Bakerloo - Bakerloo (1969)
Bakerloo『Bakerloo』──1969年に残された、英国ヘヴィ・ブルースの短く濃い記録
Bakerlooの『Bakerloo』は、1969年に発表された唯一のアルバムで、英国のハードなブルース・ロックを語るうえで外せない1枚である。バンドは短命ながら、のちのメンバーの動きまで含めて見ると、1960年代末のブリティッシュ・ロックの流れの中にしっかり位置している。Clem Clempson、Keith Baker、John Hinch、Terry Pooleによる編成で、演奏の芯はブルースにありつつ、当時のハードロックやプログレッシブな感覚もにじむ作品だ。
Harvest初期を支えた、ひとつのデビュー作
本作はHarvestの初期カタログに入るアルバムとして知られる。レーベルがまだ立ち上がったばかりの時期に登場したこともあり、後年の再評価では「初期Harvestの重要作」という扱いが定着している。Bakerloo自体は活動期間が長くなく、アルバムも1枚だけだが、その短さがむしろ記録としての輪郭をはっきりさせている。
バンドの背景には、バーミンガム周辺のシーンと、当時のライヴ・サーキットがある。Earth、のちのBlack Sabbathと同じ時代空気の中で動いていたこともあり、重さのあるブルース・ロックという点では同時代の英国勢と地続きだ。ただし、単純に重いだけではなく、演奏の運びに細かい変化があるのがこの作品の特徴である。
収録曲の核は「Big Bear Ffolly」と「Driving Bachwards」
アルバム冒頭の「Big Bear Ffolly」は、Clem Clempsonのギターが前に出る曲としてよく触れられる。ブルースを土台にしながら、リフの置き方やソロの展開に若さがあり、単なる定型の焼き直しでは終わらない。続く「Driving Bachwards」は、この作品を語るときによく挙がる曲で、バッハを下敷きにした構成を持ちながら、ジャズっぽい崩し方も見せる。タイトルどおりの遊び心があり、アルバム全体の中でも印象が残る。
こうした曲作りからは、当時の英国ロックがブルースを出発点にしつつ、クラシックや即興の要素を取り込み始めていた流れが見える。単独のヒット曲で押すタイプではなく、アルバム全体で演奏の個性を示す作りである。
メンバーのその後まで含めた重要性
Bakerlooの価値は、この1枚だけで完結しない。Clem ClempsonはのちにColosseumへ進み、Keith BakerはUriah Heepへ向かうなど、メンバーはそれぞれ次のステージへ移っていく。つまり『Bakerloo』は、ひとつの完成形というより、英国ハード・ブルースの人材が次へ分岐していく直前の記録でもある。短命バンドの唯一作だが、そこに後年の大きな流れの芽が詰まっている。
2011年イタリア盤について
この2011年イタリア盤は、Akarmaからの再発で、ゲートフォールド仕様の通常盤アナログである。オリジナルの1969年盤とは年代も流通経路も異なり、コレクション用途では再発としての位置づけになる。Akarmaはイタリアのインディペンデント系リイシュー・レーベルとして、1960年代後半から1970年代のロック、プログレ、ブルース・サイケデリアを多く扱ってきた。重厚な紙ジャケットやゲートフォールドを採ることが多く、本盤もその流れにある。
なお、2011年盤は180グラム盤ではなく、ランアウトには刻印やエッチングも入っていない。オリジナル盤の持つ時代感とは別に、再発盤として手に取りやすい形に整えられた1枚である。
まとめ
『Bakerloo』は、1969年の英国ブルース・ロックがどこへ向かっていたかを、1枚で示す作品である。ブルースを軸にしながら、演奏は硬く、構成には少しひねりがある。大きなヒット作として語られる盤ではないが、Harvest初期の流れ、そしてClem ClempsonやKeith Bakerのその後を追ううえで、重要な起点になっている。再発盤であっても、その記録性はしっかり残っている。
トラックリスト
- A1 Big Bear Ffolly 3:55
- A2 Bring It On Home 4:19
- A3 Drivin' Bachwards 2:08
- A4 Last Blues 7:07
- A5 Gang Bang 6:16
- B1 This Worried Feeling 7:06
- B2 Son Of Moonshine 14:55
- Bonus Track:
- B3 Once Upon A Time 3:40