Pat Metheny Group - Still Life (Talking) (1987)
Pat Metheny Group 1987

Pat Metheny Group - Still Life (Talking) (1987)

Jazz Fusion Contemporary Jazz

Pat Metheny Group『Still Life (Talking)』について

Pat Metheny Groupの『Still Life (Talking)』は、1987年にリリースされた作品で、グループにとってECM時代の『First Circle』に続く、Geffen移籍後の重要な1枚として位置づけられる。録音は1987年3月から4月にかけてニューヨークのPower Stationで行われ、マスタリングはMasterdisk。録音、ミックス、マスタリングまでデジタルで処理された作品でもある。ジャズ・フュージョンを軸にしながら、当時のアメリカ西海岸系のクロスオーバーとは少し違う、緻密なアンサンブルとブラジル音楽の要素が前面に出た内容になっている。

ECM期からGeffen期へ移る中での変化

Pat Metheny Groupは1977年、ギタリストのPat MethenyとキーボーディストのLyle Maysを核に始まったユニットで、メンバーの入れ替わりを重ねながらも、グループとしての輪郭を保ってきた。本作はその流れの中で、ECMで築いた透明感のある音像から、より広いリスナーに届くGeffen期へ進んだ作品として聴かれている。実際、音の作りはきわめて整理されていて、各パートの位置が明確だが、硬さよりも流れを優先した構成になっている。

この時期の編成変化も大きい。前作までヴォーカルを担っていたPedro Aznarは不在となり、代わってカナダ出身のDavid Blamiresと、デトロイト出身のMark Ledfordが参加した。二人の声は、いわゆる歌詞を前面に出すというより、音の一部として編み込まれていて、ワードレス・ヴォーカルの役割が強い。そこにブラジル人パーカッショニストのArmando Marçalらが加わり、アルバム全体に南米由来のリズム感が入り込んでいる。

代表曲「Minuano (Six Eight)」と「Last Train Home」

オープニングの「Minuano (Six Eight)」は、本作の性格をよく示す曲だ。Methenyが書いた口笛のパートを軸に、Lyle Maysが新加入のヴォーカリスト2人と、当時購入したばかりのマリンバを使ってイントロを組み立てたという話が残っている。曲名の「Minuano」は南米の風を指す言葉で、実際の音も、軽やかというより、一定の推進力を保ちながら前へ進むタイプ。メロディとリズムの置き方がはっきりしていて、グループの作曲力がよく見える。

もう一つの代表曲が「Last Train Home」。Coralのエレクトリック・シタールで主題を取るインストゥルメンタルで、アルバムの中でも特に記憶に残りやすい。イントロの音色だけで場面が切り替わるような感触があり、曲全体も無駄な展開を増やさず、メロディをきれいに通していく。日本ではアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』後半のエンディングテーマとして知られ、後年の再認知にもつながった。ジャズ・フュージョンの文脈で語られる一方で、ポップスの耳にも届く輪郭を持った曲だ。

アルバム全体の印象

実際に聴くと、派手なソロの応酬よりも、アンサンブルの設計が先に耳に入る。ギター、キーボード、声、パーカッションがそれぞれ独立しながら、最終的には一つの流れにまとまっていく。録音の解像度が高く、各音の輪郭がはっきりしているため、細かいフレーズの受け渡しも追いやすい。ジャズ・フュージョンの中でも、技巧を見せる方向だけに寄らず、曲の構造そのものを聴かせる作りになっている。

1987年のビルボードではTop Contemporary Jazz Albumsで年間16位を記録し、第30回グラミー賞ではBest Jazz Fusion Performanceを受賞した。後にRIAAゴールドにも認定されている。Pat Metheny自身が、あるポッドキャストで本作をグループ史の中でも特に重要な作品の一つとして語っていたこともある。ECMで育った精密な音作り、Geffen期らしい明快さ、ブラジル音楽の要素、そして代表曲の強さが一枚にまとまった作品として、1980年代後半のPat Metheny Groupを理解するうえで外せないアルバムだ。

EU盤について

このEU盤はGeffen Recordsの1987年リリースで、ラベルにはLC 7266表記がある。クレジット上はThe David Geffen Companyの表記も見られ、当時のGeffen作品らしい体裁になっている。マトリクスやランアウトの記述も含め、初期プレスならではの情報が残る盤面で、オリジナル期の空気をそのまま持つ一枚として扱える。

トラックリスト

  1. A1 Minuano (Six Eight) 9:25
  2. A2 So May It Secretly Begin 6:24
  3. A3 Last Train Home 5:38
  4. B1 (It's Just) Talk 6:16
  5. B2 Third Wind 8:33
  6. B3 Distance 2:43
  7. B4 In Her Family 3:15

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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