Steven Lindsay - Chords And Colours (2026)
Steven Lindsay『Chords And Colours』について
Steven Lindsayの『Chords And Colours』は、2026年にLast Night From Glasgowから登場するソロ・アルバムだ。スコットランドのギタリスト、ソングライター、バンド・リーダーとして知られてきたLindsayにとっては、自身の名義では通算4作目のアルバムにあたる。長い空白期間を経ての新作であり、しかも独立系レーベルLast Night From Glasgowからの第一弾という位置づけがはっきりしている。
この作品は、Lindsayが自身の絵画作品のタイトルから着想を得て曲を書いたという制作方法も特徴的だ。音楽と美術の行き来をそのまま制作の手順に落とし込んだ内容で、本人はこれを「これまでで最も興味深く挑戦的な作品」と語っている。音だけを追うというより、曲ごとに別のイメージや題材が立ち上がる構成になっているようだ。
経歴の流れの中で見る新作
Lindsayはスコットランド・エアドリー出身。1983年にThe Big Dishを結成し、1991年のシングル「Miss America」で全英37位を記録している。これはバンドの代表曲として知られる一曲で、アルバム『Satellites』にも収録された。The Big Dishは同年に解散しており、その後のLindsayは別の表現へと軸足を移していく。
注目したいのは、彼がグラスゴー美術学校でドローイングとペインティングを学んでいた点だ。2011年には本格的に画家へ転身し、Scotland's Aspect Art prizeの最終候補にも選ばれている。音楽家としての活動と並行して視覚芸術の評価も得てきた人物で、その背景が『Chords And Colours』の制作姿勢にもつながっている。
2012年にはThe Big Dishを一時再結成し、Celtic Connectionsに出演した。さらに2022年には、14年ぶりの新作として「Interlopers」名義で作品を発表している。この作品には、Billy MackenzieとAlan Rankineが1990年代に未完成のまま残した「Twins Of Gemini」を完成させて収録したこともあり、Lindsayの近年の活動は過去作の延長だけではなく、周辺の音楽史を引き寄せる動きも含んでいる。
『Chords And Colours』の内容と位置づけ
『Chords And Colours』は、グラムロック、パンク、ポストパンク、カントリー、ダンス、アンビエントなど、Lindsayの音楽人生を彩ってきた複数の要素を横断する内容とされている。ジャンルの整理というより、長年の活動の中で蓄積してきた語彙を一つの作品にまとめた印象が強い。Electronic、Rock、Popを軸にしつつ、Ambient、Synth-pop、Trip Hop、Indie Rock、Glamといったスタイル表記が並ぶのも、その幅の広さを示している。
先行シングル「Elsewhere」は2026年1月23日に発表されている。アルバム全体の導入として置かれたこの曲が、作品の方向性を早い段階で示していた可能性は高い。とはいえ、Lindsayのこれまでの歩みを考えると、一つの曲だけで全体像を固定するより、複数の要素がどう配置されているかを追うほうが自然だ。
本作が興味深いのは、単なる復帰作や懐古作としてではなく、絵画制作と並走する現在形の作品として出てくる点にある。The Big Dish時代のポップな感触、後年の芸術活動、そして2022年の「Interlopers」で見せた再接続の感覚が、そのまま2026年のソロ作に流れ込んでいる。そうした流れの中で『Chords And Colours』は、Lindsayのキャリアを点ではなく線で見せるアルバムになっている。
リリース情報と付属要素
リリースはUK盤で、レーベルはグラスゴー拠点の非営利インディペンデント・レーベルLast Night From Glasgow。2016年設立のこのレーベルから出ること自体も、スコットランドのローカルな音楽ネットワークの中で作品が流通していることを示している。限定盤にはSteven Lindsayのサイン入りプリントが付属する。
なお、オリジナルの発売年は2026年で、盤のリリース年も同じ2026年。したがって、ここでは新作として扱うのが自然だ。Steven Lindsayの近年の動き、そして音楽と美術をまたぐ制作姿勢を踏まえると、『Chords And Colours』は彼の現在地をそのまま記録したアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 Elsewhere
- A2 Fall Of The Empire
- A3 Emergency Belief System
- A4 Dark Waters
- A5 A Scant Refuge From The Coming Storm
- A6 Lanark
- B1 A Prayer For The Disenfranchised
- B2 Conversation Piece
- B3 Church Of Forgotten Dreams
- B4 Personal Identity Crisis
- B5 Existential Crisis Management