Daryl Hall & John Oates - X-Static (1979)
Daryl Hall & John Oates『X-Static』(1979) 日本盤RCA / RVP-6419
Daryl Hall & John Oatesの『X-Static』は、1979年にRCAから出たアルバムで、デュオの流れの中では大きな転機の手前に置かれる作品だ。ブルーアイド・ソウルを土台にしながら、ディスコ、ロック、当時の空気を取り込んだ作りで、のちの80年代的なHall & Oates像へつながる途中経過がはっきり見える。日本盤はRVC Corporationによる製造で、帯や日本語表記を備えた国内流通盤。盤面は半透明のトランスルーセント・ヴァイナルで、強い光にかざすと透ける仕様になっている。
『X-Static』の立ち位置
Hall & Oatesは1967年から活動するアメリカのポップロック・デュオで、『X-Static』の時点ではまだ大ブレイク前夜にいる。前作までのソウル色を残しつつ、より整ったポップ・プロダクションへ寄せた内容で、ここでの試行錯誤が翌年の『Voices』へつながっていく。制作はDavid Foster。彼の参加で、演奏の隙間やコード感が整理され、曲の輪郭がはっきりした印象が残る。
実際に聴くと、派手さで押すアルバムではないが、曲ごとの温度差やアレンジの切り替えが細かい。ソウルの粘りを残した歌い回しと、当時のポップ・ロックらしい整った音作りが同居していて、後年のヒット作ほどの即効性はない一方、アルバム全体の流れで聴かせる構成になっている。1979年という年を考えると、ニューウェーブやディスコが並走していた時期の空気も、ところどころに入っている。
代表曲「Wait for Me」
本作で最も知られているのは「Wait for Me」だ。Billboardで18位まで上昇し、アルバムの中では明確な柱になっている。歌そのものは抑えめでも、リズムの運びとコーラスの処理が耳に残るタイプで、Hall & Oatesらしいメロディの強さが前に出る。大ヒット作の中心曲というより、ブレイク直前の段階でラジオに届いた一曲、という位置づけが近い。
アルバム全体のチャート成績はBillboard 200で最高33位。商業的には大きな爆発ではないが、後から振り返ると、ここでの方向転換が次の成功の土台になっている。Hall & Oates自身も、この時期の経験を経て、より自分たちの責任で作る方向へ進んでいく。
1979年盤としての見どころ
日本盤RVP-6419は1979年当時のオリジナル期に近い仕様で、のちの再発盤とは時代の質感が違う。RCAロゴ、RVC製造表記、そしてトランスルーセント・ヴァイナルという要素が揃っていて、国内盤ならではの資料性もある。RCAは世界的に使われたレーベルで、この時期のリリースには70年代後半の洋楽輸入盤らしい空気がそのまま残る。
『X-Static』は、Hall & Oatesの代表作群の中ではやや控えめに見られがちだが、実際にはその後の飛躍を支える重要な一枚だ。ソウル、ポップ、ロックのあいだを行き来する作り、David Fosterの参加、そして「Wait for Me」の存在。80年代の成功だけを見ていると見落としやすいが、このアルバムには、次の段階へ進むための準備運動のような緊張感がある。
トラックリスト
- A1 The Woman Comes And Goes 3:48
- A2 Wait For Me 4:06
- A3 Portable Radio 4:44
- A4 All You Want Is Heaven 4:00
- A5 Who Said The World Was Fair 4:08
- B1 Running From Paradise 6:35
- B2 Number One 3:43
- B3 Bebop / Drop 3:56
- B4 Hallofon 1:17
- B5 Intravino 3:33