Stardrive Featuring Robert Mason - Stardrive (1974)
Stardrive 1974

Stardrive Featuring Robert Mason - Stardrive (1974)

Electronic Rock Funk / Soul Ambient Funk Prog Rock

Stardrive Featuring Robert Mason『Stardrive』(1974)レビュー

1974年にUS Columbiaから出た、Stardrive Featuring Robert Mason名義の『Stardrive』は、ロバート・メイソンを中心に据えたシンセサイザー主導の作品だ。タイトルはシンプルだが、内容はかなり時代の先を行っている。ロックの編成に電子音を組み込み、しかもそれを飾り程度ではなく前面に押し出しているところが、このアルバムのいちばん大きな特徴になっている。クレジットにはMichael Brecker、Steve Gadd、Harvey Sarch、Jaime Austria、Howard Regoらの名も並び、演奏面でも当時のニューヨーク周辺の先鋭的な空気がそのまま入っている。

まず面白いのは、ロバート・メイソンが既製のシンセに満足せず、自作機材を用意していたという点だ。70年代前半の電子音楽は、まだ機材そのものが主役になりやすい時期だったが、この作品ではその「機材の新しさ」だけで終わらず、ロック・バンドの推進力とファンクの反復、さらにジャズ・ロック寄りの展開が同居している。曲によってはテンポや質感が何度も切り替わり、まとまりよりも変化の連続で聴かせる作りになっている。

作品の輪郭

資料や当時の評では、このアルバムは「よく録音された、刺激的な作品」として受け止められていた。実際、音の輪郭ははっきりしていて、シンセの線が埋もれにくい。電子音がただの効果音で終わらず、リズム隊の上で細かく動くところが印象に残る。ファンク由来の粘り、プログレッシブ・ロック的な曲構成、アンビエント寄りの空間処理が、1枚の中で切り替わっていく構成だ。

聴いていて目につくのは、派手なメロディの押し出しよりも、音色の変化とアンサンブルの推移で場面を作っている点。ロバート・メイソンのシンセは、後年のシンセ・ロックのように分かりやすくフックを連発するタイプではなく、場面ごとに役割を変える。前に出る場面もあれば、空間を埋めるだけの場面もある。その振れ幅が、この作品の個性になっている。

同時代の文脈

1974年という時期を考えると、電子楽器がロックやファンクの現場に本格的に入り込んでいく途中にあたる。クラフトワークやタンジェリン・ドリームのような欧州の電子音楽とは出自が少し違い、こちらはバンド演奏の中にシンセを押し込んだ感触が強い。アメリカ側の流れで見ると、ジャズ・ロックやフュージョンの文脈、あるいはその後に出てくるシンセ・ファンクの前段階として捉えやすい。

一方で、商業的な広がりは大きくなく、Billboardなどで目立ったチャート実績は確認しにくい。大ヒット作というより、シンセサイザーを中心に据えたロック作品として記憶されているタイプだ。結果として、一般的な名盤リストに頻繁に入る作品ではないが、電子音楽とバンド・グルーヴの接点を探るうえでは見逃しにくい存在になっている。

エピソードと位置づけ

制作や活動の周辺では、1974年にニューヨークのRadio City Music Hallで演奏中、観客がステージに上がってメイソンと自作シンセを倒し、機材に損害が出たという出来事が知られている。こうした話が残るあたりにも、このプロジェクトが当時いかに異質な見え方をしていたかが表れている。既存のロック・バンドの延長ではなく、電子機材そのものを前提にした演奏だったからこそ、現場でも独特の緊張感があったのだろう。

Stardriveは、メインストリームのロック史の中では大きく語られにくいが、シンセサイザーが単なる装飾から主役へ移っていく過程を示す1枚として見ると輪郭がはっきりする。Michael BreckerやSteve Gaddのような腕利きが関わっている点も含め、演奏の水準は高く、同時代の実験作の中でもバンドとしての推進力がある。派手な代表曲で押し切る作品ではないが、70年代中盤の電子化するロックの空気を、そのままパッケージしたような内容になっている。

トラックリスト

  1. A1 Funkascensions 5:28
  2. A2 Ballad I 2:23
  3. A3 Jupiterjump 7:40
  4. B1 Pulsar 5:47
  5. B2 Ballad II 2:36
  6. B3 Air Sauce 5:37
  7. B4 Ballad III 3:14
  8. B5 Journey 6:55

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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