Mushroom - Early One Morning (1973)
Mushroom『Early One Morning』
アイルランドのフォーク・ロック・バンド、Mushroomが1973年にHawkレーベルから残した唯一のアルバムが『Early One Morning』。ダブリンで結成されたグループで、中心人物としてはヴァイオリンのPat Collinsと、ヴァイオリン以外の多くを担ったJoe O’Donnellの名前が挙がっている。作品全体では、他のメンバーがオルガン、モーグ、ハープシコード、ベース、ドラム、ティン・ホイッスル、ボドランなどを加え、ケルト色の強い編成を作っていたとされる。
制作背景と収録曲の動き
このアルバムは、伝統曲をロックの編成で押し出す方向性がはっきりした一枚として紹介されている。中でも「Devil Among the Tailors」は、伝統的なアイリッシュ・リールを電気楽器中心の編成に落とし込んだ曲として語られており、作品を代表する楽曲として扱われている。具体的な録音時の逸話や制作メモは限られているが、少なくともこのアルバムでは、フィドルやティン・ホイッスル、ボドランといった楽器が前面に出る形で、伝統曲の素材をロック寄りの演奏に組み替えている点が確認できる。
AllMusicのRichie Unterbergerは、この作品をFairport Convention系に近いものとして触れつつ、より素朴で、ボーカル面・演奏面でも洗練度は高くないと評している。その一方で、フィドル、エレキ、ティン・ホイッスル、ボドランが混ざるケルト色の濃いサウンドには言及している。別の紹介では、Pat CollinsのフィドルとAengus McNallyの歪んだギターのぶつかり合いが聴きどころとして挙げられている。
時代の文脈と作品の位置づけ
1970年代前半のアイルランドでは、伝統音楽とロックを接続する動きが強まり、同時代のHorslipsや、英国側のFairport Convention、Steeleye Spanと比較されることがある。『Early One Morning』は、その流れの中で、伝統旋律、サイケデリック感、ハードなギターを同居させた一枚として紹介されている。Mushroomは短命なバンドで、アルバムは唯一作。そのため、この作品がグループの活動全体をほぼ示す記録になっている。
補足すると、後年の紹介記事ベースでは「Devil Among the Tailors」が1973年のアイルランドTop 20で2位を記録し、アルバムとシングルを合わせて10万枚超を売ったとされる。さらに翌年の「Kings and Queens」が13位まで上がったという記述もある。ただし、ここで挙げられている数字は後年の資料に基づくもの。
後年の再評価
この作品については、具体的なカバーやサンプリングの事例は確認されていない一方で、再評価の動きははっきりしている。レコード市場では「ホーリー・グレイル」級の稀少盤として扱われ、再発CDも出ている。Mushroomの『Early One Morning』は、直接の引用よりも、アイルランド産のケルト系プログレ/フォークロックを掘り起こす対象として後年に見直された作品として残っている。
トラックリスト
- A1 Early One Morning
- A2 The Liathdan
- A3 Crying
- A4 Unborn Child
- A5 Johnny The Jumper
- B1 Potters Wheel
- B2 Standing Alone
- B3 Devil Among The Tailors
- B4 Tenpenny Piece
- B5 Drowsey Maggie
- B6 King Of Alba
動画プレイリスト
このアーティストについて
Mushroomは、1970年から1975年にかけて活動したダブリン出身のバンドだ。メンバーはAonghus McAnally(ギター/ヴォーカル)、Pat Collins(フィドル...
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