Shuggie Otis - Here Comes Shuggie Otis (1970)
Shuggie Otis『Here Comes Shuggie Otis』
シュギー・オーティスが1970年に発表した記念すべきソロ・デビュー作。録音当時わずか16歳にして、父ジョニー・オーティスとの共同プロデュースにより完成させたアルバムである。ロサンゼルス出身のマルチ奏者であるシュギーは、1969年にアル・クーパーとの共演盤『Kooper Session』でその驚異的なギター・プレイを披露し、B.B.キングからも「最もお気に入りの新人ギタリスト」と絶賛された。本作はその直後にリリースされた、早熟の天才の出発点を刻む名盤である。
制作背景・参加ミュージシャン
制作面では、R&B界の重鎮である父ジョニー・オーティスの人脈が惜しみなく注ぎ込まれた。参加者には、ザ・クルセイダーズのウィルトン・フェルダー(ベース/キーボード)やスティックス・フーパー(ドラム)、レオン・ヘイウッド(キーボード)、アル・マッキボン(ベース)、プラス・ジョンソン(サックス)ら、西海岸のジャズ/ファンク/ソウル界の猛者たちが集結。シュギー自身も鋭角的なエレクトリック・ギターにとどまらず、ピアノ、オルガン、チェンバロ、チェレスタまでを自ら演奏し、類まれな才能を発揮している。
サウンドと聴きどころ
アルバム冒頭の「Oxford Gray」は、バロック調の流麗なチェンバロの旋律とスライド・ギター、そして骨太なリズム隊が交錯するドラマティックなサイケデリック・ブルース大作。続く「Bootie Cooler」や「Shuggie's Boogie」では、10代とは思えないタイム感と粘り気のあるギター・カッティングが冴え渡るインスト・ファンクを聴かせる。さらに「Jennie Lee」のキャッチーなポップ・センスや、「Knowing (That You Want Him)」での繊細なヴォーカルなど、ブルースの枠を軽々と飛び越える多彩な表現力に満ちている。
時代の文脈
1970年初頭は、ロック、サイケデリア、ブルース、ファンクが激しく交差していた時代。父ジョニーが体現してきた1940〜50年代のジャズ/R&Bの素養と、シュギーが同時代に吸収したカウンターカルチャーやサイケデリック・ロックの感性が、世代間の豊かな対話としてひとつのアルバムに結実している。本作は、続く第2作『Freedom Flight』(1971年)や宅録ソウルの金字塔『Inspiration Information』(1974年)へと至る伝説の出発点でもある。
なお、本作はEpic Recordsの初期イエロー・レーベル仕様のオリジナル盤にあたり、1972年以降のオレンジ基調のデザインとは異なる初回仕様ならではの風格を保っている。
後世への影響
本作の楽曲は、後世のクリエイターたちにも深く愛され続けている。特に冒頭曲「Oxford Gray」は、ジ・アルケミストをはじめとするヒップホップ・プロデューサーにサンプリングされてきた。続く『Freedom Flight』に収められた「Strawberry Letter 23」がブラザーズ・ジョンソンによってカバーされ全米大ヒットを記録するなど、シュギーの才能は後年のレアグルーヴやヒップホップの文脈で決定的な再評価を獲得した。『Here Comes Shuggie Otis』は、その輝かしいキャリアの原点にして、今なお鮮烈な輝きを放ち続ける名作だ。
トラックリスト
- A1 Oxford Gray
- A2 Jennie Lee
- A3 Bootie Cooler
- A4 Knowing (That You Want Him)
- A5 Funky Thithee
- B1 Shuggie's Boogie
- B2 Hurricane
- B3 Gospel Groove
- B4 Baby, I Need You
- B5 The Hawks
動画プレイリスト
このアーティストについて
Shuggie Otis(シャギー・オーティス、本名:Johnny Alexander Veliotes Jr.)は、1953年11月30日生まれのアメリカ・ロサンゼルス出身のシンガーソン...
Shuggie Otis のプロフィール・作品一覧