズと出会っている。さらに1966年にはビートルズの全米ツアーの前座を務め、これはビートルズの前座を務めた唯一のガールズ・グループとしても知られる。短い活動期間の中で、当時のロック/ポップの中心と直接接点を持っていた点が、この作品の背景にある。

評価面では、アルバム自体のBillboardでの順位は96位にとどまった一方、当時のRecord Mirrorは4つ星を付けている。後年になると、Rolling Stoneの「史上最も偉大な500枚のアルバム」に2003年版で422位、2023年版で494位として入っている。

後世への影響

この作品を語るうえで、「Be My Baby」の存在は外せない。Brian Wilsonはこの曲を「史上最高のポップ・レコード」と呼び、車を止めてコーラスを分析したという逸話がよく知られている。さらに自宅のあちこちにこのレコードを置き、返答歌として「Don't Worry Baby」を書いたとも伝えられる。冒頭のドラム・パターンは、その後の無数のヒット曲で参照されることになった。

楽曲の使用例も多い。『ミーン・ストリート』(1973年)や『ダーティ・ダンシング』(1987年)で使われ、2006年にはアメリカ議会図書館の国家録音登録簿に選ばれている。BMIの推計では、1963年以来ラジオとテレビで390万回放送されたとされる。

ロネッツは1967年に解散し、ロニーはのちにスペクターと結婚してロニー・スペクターとして活動することになる。2007年にはロックの殿堂入りも果たした。スペクターの支配的な制作姿勢が作品数を限ったとも語られる。このアルバムは、グループ唯一のスタジオ・アルバムであると同時に、ウォール・オブ・サウンドがポップの記憶に深く刻まれた時代の、重要な記録として残っている。

トラックリスト

  1. A1 Walking In The Rain 2:35
  2. A2 Do I Love You? 2:30
  3. A3 So Young 2:34
  4. A4 Breakin' Up 2:40
  5. A5 I Wonder 2:35
  6. A6 What'd I Say 4:40
  7. B1 Be My Baby 2:39
  8. B2 You Baby 2:35
  9. B3 Baby, I Love You 2:49
  10. B4 How Does It Feel? 2:38
  11. B5 When I Saw You 2:30
  12. B6 Chapel Of Love 2:54

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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