Various - The Perfumed Garden (1983)
Various 1983

Various - The Perfumed Garden (1983)

Rock Psychedelic Rock Beat Rhythm & Blues

The Perfumed Garden / Various(1983年・UK)

Various名義のコンピレーションとして出た「The Perfumed Garden」は、1983年にUKのPsycho Recordsから登場した1枚。タイトルの印象どおり、単なる曲集というより、60年代イギリスのロックの匂いを80年代の時点であらためて掘り起こした編集盤として見ると輪郭がつかみやすい。収録の軸にあるのは、Psychedelic Rock、Rhythm & Blues、Beatといった、UKロックの初期衝動に近い領域だ。派手な時代性よりも、むしろ当時のシングル盤文化やクラブ・シーンの空気をそのまま切り取ったような性格が強い。

Psycho Recordsは、ケント州マーゲイトを拠点にしたUKのサイケデリック/ガレージ/プログレ系レーベルとして知られている。80年代初頭という時期に、こうしたコンピレーションを出していたこと自体が、60年代英国ロックの再評価と地続きだ。オリジナル盤としての1983年という年は、単に古い音源をまとめただけではなく、その頃のリスナーがどの曲を「今あらためて聴くべきもの」と見ていたかを示す資料にもなっている。

作品の位置づけ

この種のVariousコンピレーションは、特定のアーティストの代表作というより、ある時代の音の断面を示す役割が大きい。「The Perfumed Garden」もその例で、60年代UKのBeat、R&B、サイケデリック・ロックの流れを横断する設計に見える。単独のバンドのアルバムではないぶん、曲ごとの個性がはっきり出やすく、録音年代や演奏の癖、歌い方の違いがそのまま面白さになるタイプだ。

同時代の文脈でいえば、80年代の英国では60年代リバイバルやオリジナル盤の再発掘が進み、ガレージやサイケの編集盤が少しずつ注目を集めていた。そうした流れの中で、この盤も「埋もれた音源をまとめて聴く」楽しさを前面に出したものとして位置づけられる。The Pretty Things、The Small Faces、The Creation、The Actionといった60年代UKのバンド群が比較対象として思い浮かぶが、実際にはそうした周辺の空気を広く含むコンピレーションと考えるほうが近い。

サウンドの印象

聴きどころは、録音のざらつきと演奏の直進性だ。R&B寄りの曲ではドラムとギターの押し出しが前に出やすく、Beat寄りの曲ではコーラスやリズムの跳ね方が耳に残る。サイケデリック寄りの曲になると、音の色づけや展開の変化が少しずつ増え、同じ編集盤の中でも温度差がはっきり見える。全体としては、後年の洗練されたサイケ再現ではなく、当時の演奏そのものの手触りが中心だ。

こういうコンピレーションでは、曲単体の完成度だけでなく、並び順にも意味が出ることが多い。「The Perfumed Garden」も、勢いのある曲と、少し間合いを取る曲が交互に置かれることで、60年代英国ロックの広がりを見せる構成になっているように受け取れる。アルバム全体を通すと、ライブ感の強い曲、スタジオ効果を使った曲、ブルースの影が濃い曲が順に現れ、ジャンルの境界がまだ固まりきっていない時代の感触が残る。

注目曲について

コンピレーション盤なので、代表曲の有無は収録内容に大きく左右されるが、この手の編集盤で注目されやすいのは、まずリフが立っている曲だ。ギターのフレーズが短くても印象に残るタイプ、あるいはオルガンやハーモニーが曲の輪郭をはっきりさせるタイプが、その盤の顔になりやすい。「The Perfumed Garden」でも、ロックンロールの骨格が見える曲は、アルバム全体の入口として機能しているはずだ。

もう一つの聴きどころは、少し実験的な手触りを持つ曲だ。60年代後半のUKサイケでは、音響処理や転調、テンポの揺らぎが曲の特徴になることが多く、この盤でもそうした要素を含む曲が並ぶことで、単なる懐古ではない編集意図が見えてくる。こうした曲は、派手さよりも細部に耳が向く。歌メロより先に、ベースの動きやドラムの抜き差しが印象に残ることもある。

この盤を聴く意味

「The Perfumed Garden」は、特定の大ヒット曲を前面に出すタイプの盤ではなく、60年代UKロックの複数の断面を一枚に集めたコンピレーションとして見ると理解しやすい。Psycho Recordsらしい編集方針のもとで、サイケデリック、R&B、Beatの境目を行き来する音がまとまっている。オリジナル盤の1983年という時点で、すでに過去の音になっていた素材を、80年代の耳で再配置した記録とも言える。

再発盤がある場合でも、この種の編集盤はオリジナル盤の時点での曲順や選曲の意味が重要になりやすい。音質の違いが話題になることはあっても、まずは80年代初頭のUKで、60年代英国ロックをどう聴き直していたかを示す資料として見るのが自然だろう。コンピレーション好き、UKサイケやビート系の流れを追う人には、時代の断面が見える1枚として記憶されやすい作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Try A Little Sunshine
  2. A2 You're Too Much
  3. A3 Grounded
  4. A4 The Bird
  5. A5 Sidney Gill
  6. A6 No Good Without You Baby
  7. A7 Reputation
  8. B1 It's Shocking What They Call Me
  9. B2 Doctor, Doctor
  10. B3 Strange Walking Man
  11. B4 Nine Til Five
  12. B5 Floatin'
  13. B6 Crawdaddy Simone
  14. B7 Listen To The Sky

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