Galliard - Strange Pleasure (1970)
Galliard『Strange Pleasure』レビュー
Galliardの『Strange Pleasure』は、1970年にイギリスのDeram Novaから出たアルバムで、バーミンガム出身のバンドが残した初期の重要作として知られている。のちに2007年、ヨーロッパ盤としてTapestry RecordsのTPT 245で再発され、180グラム盤・500枚限定の仕様で出回った。レーベル面ではブートレグ系の再発レーベルとして扱われることが多く、オリジナル盤とは流通経路も体裁もかなり異なる。
Galliardは1968年に結成され、1971年には解散したUKのプログレッシブ/ジャズロック・バンド。メンバーはLyle Jenkins、Dave Caswell、Geoff Brown、Andy Abbott、John Smith、Richard Pannell、Les Podrazaら。『Strange Pleasure』は、そうした編成が持っていた演奏力と、当時の英国ロック周辺にあったフォーク、ブラス、ジャズの要素を、ひとつのLPにまとめた作品として位置づけられる。
作品の成り立ち
このアルバムはロンドンのOlympic Studiosで録音され、プロデュースはPhil Wainmanが担当した。もともと半プロ的な活動を続けながら、ソウルやブラス寄りのライブを重ねて曲を育てていったバンドで、その蓄積がそのまま盤面に出ている。1970年当時の『Melody Maker』でも、バーミンガム出身でブルース感覚とジャズ感覚を持つ大きなサウンドとして紹介され、別号では重く、ややブルージーで、演奏力が高いと評されていた。
商業的な大ヒットとしての記録は見当たらないが、当時の評価そのものは悪くない。Galliardにとっては、後の活動を含めても、この『Strange Pleasure』が最も知られた作品のひとつになっている。
音の印象
収録曲は、民謡風の輪郭、中世風の響き、木管やブラス、サイケデリックな処理、ジャズ寄りの展開が混ざった構成。曲ごとの色合いがはっきりしていて、単に“プログレ”の一語では収まりにくい。演奏はタイトで、リズム隊の押し出しが強く、管楽器が入る場面ではロックバンドというより小編成のアンサンブルのようなまとまりもある。
「Skillet Good ’n’ Greasy」はDavy Graham盤から着想を得たアレンジとして知られ、「I Wrapped Her In Ribbons」では5/4拍子のトランペット・ソロが入る。変拍子や編曲の工夫が前面に出るが、技巧だけで押し切る感じではなく、曲の中で自然に組み込まれているのが特徴。ここが、同時代の英国フォークロックやジャズロックと並べて聴かれる理由になっている。
同時代とのつながり
文脈としては、Fairport ConventionやSteeleye Spanのような英国フォークの流れ、あるいはブラスやジャズの感覚を取り込んだColosseum周辺の動きとも響き合う。サイケデリックな色合いもありつつ、単なる幻想志向ではなく、演奏の組み立てがかなり実務的で、ライブで鍛えたバンドの手触りが残っている。英国ロックの中でも、ジャンルの境目を往復していた時期の空気がよく出た一枚。
また、公開後には「I Wrapped Her In Ribbons」をFrank Ifieldが1970年5月にB面曲として録音したという記録もある。アルバムの中の楽曲が外部に拾われた例として、当時の曲作りの密度を示すエピソードになっている。
2007年再発盤について
2007年のTapestry Records盤は、オリジナル盤からかなり後年の再発で、180グラムのヴィニール仕様、限定500枚という体裁。ジャケットにはその表記があり、シュリンクの黄色いステッカーでも訴求されている。裏ジャケットではLes Podrazaの表記が消され、Beppaというニックネームが書き込まれている点も、この盤ならではの特徴だ。オリジナルの1960年代末〜1970年の空気をそのまま伝えるというより、コレクター向けの再提示として出た再発盤という性格が強い。
『Strange Pleasure』は、派手なヒット曲で記憶される作品ではないが、英国のジャズ、ブラス、フォーク、サイケデリックの接点にあったバンドの姿を、かなり具体的に残したアルバム。Galliardのディスコグラフィーの中でも、初期の到達点として見られている。
トラックリスト
- A1 Skillet 3:44
- A2 A Modern Day Fairy Tale 3:15
- A3 Pastorale 2:29
- A4 I Wrapped Her In Ribbons 3:51
- A5 Children Of The Sun 3:45
- B1 Got To Make It 4:00
- B2 Frog Galliard 3:22
- B3 Blood 3:47
- B4 Hear The Colours 3:47
- B5 I Wanna Be Back Home 4:49