Vinyl Record Reviews
The Three Piecesは、ワシントンD.C.出身のジャズ・ファンク・グループだ。メンバーはジェリー・ワイルダー、リンカーン・ロス、アンドレ・リチャードソンの3人で、ハワード大学の学生だった彼らを、同大学で教えていたトランペット奏者ドナルド・バードが見出した。
ジェリー・ワイルダーはベースとリード・ボーカル、リンカーン・ロスはキーボードとトロンボーン、アンドレ・リチャードソンはコンガとパーカッションを担当した。ウェブ上の情報では、3人はハワード大学の授業に出ていたところをバードに見出されたとされている。ロスは、バードが手がけたザ・ブラックバーズの「Gut Level」を書いており、バードとの関係は演奏だけでなく作家としてもつながっていた。
1975年、The Three PiecesはFantasyから唯一のアルバム『Vibes of Truth』を発表した。録音はバークレーのFantasy Studiosで行われ、プロデュースはドナルド・バードが担当している。ゲストには、ブラックバーズのオーヴィル・サンダースやパーカッショニストのボビー・ホールが参加した。
この作品は、オープンなドラム・ブレイク、ジャズのソロ、ソウルフルなボーカル、ファンキーなホーン、ブラックスプロイテーション的な歌詞を備えた、1970年代半ばのジャズ・ファンク/クロスオーバー作品として紹介されている。シングル「I Need You Girl」は、B面違いで2種類が出ている。
当時はヒットの記録が見当たらず、グループは2作目を出さずに終わった。背景として、同じレーベルでドナルド・バードが手がけていたブラックバーズに力が注がれていた、という見方もある。
その後は、DJやコレクターの間で「Backed Up Against the Wall」「Concrete Jungle」「I Need You Girl」などが求められるようになり、レア・グルーヴの名盤として知られるようになった。1995年には英BGPからCD化され、2017年にはFantasyからアナログ盤も再発されている。
The Three Piecesを追うなら、まずは『Vibes of Truth』から入るのがわかりやすい。ジャズ由来の演奏、ファンク寄りのリズム、ソウルの歌心が同居していて、1970年代半ばのジャズ・ファンクの流れがそのまま詰まっている。特に、後年クラブ向けの曲として再評価された楽曲群は、このグループの現在の評価を知るうえで重要だ。
活動期間は長くないが、大学で出会った3人が、ドナルド・バードの周辺で1枚だけアルバムを残し、その後はレア・グルーヴの文脈で注目されるようになった、という流れがはっきりしている。作品数は少ないものの、残した1枚が今も参照され続けているグループだ。