Andy Summers - XYZ (1987)
Andy Summers 1987

Andy Summers - XYZ (1987)

Rock Soft Rock Pop Rock

Andy Summers『XYZ』――ポリス解散後に出た、歌もの中心のソロ作

Andy Summersの『XYZ』は、1987年に日本でリリースされたアルバム。ポリスのギタリストとして知られるサマーズが、バンド解散後に発表したソロ作品のひとつで、彼の作品群の中ではかなり曲もの寄りの内容になっている。ギターの表情を前面に出したインスト作品というより、本人のボーカルを含む楽曲を軸にした構成で、当時のソロ活動の方向性をはっきり示した一枚だ。

作品の位置づけ

『XYZ』は、サマーズのソロキャリアにおいて重要な転換点に置かれる作品。ポリス時代の延長線上にある緊張感のあるギター・ロックというより、ソフトロックやポップロックの感触を持つ楽曲が並ぶ。制作は1986年にロサンゼルスで行われ、デヴィッド・ヘンチェルとの共同プロデュース。ヘンチェルはポリスの作品でも知られる人物で、サマーズが単独でまったく別の場所へ行ったというより、ポリス周辺の制作感覚をソロに持ち込んだ形に近い。

全体の音像は、打ち込みドラムの使用が目立つ時代性のある仕上がり。80年代後半のニューウェーブ寄りの質感があり、硬質なリズムとサマーズのギターが重なる。ギターは前に出る場面もあるが、主役はあくまで曲そのもの。サマーズ自身がリード・ボーカルを取っている点も含め、ギタリストのソロ作というより、ソングライターとしての側面を見せるアルバムになっている。

収録曲と代表曲

シングルとしては「Love Is the Strangest Way」が出ている。この曲はアルバムの中でも比較的わかりやすいポップな輪郭を持ち、当時のアレンジ感覚を反映した一曲。チャート面での大きな成果は残していないが、作品の入口としては把握しやすい。アルバム全体では、ポリス的な感触を残す瞬間と、サマーズ独自の少し浮遊感のあるメロディの両方が見える。

一部の楽曲はポリス時代にデモされ、スティング向けの候補として持ち込まれていたとも伝えられている。そうした背景を踏まえると、『XYZ』は完全なゼロからの出発というより、バンド時代の残響を抱えたソロ作として聴かれてきた面がある。

当時の評価と聴きどころ

発表当時の評価は芳しいものではなく、批評面では厳しい反応が目立った。AllMusicでも不評だった作品としてまとめられている。ただ、演奏やアレンジを追うと、サマーズのギターの置き方やコードの進め方には、ポリスの作品で耳にした感触が確かに残る。そこに80年代中盤らしいシンセや打ち込みの質感が重なり、時代の空気がそのまま封じ込められたような仕上がりになっている。

実際に聴くと、派手な名演で押すタイプではなく、曲ごとの細部に耳が向くアルバム。ボーカル入りの楽曲が中心なので、サマーズの声を含めた人物像が見えやすい点も面白い。ポリスのギタリストとしてのイメージが強い人ほど、ここでの歌もの主体の構成には少し意外さがあるはずだ。

日本盤プロモ仕様について

今回の日本盤は見本品ステッカー付きのプロモーション盤で、レーベル面にも見本盤表記がある。さらに、プロモ情報を載せたインレイと、英語・日本語両方の歌詞を収めた仕様になっている。1987年当時の国内盤らしく、資料性の高い作り。MCA Recordsの日本盤として出たこの仕様は、当時の洋楽アルバムがどのように国内展開されていたかを伝える一枚でもある。

80年代ロックの中で

『XYZ』は、ポリス解散後のサマーズが、自分の名前でどこまでポップソングを扱えるかを試した記録のような作品でもある。同時代の80年代ロックを見渡すと、ギタリストがソロで歌ものへ踏み出す例は少なくないが、サマーズの場合はそこにポリス由来の緊張感と、少し冷えた音の質感が残る。アントン・コービンが手がけたジャケットも含め、作品全体に統一したイメージがある。

のちのサマーズが主にインストゥルメンタル寄りへ戻っていくことを考えると、『XYZ』はかなりはっきりした一時点の記録。1987年という年の空気、ポリス解散後の立ち位置、そしてソロ・アーティストとしての試行が、そのまま閉じ込められたアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Love Is The Strangest Way 4:20
  2. A2 How Many Days 6:11
  3. A3 Almost There 4:30
  4. A4 Eyes Of A Stranger 4:47
  5. A5 The Change 2:53
  6. B1 Scary Voices 4:37
  7. B2 Nowhere 4:35
  8. B3 XYZ 2:46
  9. B4 The Only Road 3:40
  10. B5 Hold Me 4:48

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Pop Rock"

toast