Gary Wright - The Right Place (1981)
Gary Wright 1981

Gary Wright - The Right Place (1981)

Rock Pop

Gary Wright『The Right Place』(1981)

Gary Wrightの『The Right Place』は、1981年にWarner Bros. Recordsから出たソロ・アルバムで、彼のワーナー期を締めくくる一枚として位置づけられている。Spooky Toothのメンバーとして知られたあと、ソロではシンセサイザーを前面に出した作品で存在感を示してきた人だが、このアルバムでもその流れははっきりしている。70年代の「Dream Weaver」以降に築いた、鍵盤主体の作曲とポップな推進力が、80年代初頭の空気の中で整理された内容になっている。

米国盤はWarner Bros. RecordsのBSK 3511。ラベルは1981年当時のワーナーらしいタン・ラベル期にあたり、クレジット上は「©&P 1981 Warner Bros Records Inc」「Made in U.S.A.」表記。さらに、カッティングやプレスに関してはキャピトル系のWinchesterプレスを示す「WW」刻印が確認される。内袋も印刷入りで、当時のワーナーLPらしい仕様がそろっている。

作品の位置づけ

『The Right Place』は、Gary Wrightの70年代後半までの成功を受けて、1981年のラジオ向けポップ感覚へ寄せた作品として見られている。大きな転機になったのは先行シングル「Really Wanna Know You」で、全米シングルチャート16位を記録した。アルバム本体もBillboard 200で79位まで上昇しており、これが彼にとって当時の最後の目立ったチャート実績になった。

収録曲の中では、この「Really Wanna Know You」がやはり中心になる。Gary WrightとAli Thomsonの共作で、アルバムの中でも最も広く知られた曲。続く「Heartbeat」もシングルとして動きがあり、アルバム全体の印象を決める役割を担っている。シングルで前に出る曲を持ちながら、作品全体は一発屋的な構成ではなく、鍵盤のレイヤーとリズムの組み立てで通しやすい流れを作っている。

サウンドと制作

制作はGary WrightとDean Parksの共同プロデュース。録音はWright自身の自宅スタジオを基盤に進められたとされ、80年代初頭に広がっていたホーム・レコーディング志向とも重なる。参加ミュージシャンにはTris Imboden、David Pack、Timothy B. Schmit、Lenny Castroらの名前が見える。こうした顔ぶれからも、シンセ主体の個人作業だけでなく、当時の西海岸ポップ/ロックの実務的な手触りが入っていることがわかる。

実際に聴くと、前面に出るのはGary Wrightの鍵盤と歌の輪郭で、そこにベースやドラムがきっちり噛み合う作り。70年代の大仰なシンセ・ソロ作というより、曲の長さや展開を整理して、FMラジオで流れやすい単位に収めた印象が強い。音の厚みはあるが、過剰に飾り立てる方向ではない。メロディの明快さとリズムの安定感が先に立つ。

同時代とのつながり

この時期のGary Wrightは、70年代中盤のシンセ・ソフトロック路線を80年代仕様に更新した存在として見られることが多い。AORやウェストコースト系の流れと接点があり、洗練されたポップ・ロックの文脈で扱われることもある。特に、シンセを主役にしながらも歌のフックを崩さない作りは、同時代のFM向けロックと親和性が高い。

Spooky Toothのハードなイメージだけを知っていると、このソロ期の音像はかなり違って聞こえる。だが、Gary Wrightがもともと鍵盤奏者であり、ソングライターとして曲の構造を組み立てる人だったことを考えると、『The Right Place』はその資質が一番わかりやすく出た時期の記録でもある。後年にはセッションやプロデュース、映画音楽にも関わっていくが、このアルバムはその前段階にある、ソロ表現の一つの到達点として置ける。

レコードとしての見どころ

USオリジナル盤を見分けるうえでは、Warner Bros.の1981年タン・ラベル期であること、そしてWinchesterプレスの「WW」刻印が手がかりになる。70年代のパームツリー・ラベルでもなく、1983年以降の白地にゴースト・シールドの新ラベルでもない、ちょうど切り替え前の時期の仕様だ。盤面の情報も含めて、80年代初頭のワーナーLPの標準的な姿がそのまま残っている。

『The Right Place』は、Gary Wrightのキャリアの中で大ヒットの余波を受けながら、シンセ主体の作風を80年代のポップ・ロックへ接続したアルバム。大きな実験作ではないが、代表曲「Really Wanna Know You」を軸に、当時のラジオ感覚と本人の鍵盤志向がきれいに重なった作品として整理できる。

トラックリスト

  1. A1 Intro 0:29
  2. A2 Heartbeat 4:16
  3. A3 Really Wanna Know You 4:22
  4. A4 Got The Feelin' 3:41
  5. A5 Love Is A Rose 4:30
  6. B1 The Right Place 3:33
  7. B2 More Than A Heartache 4:33
  8. B3 Close To You 4:07
  9. B4 Comin' Apart 3:51
  10. B5 Positive Feelins 3:41

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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