Vulfpeck - Hill Climber (2018)
Vulfpeck 2018

Vulfpeck - Hill Climber (2018)

Funk / Soul Funk Soul Contemporary R&B

Vulfpeck『Hill Climber』について

Vulfpeckの『Hill Climber』は、2018年に発表された4作目のスタジオ・アルバムで、バンドの活動のなかでもまとまりの強い一枚として扱われている。ミシガン大学音楽学部の出身者を中心に2011年に結成されたVulfpeckは、演奏力の高さと、配信時代に合わせた独自の発表方法で知られてきたグループだが、この作品ではその特徴がかなり整理された形で表れている。自主レーベルのVulf Recordsからのリリースで、バンドの自家製の制作体制がそのまま作品の輪郭になっている点も印象に残る。

前半と後半で性格が分かれる構成

アルバムは全10曲で、前半5曲がボーカル曲、後半5曲がインストゥルメンタルという明快な二部構成になっている。ここが『Hill Climber』の大きな特徴だ。前半ではTheo Katzmanらの歌が前に出て、メロディ重視の楽曲が並ぶ。後半に入ると、Vulfpeckらしいリズムの組み立てや、ベースとキーボードの掛け合いが中心になり、演奏そのものを聴かせる流れへ切り替わる。ボーカル主体のポップ感と、バンドの基礎体力をそのまま見せるインスト曲群が、同じ作品の中で分かれている構成。

この整理された作りは、アルバム全体を追いやすくしている。曲ごとの役割がはっきりしていて、音数を詰め込みすぎないため、各パートの位置が見えやすい。Vulfpeckの作品は技巧の見せ場が話題になりやすいが、『Hill Climber』ではその技巧が曲の流れの中に収まっている。

代表曲「Half Of The Way」と終盤の「It Gets Funkier IV」

収録曲の中では「Half Of The Way」がよく取り上げられる。Vulfpeckのキャリアの中でもかなりポップ寄りの仕上がりで、メロディの運びが素直だ。ファンク・バンドとしての骨格を保ちながら、歌ものとしてのわかりやすさが前に出ている。ハーモニーやリズムの切り方も含めて、バンドの中で“聴きやすい曲”として機能している。

アルバムの最後を締める「It Gets Funkier IV」には、ゲスト・ドラマーとしてルイス・コールが参加している。シリーズ化されたタイトルの通り、バンドが続けてきたファンクの実験を引き継ぐ位置づけの曲で、アルバムの終わり方としても流れが明確だ。こうした終盤の置き方は、単なる曲集ではなく、一枚の作品としてのまとまりを意識した作りに見える。

Vulfpeckの流れの中での位置

Vulfpeckは、2014年の無音アルバム『Sleepify』でも広く知られるようになったグループだが、『Hill Climber』はそうした話題性よりも、演奏と曲作りの完成度を前面に出した作品として受け取られている。ジャック・ストラットンが軸になって運営するVulf Recordsからの発表で、バンドのセルフ・プロデュース感も強い。メンバーはJack Stratton、Woody Goss、Joe Dart、Theo Katzman、Cory Wong。各人の役割がはっきりしていて、特にリズム隊の機能性がアルバム全体を支えている。

同時代のファンクやネオ・ソウルの文脈で見ると、Vulfpeckは演奏の細部を前面に押し出しつつ、古いファンクの引用に寄りすぎない立ち位置を保ってきた。70年代のファンク、ソウル、R&Bの要素を踏まえながら、2010年代のインディー的な制作感覚と接続しているところが、このグループの個性でもある。『Hill Climber』は、その接続がかなり整理された段階の記録になっている。

2018年盤について

今回の盤は2018年発表時のもので、UKリリースの白盤仕様。ジャケットには「LIMITED EDISH WHITE VINYL **NAILED IT**」と記されている。流通やコレクションの文脈では、こうした限定色盤が注目されやすい。内容面ではオリジナルの2018年作そのものを収めており、作品としての骨格は変わらない。Vulfpeckのディスコグラフィーの中では、歌ものと演奏曲のバランスをはっきり分けたアルバムとして記憶されている一枚だ。

『Hill Climber』は、Vulfpeckが持つ軽快さ、精密さ、そしてバンドとしてのまとまりが、比較的わかりやすい形で並んだ作品である。曲単位でも聴きやすく、アルバム単位でも流れが追いやすい。そうした設計が、2018年時点のVulfpeckをそのまま示している。

トラックリスト

  1. A1 Half Of The Way
  2. A2 Darwin Derby
  3. A3 Lonely Town
  4. A4 Love Is A Beautiful Thing
  5. A5 For Survival
  6. B1 Soft Parade
  7. B2 Lost My Treble Long Ago
  8. B3 Disco Ulysses
  9. B4 The Cup Stacker
  10. B5 It Gets Funkier IV

動画プレイリスト

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