Big Big Train - The Underfall Yard (2009)
Big Big Train 2009

Big Big Train - The Underfall Yard (2009)

Rock Prog Rock Symphonic Rock

Big Big Train『The Underfall Yard』について

Big Big Trainは、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド。1990年に結成され、長く中心にいるGreg Spawtonを軸に活動を続けてきた。『The Underfall Yard』は2009年に発表された6作目のスタジオ・アルバムで、バンドにとって大きな節目になった作品として知られている。後に長くフロントを担うDavid Longdonが初参加したアルバムでもあり、以後のBig Big Trainの方向性を決定づけた一枚として扱われることが多い。

作品の輪郭

オリジナル盤は2009年12月15日にEnglish Electric Recordingsからリリースされた。本作では、ギターとキーボードを軸にした演奏に、チェロやコルネットなどのゲスト楽器が加わる。ロックの骨格の上に室内楽的なレイヤーを重ねる作りで、構成の細かさと音の密度がはっきりしている。歴史的な題材や土地の記憶を扱う曲が並び、派手な押し出しよりも、細部を積み上げるタイプの作り。

収録曲の中では、表題曲「The Underfall Yard」が中心的な位置にある。組曲的な展開を持つ長尺曲で、Big Big Trainらしい緻密な構成が最もわかりやすく出る場面。アルバム全体も、この曲を軸にした流れで聴くとまとまりが見えやすい。2009年当時のプログレ作品の中でも評価が高かった理由は、演奏の巧さだけでなく、楽曲の組み立てに無駄が少ない点にある。

2021年盤の特徴

今回のPlane Groovy盤は、2021年にUKで出たアナログ再発。3枚組LPで、トライフォールド仕様、ポリライナー付きのスリーブに収められている。オリジナルの2009年版をそのまま移した盤ではなく、全体がリミックスされ、さらに追加トラックを含む構成になっている点が大きい。

この再発盤では、E1に「Prelude To The Underfall Yard」、F2に「Brew And Burgh」が新たに加わっている。「Brew And Burgh」はGreg Spawtonがこの再発のために書き下ろした曲として案内されている。さらに、E2の表題曲は2020年に新しく録音し直した版、F1.1は「Songs From The Shoreline」の再録版に差し替えられている。つまり、単なる復刻盤ではなく、2009年作を土台にして内容を組み直した再構成盤という性格が強い。

演奏と音像

録音はAubitt Studios、追加録音はReal World Studiosで行われている。ボーカルの一部はThe Playpenで録られた。こうした制作環境の違いはあるが、仕上がりは全体として統一感がある。Big Big Trainの盤は、編成が大きくなっても音の輪郭が崩れにくいが、この作品もその傾向がよく出ている。楽器が重なっても、各パートの役割が見えやすい作り。

David Longdonの参加も重要な点。彼の歌声は、派手に押し切るタイプではなく、曲の流れに沿って言葉を置いていく感触がある。ここではその後の作品ほど完成された個性が前面に出るわけではないが、Big Big Trainの物語性のある書き方と相性が良い。バンドがこの後に広げていく、合唱的な厚みや叙事的な構成の入口としても見やすい。

プログ・ロックの文脈で

Big Big Trainは、同時代の英国プログレの中でも、GenesisやCamelの流れを意識されやすいバンドだが、単なる復古ではなく、現代的な録音と構成で更新しているところに特徴がある。『The Underfall Yard』は、その姿勢がはっきり出た作品。シンフォニック・ロックの大きな流れの中で、オーケストラ的な装飾に頼り切らず、バンド編成の積み重ねでスケールを作っている。

オリジナル盤と2021年盤を比べると、後者は音の見通しと追加曲によって、作品の輪郭が少し広がっている。特に新規収録の「Prelude To The Underfall Yard」や「Brew And Burgh」は、2009年盤を知っていると配置の意味が見えやすい。アルバムを単独の完成品として閉じるのではなく、後年の視点から組み替えた再発盤という点に、この盤の面白さがある。

Big Big Trainの作品群の中では、ここからDavid Longdon期の流れが本格化していく。その意味で『The Underfall Yard』は、バンドの過去と未来をつなぐ位置にあるアルバム。2009年のオリジナル版と、2021年のリミックス再発盤、その両方を並べて見ると、作品の性格がよりはっきりする。

トラックリスト

  1. A1 Evening Star
  2. A2 Master James Of St. George
  3. B1 Victorian Brickwork
  4. C1 Last Train
  5. C2 Winchester Diver
  6. D1 The Underfall Yard
  7. E1 Prelude To The Underfall Yard
  8. E2 The Underfall Yard (2020 Studio Version)
  9. Songs From The Shoreline
  10. F2 Brew And Burgh

動画プレイリスト

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