Les Baxter - Hell's Belles (1969)
Les Baxter『Hell's Belles』
1969年にSidewalk Recordsから出た、レス・バクスター名義の『Hell's Belles』は、AIP配給の同名カルト・バイカー映画のオリジナル・サウンドトラック盤。タイトル曲を含む全体は25分弱で、映画に合わせた短い尺の中に音楽がまとめられている。レーベルはキャピトル傘下のSidewalkで、US盤としてリリースされた。
制作背景・エピソード
音楽を担当したのは、1950年代に「エキゾチカ」やイージー・リスニングで知られたレス・バクスター。『The Poor People of Paris』のヒットでも知られる作曲家・指揮者だが、この作品ではそのイメージを大きく変え、バイカー映画の世界に合わせたサウンドへ振り切っている。制作面では、歪んだファズ・ギターと野太いファンク・ビートを前面に出した構成が特徴とされ、オープニングの「Wheels」やタイトル曲「Hell's Belles」、さらに「Hogin' Machine」「Hot Wind」「Soul Groove」などにその性格がはっきり出ている。
映画『Hell's Belles』自体は、モーリー・デクスター監督によるAIP作品で、サイドウォークからのリリースという形を取った。バクスターは、優美なラウンジ・オーケストラで知られる立場から、かなり攻めた劇伴を残している。
時代の文脈
1960年代末のアメリカでは、『イージー・ライダー』の大ヒットを背景に、チョッパー・バイク、カウンターカルチャー、アシッド・サイケデリアを扱うバイカー・エクスプロイテーション映画が増えていた。映画音楽でも、従来のスコアより、ファズ・ギターやロック寄りのビートを取り入れた劇伴が求められる流れがあり、『Hell's Belles』はその中で作られた作品になる。
レス・バクスターのキャリアの中でも、本作はかなり異色の位置にある。エキゾチカやラウンジの人という印象を持たれがちな人物が、ここでは凶暴なバイカー映画に合わせて、ガレージ・ファンクやサイケ寄りの素材をまとめている。短いアルバムの中で、攻撃的なブラスや強いドラム・ブレイクが続く構成も、当時の映画音楽の要請に沿ったものとして記録されている。
後世への影響
長くB級映画のサントラとして埋もれていたが、1990年代以降のレア・グルーヴやサントラ再評価の流れの中で、世界中のDJやクリエイターに発掘された。ヒップホップのサンプリング文化の文脈でも、「究極のファズ・ファンクの宝庫」「ブレイクビーツの金鉱」として扱われている。オリジナル盤は、サントラ/ファンク愛好家のあいだで高値で取引されるレア盤として知られている。
映画は典型的なグラインドハウス系バイカー映画だった一方、音楽の側は同時代のロックとファンクの要素を強く取り込んだ作品として残った。『Hell's Belles』は、レス・バクスターのディスコグラフィーの中でも、最もアナーキーでダンサブルな一枚として語られている。
トラックリスト
- A1 Wheels 2:57
- A2 Hell's Belles 1:56
- A3 Soul Groove 2:16
- A4 Dan's Theme 2:31
- A5 Hot Wind 1:51
- A6 Take It From Me 2:04
- B1 Chain Fight 2:29
- B2 Travelin' Man 1:47
- B3 Dan Again 1:32
- B4 Hogin' Machine 1:33
- B5 Scoobee Doo 1:55
- B6 Goin' Home 0:55