Rolling Stones - Exile On Main St. (1972)
The Rolling Stones 1972

Rolling Stones - Exile On Main St. (1972)

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Rolling Stones『Exile On Main St.』(1972)

ローリング・ストーンズが1972年に発表した『Exile On Main St.』は、バンドのキャリアの中でも特に位置づけの大きい作品だ。英国盤としては1972年リリース、レーベルはRolling Stones Records。タイトルどおり、バンドが自分たちの活動拠点をロンドンから離れ、南仏で制作を進めていた時期の空気がそのまま刻まれている2枚組である。ブルース・ロック、ロックンロール、カントリー・ロックの要素が、曲ごとに自然に入り混じった内容になっている。

南仏の地下室で生まれた2枚組

本作の制作は、税制の事情でフランス南部に移っていたバンドが、Keith Richardsの借りた別荘Nellcôteの地下室を使って進めたことで知られている。移動式録音車を外に置き、各部屋に散らばったメンバーからケーブルを引き回して録音する、かなり変則的な方法だった。地下室は蒸し暑く、楽器のコンディション維持も難しい環境だったとされる。そうした条件のまま、Andy Johnsがトラックと地下室を往復しながら音像をまとめていった。

実際に聴くと、音は整理されすぎていない。輪郭のくっきりしたスタジオ録音というより、部屋鳴りや空気の重さが残ったまま曲が進む感触がある。だが、その“ざらつき”がこのアルバムの核心でもある。整った完成品より、演奏の生々しさやバンドの間合いが前に出る作りだ。

収録曲の手触りと代表曲

冒頭の「Rocks Off」から、アルバムは一気に引き込む。リズムの押し出しが強く、ボーカルも演奏も前へ出る。「Rip This Joint」は短い尺で一気に走り抜ける曲で、ストーンズのロックンロール感覚がそのまま出ている。「Tumbling Dice」はこの作品を代表する1曲で、ゆるいグルーヴの上にメロディが乗る構成。シングルとしても存在感が強く、アルバムの中でも特に聴きどころがはっきりしている。

「Sweet Virginia」や「Loving Cup」では、カントリーやゴスペルの匂いが見える。派手な装飾より、演奏の呼吸で聴かせるタイプだ。「Happy」ではKeith Richardsがリード・ボーカルを取り、バンド内での役割分担も印象に残る。「Shine a Light」や「Let It Loose」には、曲の展開に合わせて熱量がじわじわ上がる場面がある。終盤の「Soul Survivor」まで通して聴くと、曲単位の強さだけでなく、2枚組としての流れも大きい。

当時の評価と、その後の再評価

1972年の発表当初は、反応が割れた作品でもある。音質の濁りや2枚組ゆえの散漫さに戸惑う声があった一方で、同時代の批評では早くから高い評価も出ていた。のちに評価は大きく変わり、70年代後半以降はストーンズの代表作として扱われるようになった。初期に厳しかった批評家まで後年には評価を改めている。

この流れは、70年代のロック作品全般にも通じる。完成度の高いハードロックや、スタジオ技術を前面に出した作品が並ぶ時代にあって、『Exile On Main St.』はむしろ雑味や揺れを残したまま押し切る。The Bandのようなアメリカン・ルーツ志向とも接点があり、同時代の英国ロックの中ではかなり土の匂いが強い部類に入る。

作品の位置づけ

ストーンズにとっては、単なる人気作ではなく、バンドの方法論が最も濃く出たアルバムとして見られることが多い。ミック・ジャガーとキース・リチャーズの軸に、ミック・テイラー在籍期の演奏が重なり、リズム隊の粘りと曲の幅が同時に収まっている。のちの再発盤では、オリジナル盤の雰囲気を伝えるパッケージやクレジットが重視されているが、まず重要なのはこの1972年盤そのものの密度だ。

ジャケットを含めた物理的な作りも印象深い。Unipak-styleのゲートフォールド仕様で、内側には写真とクレジットを載せたカードが入り、さらに12枚のポストカードが付属していた。音だけでなく、当時のストーンズが置かれていた状況まで含めて一つの作品になっている。

『Exile On Main St.』は、きれいに整った名盤というより、混線した現場の熱と演奏の重なりがそのまま残ったアルバムだ。ロック、ブルース、カントリーの要素が別々に並ぶのではなく、同じ床の上で鳴っている感じがある。その手触りこそが、この作品を長く特別な位置に置いてきた理由だ。

トラックリスト

  1. A1 Rocks Off 4:33
  2. A2 Rip This Joint 2:24
  3. A3 Shake Your Hips 2:58
  4. A4 Casino Boogie 3:30
  5. A5 Tumbling Dice 3:30
  6. B1 Sweet Virginia 4:25
  7. B2 Torn And Frayed 3:40
  8. B3 Sweet Black Angel 3:05
  9. B4 Loving Cup 4:22
  10. C1 Happy 3:00
  11. C2 Turd On The Run 2:33
  12. C3 Ventilator Blues 3:20
  13. C4 I Just Want To See His Face 3:15
  14. C5 Let It Loose 5:17
  15. D1 All Down The Line 3:50
  16. D2 Stop Breaking Down 4:34
  17. D3 Shine A Light 4:15
  18. D4 Soul Survivor 3:50

動画プレイリスト

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