a-ha - Hunting High And Low (1985)
a-ha 1985

a-ha - Hunting High And Low (1985)

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a-ha『Hunting High And Low』――北欧ポップが世界に届いたデビュー作

a-haの『Hunting High And Low』は、1985年に登場したデビュー・スタジオ・アルバムである。ノルウェー・オスロで1982年に結成された3人組が、シンセサイザーを軸にしたポップ・ロックを世界規模へ押し上げた作品で、バンドの出発点としても、その後の代表作としても重要な位置にある。Morten Harketの伸びのある歌声、Paul Waaktaar-Savoyのギターと作曲、Magne Furuholmenの鍵盤が、当時のポップ・ミュージックの中でもかなり明確な輪郭を作っている。

このヨーロッパ盤は1985年リリースの初期プレスで、Warner Bros. Recordsの925 300-1。ジャケットやインナーの表記からも、1985年当時の流通仕様が見える一枚である。ドイツ製造の表記や、UKカタログ番号がセンターラベルに入っている点も、この時期の欧州向け盤らしい特徴になっている。

アルバムの背景と位置づけ

本作は、ロンドンのEel Pie Studiosで録音され、Tony Mansfield、John Ratcliff、Alan Tarneyがプロデュースを担当した。a-haにとってはもちろん初のアルバムであり、のちの大成功を決定づけた出発点でもある。1980年代半ばのシンセ・ポップやニュー・ウェイヴの流れの中で、a-haは当時の英国勢とは少し違う、北欧らしい冷たさとメロディの強さを持ち込んだグループとして受け止められた。

同時代の文脈で見ると、The Human League、Pet Shop Boys、Depeche Modeのようなシンセ主体のポップと並べて語られることが多い。ただしa-haは、電子音の設計だけで押すのではなく、歌メロの伸びやフックの明快さが前面に出ている。そこが『Hunting High And Low』の分かりやすい特徴で、今聴いても曲の入口がはっきりしている。

「Take On Me」を中心にしたアルバムの動き

この作品を語るうえで欠かせないのが「Take On Me」である。実際には3つの異なるレコーディングが存在し、1984年の初期版はヒットに結びつかなかった。その後、1985年後半に新録とロトスコープを用いたミュージック・ビデオで再登場し、一気に状況が変わった。監督はSteve Barron、映像のアイデアはWarner Bros.のJeff Ayeroffによるものとされ、約3000コマを16週間かけて処理したという制作背景もよく知られている。

この曲は英国チャート2位、全米Billboard Hot 100で1位を記録し、アルバム全体の知名度を引き上げた。映像の印象が強い曲だが、音だけで聴いても、リズムの推進力とモートン・ハルケットの高音の抜けがかなり明確で、作品の中核に置かれる理由が分かる。

収録曲の広がり

シングルとしては「The Sun Always Shines on T.V.」も大きい。こちらはUKチャート1位を獲得しており、アルバムが単発のヒットで終わっていないことを示している。ドラマ性のある展開と、やや陰影を帯びたメロディが印象に残る曲で、a-haが単なる一発屋扱いに収まらなかった要因のひとつでもある。

ほかにも「Train of Thought」「The Blue Sky」「Love Is Reason」など、シングル候補としての強さを持つ曲が並ぶ。特にアルバム全体を通して聴くと、速い曲と落ち着いた曲の配置が極端に崩れておらず、曲順にもきちんとした設計がある。ポップ・アルバムとしてのまとまりが強い。

音の印象

この盤を通して聴くと、シンセの輪郭がかなりはっきりしていて、ベースラインも前に出る。打ち込みの硬さと、Morten Harketの声の伸びがぶつからずに並ぶ感じがある。ギターは派手に主張する場面ばかりではないが、要所で曲の推進力を支える役割が目立つ。80年代中盤のポップ作品にありがちな「音が古い」というより、録音の整理が良く、メロディが先に立つ作りになっている印象である。

実際に聴くと、ヒット曲だけのアルバムではなく、アルバム単位で流れを作る意識がかなり強い。特に「Take On Me」の強さが目立つ一方で、他の曲がその周囲を固める構成になっているため、1曲で終わらない厚みがある。

作品の反響

『Hunting High And Low』は世界的な成功を収め、全米Billboard 200では最高15位を記録した。総売上は1100万枚を超えるとされ、a-haを国際的なポップ・アクトとして定着させた作品でもある。1986年のグラミー賞では最優秀新人賞にノミネートされ、ノルウェーのバンドとして初のグラミー賞ノミネートという記録にもつながった。

北欧発のポップが英米市場でここまで強く届いた例としても、このアルバムは重要である。後続のスカンジナビア勢が国際的なポップ制作で存在感を示していく流れを考えると、その先頭に置かれる作品のひとつとして見えてくる。

このヨーロッパ盤について

今回のヨーロッパ盤は1985年の初期プレスで、Warner Bros. Recordsの表記、ドイツ製造のクレジット、インナー・スリーブの仕様など、当時のオリジナルに近い雰囲気を持つ。後年の再発盤とは異なり、1985年当時のリリース感がそのまま残っている点が面白い。センターラベルにUKカタログ番号が入る仕様もあり、欧州流通向けの盤としての性格がはっきりしている。

a-haの『Hunting High And Low』は、デビュー作でありながら完成度の高いポップ・アルバムとしてまとまっている。代表曲「Take On Me」の圧倒的な知名度に隠れがちだが、アルバム全体で聴いても曲作り、音作り、並びの設計がきちんと揃った一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Take On Me 3:46
  2. A2 Train Of Thought 4:11
  3. A3 Hunting High And Low 3:43
  4. A4 The Blue Sky 2:22
  5. A5 Living A Boy's Adventure Tale 5:00
  6. B1 The Sun Always Shines On T.V. 5:06
  7. B2 And You Tell Me 1:51
  8. B3 Love Is Reason 3:04
  9. B4 Dream Myself Alive 3:06
  10. B5 Here I Stand And Face The Rain 4:30

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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