Ariana Grande - Petal (2026)
Ariana Grande 2026

Ariana Grande - Petal (2026)

Electronic Pop Synth-pop

Ariana Grande『Petal』レビュー

Ariana Grandeの『Petal』は、2026年に登場した8作目のスタジオアルバムである。Republic Recordsからのリリースだが、今回は自身の新レーベルBabydoll Musicを通じた作品として位置づけられている。映画『ウィキッド』関連の活動を終えたあと、2026年1月から4月にかけてニューヨークのJungle City StudiosやロサンゼルスのGodzilyaなどで制作が進められたという流れも含め、ここまでのキャリアの区切りを意識した一枚として受け取られている。

アリアナ・グランデは、ブロードウェイの『13』、そして『Victorious』『Sam & Cat』で知られる存在から、ポップ・シンガーとして独自の地位を築いてきた。Republic Recordsからは『Yours Truly』以降、2024年の『Eternal Sunshine』まで主要作を重ねてきたが、『Petal』ではレーベル面でも制作面でも新しい段階に入った。単なる通算作というより、これまでの作品群の延長線上にありながら、名義や体制を更新した作品として見るのが自然だろう。

作品の輪郭

本作はElectronic、Pop、Synth-popの要素を軸にした構成で、全体はシンセを前景に置いた整理されたサウンドが印象に残る。トラックはサイドをまたいで連番で表記され、全曲が小文字表記という仕様も含め、パッケージ全体で統一感が強い。16ページの12×12インチ・ブックレットには歌詞とクレジットが収められ、見開き仕様のゲートフォールド盤として出ている点も、アルバム作品としてのまとまりを意識した作りになっている。

制作面ではイリヤ・サルマンザデとの共同プロデュース、共同エグゼクティブプロデュースが軸にあり、3曲ではマックス・マーティンも共作に参加している。アリアナのポップ作品でこの2者の名前が並ぶと、過去のヒット曲群との接続を思わせる一方で、『Petal』ではその輪郭をただなぞるのではなく、より感情の振れ幅を前に出した印象がある。先行シングル“Hate That I Made You Love Me”は全米Billboard Hot 100で初登場1位を記録し、通算10曲目のNo.1となった。

アルバムの内容と位置づけ

ウェブ上の情報では、本作は過去の恋愛関係への怒りや、名声にまつわる過剰な詮索への反発を前面に出した内容とされる。アリアナ自身が「少し野性的」と表現したという点も、このアルバムの温度感をよく示している。『thank u, next』や『positions』のように感情を整理して提示する作風とは少し異なり、ここでは感情の処理よりも、まずそのまま出すことに重きがある。

その意味で『Petal』は、アリアナのディスコグラフィの中でもかなり明確な転換点に見える。これまでの作品が、洗練されたR&Bポップやミニマルな構成で語られることが多かったのに対し、本作はシンセポップ寄りの骨格の上に、言葉数の多い感情表現を乗せていく作りになっている。歌唱そのものは相変わらず精密だが、音の整い方よりも、感情の圧を優先した場面が目立つ。

同時代性と比較

2020年代のポップでは、80年代回帰のシンセ・サウンドを使いながらも、歌詞で個人的な痛みや自己像を強く押し出す作品が増えている。『Petal』もその文脈に置けるが、アリアナの場合は単なるレトロ志向ではなく、長く続くスターとしての視線や私生活の消費に対する応答として聴こえる部分がある。音の作りだけでなく、発言やリリース体制まで含めて、一枚のアルバムがその時点の立ち位置を示している。

批評面では評価が割れており、Metacriticでは67点とされる。Rolling Stoneは怒りの表出を強みとして捉えている一方、サウンドの抑制が物足りないという見方もある。こうした反応も含めて、『Petal』は完成度の高さだけで押し切る作品ではなく、感情の出し方そのものを作品の核に置いたアルバムとして読まれている。

パッケージと盤の仕様

フィジカル面もかなり細かい。CD、アナログ、カセットそれぞれに複数の仕様があり、通常盤のほか、各種小売限定盤やWebstore限定盤、Spotify Fans First、Amazon Music、Urban Outfittersなど、流通ごとのバリエーションが用意されている。アナログではTranslucent Pearly White、Classic White、Cloudy Gray Swirl、Ghosty、Gray Skies、Opal Girly、Pavement、Picture Disc、Translucent Ivory Storm Marbleなどが確認でき、限定盤の多さもこの時期の大作ポップらしい動きである。

なお、USでは一部のTranslucent Pearly White盤にサイン入りインサートが封入されたものがあった。ジャケットはゲートフォールド、内袋はダイカット仕様、さらにフロントのシュリンクにはハイプステッカー、裏面にはバーコードステッカーが貼られている。こうした情報まで含めると、『Petal』は音源だけでなく、モノとしての見せ方までかなり意識された作品だとわかる。

まとめ

『Petal』は、Ariana GrandeがRepublic Recordsの枠組みから一歩外へ出て、自身のBabydoll Musicを掲げながら出した新章のアルバムである。シンセポップを基調にしつつ、怒りや反発を隠さず前に出した内容は、彼女のこれまでの洗練されたポップ像に新しい角度を足している。代表曲“Hate That I Made You Love Me”のヒットも含め、2026年のアリアナを語るうえで外せない一枚として記録される作品だろう。

トラックリスト

  1. A1 Kiss Me
  2. A2 Hate That I Made You Love Me
  3. A3 Petal
  4. A4 Stay
  5. A5 Oh Well
  6. A6 Big Feelings
  7. B7 Freak
  8. B8 Warning Signs (Interlude)
  9. B9 Like I Do
  10. B10 Never Get Over Me
  11. B11 Bad Thing (Bunny Hop)
  12. B12 Nowhere, Nobody

動画プレイリスト

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